短歌・和歌

夏の恋愛の短歌10首 現代短歌より代表的なものをご紹介

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夏の短歌、夏に詠まれた恋愛の短歌にはどのような歌があるでしょうか。

現代の短歌から集めてみました。

夏の恋愛の短歌をご一緒に鑑賞しましょう。

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短歌 夏の恋愛の 歌

夏には春に次いで恋愛の短歌も多い気がします。

春は恋の芽生え、秋は恋の憂いはありますが、夏には強烈な光が、強い情動を引き起こす、恋の熱情とも類似しているからでしょうか。

また、学生の方は夏休みのイベントでの新しい出会いも期待できますね。

夏のすてきな恋愛の短歌で、ぜひ読んでいただきたい歌の数々をご紹介します。

 

あの夏の数かぎりなきそしてまたつた一つの表情をせよ

【作者】小野茂樹

解説

早世した作者の、それゆえにか、よく知られた有名な短歌。

夏というのは過ぎて行った時がくっきりと回想されるもののようです。

この歌の詳しい解説は下の記事に。

 

わが夏の髪に鋼(はがね)の香が立つと指からめつつ女(ひと)は言うなり

【作者】佐々木幸綱

解説

夏の髪というのは、あるいは濡れて光っている髪だったか。そこに鋼の香りがする女性は言うのです。

この歌人の作品は、男歌の代表と言われています。力強い男性的な歌です。

 

指からめあふとき風の谿は見ゆ ひざのちからを抜いてごらんよ

【作者】大辻隆弘

解説

恋愛というよりも、愛の歌。

リードする男性のやさしさが伝わるのは、口語をそのまま歌として用いるためでしょうか。

 

あの夏の言葉よりなほ無防備にさらす咽喉(のみど)にいま触れてみよ

【作者】今野寿美

解説

夏は素肌の露出する服が多くなりますが、そのような姿をすると人は心も開放的になります。

「あの夏の言葉より」は、素肌の咽喉よりも、もっとなまみをさらすような 言葉であったこと。その時間経過をも含む表現です。

 

追憶のもつとも明るきひとつにてま夏弟のドルフィンキック

同じ作者の二首目も、夏の追憶の美しい歌。

「ドルフィンキック」とは、バタフライのダイナミックな足の動きを伴う泳ぎ方です。

普段の生活では見られない、弟の勇姿が眩しいのです。

 

粗布しろく君のねむりを包みゐむ向日葵が昼の熱吐く深夜

【作者】春日井健

解説

思う相手と離れた夜を過ごしていて、シーツにくるまって眠る相手を思い浮かべる作者。

「向日葵が夏の熱吐く」が、夏の夜の身体感覚に通じるものがあります。

 

窓辺にはくちづけのとき外したる眼鏡がありて透ける夏空

【作者】吉川宏志

解説

作者は眼鏡をかけているようなのですが、窓辺での接吻の時にその眼鏡をはずして出窓の上に置いたのでしょう。

眼鏡を探そうと思って見てみると、そこに夏の空が透けるように映っているという、美しく新鮮な情景が詠まれています。

 

あさがおが朝を選んで咲くほどの出会いと思う肩並べつつ

同じ作者。夏の花にたぐえて、繊細な恋愛の感情を美しく詠んだ歌。

「朝を選んで咲く」あさがおというのが、不思議な出会いを強調します。

ほかに、「サルビアに埋もれた如雨露(じょうろ)二番目に好きな人へと君は変われり」は心変わりの歌なのですですが、新しく好きな人ができたことを、「サルビアに埋もれた如雨露」とする比喩は新鮮です。

 

「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日はサラダ記念日

【作者】俵万智

解説

有名なこの短歌も、季節は夏。

これが、春や冬だったらイメージは全然違ったのではないでしょうか。

同じ作者の海辺の歌は、やはり夏の景色が恋愛の場面を浮き立たせています

砂浜のランチついに手つかずの卵サンドが気になっている
寄せ返す波のしぐさのやさしさにいつ言われてもいいさようなら

 

逆立ちしておまへがおれを眺めてた たった一度きりのあの夏のこと

作者:河野裕子

解説

この歌は、男性の川に成り代わって詠まれた歌です。つまり、逆立ちをしていたのは、作者なのでしょうね。

視点を変えて見つめ合う恋人たち。若々しい歌です。

 

夏帽子すこしななめにかぶりゐてうつ向くときに眉は長かり

こちらも、夏の季節の中にある恋人へのまなざしです。

作者の「森のように獣のように」はみずみずしい相聞の歌が特徴です。

 

海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手を広げていたり

作者:寺山修司

解説

この歌は、相聞の歌ではないのですが、少女とのほのかな恋心が感じられる歌として挙げておきます。

両手を広げて少女に海の広さを教える少年は、まるで、求愛する鳥の仕草のよう。

いまだ少女の知らない知識を持っている自分をアピールしているのではないでしょうか。

 

 

胸もとに水の反照うけて立つきみの四囲より啓(ひら)かるる夏

作者:横山未来子

解説

海か川、あるいは、他の水のあるところで、光の中に立っている君。

恋心をもって見つめる時は、君の周りから夏が始まると思えるくらい、相手が光をまとっているかのように見えるのでしょう。

終わりに

いよいよ夏が来たかなと思う今日、季節の恋愛の短歌を詠み直してみましたが、夏に恋の歌が詠みたくなるのが何となくわかる気がします。

この夏の明るい日差しに彩られて、すてきな出会いがありますように。

そして、自分でも恋愛の短歌を詠んでみてくださいね。







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