願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ 灌仏会・花まつりの短歌  

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願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ 灌仏会・花まつりの短歌

2021年4月8日

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灌仏会、別名花まつりとも言われるこの日は、お釈迦様の誕生日です。

きょうの日めくり短歌は、灌仏会にちなむ短歌をご紹介します。

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灌仏会とは

「灌仏会(かんぶつえ)」は、仏教の開祖・釈迦(しゃか)の生誕を祝う仏教行事です。

「花まつり」の呼び名でも知られています。こちらの方が一般的かもしれません。

釈迦の生誕を祝う

花御堂に安置された生まれたばかりの仏様をかたどった像に甘茶をかけて、子どもの健康を祈ることがならわしとなっています。

釈迦の生まれた日、その日に命を終えたいといった、西行の短歌は最も有名です。

 

願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ

読み:ねがわくは はなのしたにて はるしなん そのきさらぎの もちづきのころ

現代語訳と意味

願うなら、桜の咲く春、その木の下に死にたいものだ。如月の満月の頃に

 

灌仏会の短歌

他の歌人の灌仏会を詠んだ短歌、正岡子規にはよく知られた下の二首があります。

げんげんもつつじも時と咲きいでて佛生るる日に逢はんとや

作者:正岡子規

現代語訳と意味

レンゲやつつじの花がこの時とばかりに咲き始めて、仏の生まれる日に寄り集まって一つになろうというのだろうよ。

 

古寺のつつじ見にとて来し我ぞ佛生るる日には逢ひける

作者:正岡子規

現代語訳と意味

古い寺のつつじを見に来た私であるが、仏の生まれるこの日に花に逢うのだなあ

鑑賞:

「花まつり」の由来としては、「お釈迦様がルンビニーの花園で生まれた」という説があります。

花と釈迦の生誕は関わりを含めて、子規も一首に花を詠み込んでいるのでしょう。

 

菜の花の御寺も桃のおん堂も仏うまるる人まうでかな

作者:与謝野晶子

鑑賞:

釈迦の生誕を祝って、至る所に人のあふれている様子を詠んでいます。

 

み佛の生れましの日と玉蓮をさな朱の葉池に浮くらし

読み:みほとけの あれましのひと たまはちす おさなあけのは いけにうくらし

作者

斎藤茂吉

現代語訳と意味

仏の生まれた日であるからだろう、蓮の葉のまだ若い赤い葉が池に浮くのは

鑑賞:

まだ春浅い日なので、蓮もようやく芽を出したばかりですが、作者は、釈迦の生まれた日なので、蓮の花が咲かないまでも、その葉が芽吹きの様子を見せていると思うのです。

茂吉は、寺の隣家に生まれ育ちましたので、歌集タイトルの『赤光』も経典の言葉よりとっています。

 

コロナ禍の今、なかなかお寺には出かけられませんが、釈迦の生誕を心静かに祝い、皆さまの健康をお祈りいたします。

それではまた!

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