入学式を迎える皆さま、おめでとうございます。
春は入学の季節、新しい学校生活にあたって、短歌も詠んでおきたいものですね。
きょうの日めくり短歌は、入学や学校生活の短歌をご紹介します。
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春は入学の季節
春の短歌は風物では、桜を詠んだものが最も季節感が出てきますが、春のイベントの一つには、卒業と共に入学があります。
そのうち、入学と入学式、新しい学校生活を詠んだ短歌をご紹介します。
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制服は未来のサイズ入学のどの子もどの子も未来着ている
作者:俵万智 「未来のサイズ」
作者は、お母さんになられた俵万智さん。
「未来のサイズ」は歌集のタイトルとなっています。味わい深い短歌です。
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全員がアトムとウランの髪型の入学式よ光るはなびら
作者は穂村 弘さん。
「アトム」はもちろん鉄腕アトムのことです。
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風さむき岩手のやまにわれらいま校歌をうたふ先生もうたふ
宮沢賢治の短歌。
入学式ではなく、おそらく卒業式か他のイベントだと思いますが、よい歌です。
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一生(ひとよ)の喜びに中学に入りし日よ其の時の靴やあり吾は立ち止る
作者:土屋文明
作者は生家が貧しかったため、書生となって働きながら学校に通いました。初句にはそのような背景があります。
若き日のその時の感情を回顧する歌です。
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師範学校のわが入学式に誇らかに来し父よ卒業は見ずに逝きたり
作者は、アララギの歌人の小谷稔さん。
昔の教育職は、今よりもずっと尊敬を受けていたように思います。
式なくて子らの言葉は清らなりコロナは誰のせいでもないと
作者:東京都 木付美穂
最近の歌では、必ずイベントにコロナの影が付きまといますが、元気に学校生活を送っていただきたいものです。
初めての革靴履いて靴擦れし高1生の実感がわく
作者:横溝麻志穂さん
入学の実感というのが、このような体感的な事にあるというのがうなずけます。
高1というのは、3度目の入学ということになりますが、気持ちはその都度新しいものなのですね。
新しい友との距離は2メートル入学式の静かに始まる
作者:山添聖子さん
朝日歌壇掲載の歌。やはりコロナの影響が表れている歌です。
子どもたちも離れて並んでいるというのは、今までならば不思議な光景なのです。
なにいろにしようかまようランドセルみずいろムラサキチョコレートいろ
作者:山ぞえ葵さん
今のランドセルは、昔と違って、驚くほどきれいで色鮮やかです。
好きな色を選ぶよう言われた作者が、目移りしてしまう気持ちもわかりますね。
帰還(かえ)れずに他市(よそ)で入学する子いて福島の避難者なお五万人
作者:青木崇郎さん
被災から7年目の時点の歌。入学式こそ故郷で迎えたいものなのに、やむを得ず、「よそ」で入学する子どもたち。
育った土地で入学式ができるということは、幸せなことなのだなあとあらためて思わされます。
きょうの日めくり短歌は、入学や学校生活の短歌をご紹介しました。
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