秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ 天智天皇  

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秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ 天智天皇

2020年10月17日

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10月17日は神嘗祭、天皇が育てた稲を神様に捧げるお祭りの日です。

「万葉集」には稲作に関する歌は五十あります。

きょうの日めくり短歌は、そのうち最も有名な天智天皇の和歌「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ」をみながら天皇と稲について考えます。

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読み:あきのたのかりほのいおの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ

作者

天智天皇

出典

万葉集の巻十・2174番歌

百人一首 1番歌

意味と現代語訳:

秋の田の傍にある仮小屋の屋根を葺いた苫の目が粗いので、私の衣の袖は露に濡れてゆくばかりだ

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「神嘗祭」とは

神嘗祭とは、その年に収穫された新穀、特にお米を、日本の氏神様である「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」様に捧げ、神様からいただいた恵みに感謝するお祭りです。

天皇は、皇居の田で自ら育てた稲穂を伊勢神宮に献進し、神宮を遙拝。

そうして神嘗祭が執行されるほか、日本全国の神社でもこれを奉祝するという大変大きな祭典なのです。

天智天皇の和歌と稲

天智天皇の和歌は、「秋の田のかりほの庵」が歌に詠まれた場所ですが、稲が実る時期に作られた、番のための小屋のこと。

その小屋が粗末なので、雨が降ると着物が濡れてしまうというのが一首の内容です。

天智天皇の作とされて、百人一首の一番最初の歌となってていますが、天皇が小屋に泊るということは考えられないので、後の伝承で作者名が変わったものといわれています。

ただし、天皇が「秋の田」を詠むということは、民の暮らしに心を寄せるのみならず、稲の稔りと天皇との深い結びつきを思わせます。

10月の神嘗祭、すなわち「天皇陛下が自ら作り実った稲を天照大神に捧げる」を思うと、この和歌の意味がよく理解できると思います。

この歌の解説を詳しく
秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ/天智天皇

 

秋の田の穂田(ほだ)を雁(かり)がね暗けくに夜(よ)のほどろにも鳴き渡るかも

作者:聖武天皇

こちらは、聖武天皇の和歌。

意味は、「秋の田の穂が稔る田を雁がまだ暗い明け方にも鳴き渡ることだ」というもので、「雁」は「かり」と読み、稲刈りの「刈り」との掛詞となっています。

※掛詞の解説は
掛詞とは 和歌の表現技法の見つけ方を具体的用例をあげて解説

きょうの日めくり短歌は、神嘗祭にちなみ、天智天皇の短歌をご紹介しました。

それではまた!

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