かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける 中納言家持  

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かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける 中納言家持

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かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける

中納言家持の七夕の天の川の橋をモチーフにした、百人一首6の和歌の現代語訳、品詞分解と修辞法の解説、鑑賞を記します。

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かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける

読み:かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける

作者と出典

中納言家持(ちゅうなごんやかもち)

百人一首の6番目・新古今集620「冬歌」

現代語訳と意味

七夕の天の川にかかる橋、その橋がかささぎの翼で二人を渡すのだが、遠く眺めると、そこに星が白く霜のように散らばっているのが見える。もう夜も更けたのだなあ。

修辞法と句切れ

・句切れなし

・「ぞ…ける」は係り結び

語句と文法

・かささぎ…「かささぎの橋」は七夕伝説で天の川にかかる橋を指す

・渡れる…基本形「渡る」。「れり」は存続の助動詞の連体形

・白き…形容詞「白し」の連体形

・「ぞ・・・ける」で詠嘆を表す。「…だなあ」「…ことよ」




解説と鑑賞

七夕伝説を詠み込んだ大伴家持の和歌。

「かささぎの渡れる橋」の想像性

牽牛と織姫は、天の川の橋を渡って会うわけですが、その橋はカササギという鳥が翼を重ねて渡したものだとされています。

冬の冴えわたる夜空の星を、白い霜に見立てていることから、季節は冬だということがわかります。

星と「霜」の置き換え

地上の世界にある「霜」と夜空の星を置き換えることで、その「霜」が異なる二つの時空の、文字通りの”橋渡し”をしています。

霜は地面にあるものですが、そうすることで、歌の示す空間が、地面と空との広範囲に及びます。

「かささぎの」と空想上のアイテムから歌を始めて、それを「霜」という身近なものと、七夕の夏から現実の冬へと引き寄せていきます。

イマジネーション豊かな、ダブルイメージを表す内容の作品です。

中納言家持について

中納言家持(ちゅうなごんやかもち)は、万葉集の大伴家持(おおとものやかもち)のこと。

奈良時代の公卿・歌人。大伴旅人の子。中納言は官位。三十六歌仙の一人。

大伴家持の他の作品と解説

うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しもひとりし思へば/大伴家持「万葉集」

春の野に霞たなびきうら悲しこの夕かげに鶯鳴くも/大伴家持「春愁三首」の独自性

新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事/大伴家持/万葉集解説




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