難波潟短かき蘆の節の間も逢はでこの世を過ぐしてよとや 伊勢  

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難波潟短かき蘆の節の間も逢はでこの世を過ぐしてよとや 伊勢

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難波潟短かき蘆の節の間も逢はでこの世を過ぐしてよとや

百人一首に採られた女流歌人、伊勢の有名な和歌、現代語訳と句切れや係り結びの修辞法の解説と鑑賞を記します。

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難波潟短かき蘆の節の間も逢はでこの世を過ぐしてよとや

作者:伊勢(いせ)

出典:百人一首19番 『新古今集』恋一・1049

現代語訳:

難波潟に生えている葦の節と節との短さのように、ほんの短い間でも逢わずに、一生を過ごしてしまえと、あなたは言うのでしょうか。

・・

語と句切れ・修辞法

・難波潟…大阪湾の入り江の部分

・節… あるとき。おり。時期。きっかけ。機会。時。他に、葦の節。

「過ぐしてよとや」の品詞分解

・「過ぐして」の基本形は「過ぐす」

・「てよ」強意の助動詞「つ」 に助詞「よ」。命令形

・「とや」…《格助詞「と」+係助詞「や」》文末用法

相手に問いかけ、または問い返す意を表す 「…というのか」

使われている修辞法

  • 句切れなし
  • 序詞「難波潟短かき蘆の」は、「節」を導く序詞
  • 掛詞「時」を表す節のもう一つの意味が、「 竹・葦などの茎にあって、間をおいて盛り上がり、隔て、くぎりとなっているもの」を指し、掛詞となっている。
    他にも「節」は「よ」とも読むため、二重の掛詞となっている。




解説

百人一首に採られた伊勢の和歌。恋の歌として有名ですが、優れた技巧が使われた歌としても知られています。

意味は、会えないつらさを相手に訴えるための問いかけの形をとる相聞、恋の歌です。

相手の不在の長さに対し、「葦の節」という実際の事物をあげて、その「短さ」と対比するように置いています。

「たったそれだけの時間さえ会えない、そうあなたはいうのですか」という訴えを強めています。

伊勢はどんな人

伊勢 は平安時代の日本の女性歌人。三十六歌仙、女房三十六歌仙の一人。歌人の中務の母。

情熱的な恋歌で知られ、『古今和歌集』(22首)以下の勅撰和歌集に176首が入集している。

女流歌人としては最も多い数で、そのうち本歌が代表作とされる。

伊勢の他の恋の和歌

あひにあひて物思ふころのわが袖に宿る月さへ濡れる顔なる

冬かれの野辺とわが身をおもひせば燃えても春をまたましものを




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