わが胸の燃ゆる思いにくらぶれば煙はうすし桜島山
きょう1月12日の日めくり短歌は「桜島の日」にちなみ、桜島が詠まれた短歌・和歌をご紹介します。
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桜島の日
今日、1月12日は桜島の日。
1914年(大正3年)のこの日、鹿児島県の桜島で、史上最大の大噴火が始まった、その記念日です。
記念日とは言っても、大変な出来事でした。
斎藤茂吉は後に桜島を訪れ、噴火の様子を次のように詠んでいます。
桜島は黒びかりしてそばだちぬ溶巌(ようがん)ながれしあとはおそろし
さらに、薩摩富士とも呼ばれる開聞岳と桜島の見える風景を
開門のさやかに見ゆるこの朝け桜島のうへに雲かかりたる
と、その日の様子そのままに歌に残しています。
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桜島を詠んだ短歌で、よく引用されて知られているのは、下の歌
わが胸の燃ゆる思いにくらぶれば煙はうすし桜島山
作者:平野国臣(ひらのくにおみ)
江戸時代安政7年に、福岡藩士の平野国臣が詠んだ歌とされています。
平野国臣は攘夷派で、西郷隆盛とも親交がありました。
幕末の不安定な情勢の中薩摩に行った折、おそらくは桜島を前にして、尊王攘夷の思いを詠ったものです。
桜島山から立ち昇る煙とその燃え具合は、自分のこの信念と情熱には及ぶまいという、力強い決意を述べています。
いにしへに誰か言ひけん桜島つくしの海に富土をうつして
作者:細川幽斎
この歌は安土桃山時代の武将・歌人である細川幽斎の詠んだ歌。
「桜島との名前は誰が言ったのだろう」という疑問です。
その通り美しい山が海にうつる姿が、「富士山」のようだと姿を愛でています。
桜島すその松山松まじり咲ける椿にうぐひす啼くも
アララギ派の歌人、中村憲吉の詠んだ歌。
桜島の山すそに、椿が点々と赤く散るような風景に、さらに鶯の声も加えています。
もう一首 「唐湊山に日は入りぬれど海中は桜島嶺のあかあかと見ゆ」は、日没の桜島を詠んでいます。
さくら嶋わが枕よりやや高く海に置かるる夏の月明
作者:与謝野晶子
与謝野晶子が九州旅行で訪ねた桜島を詠んだ歌。
平坦に広がる筑紫の海に、桜島をこめて、夏の月あかりがさしているという風景です。
もう一首
嬉しくも身をば矢として達したる桜嶋かと白き船出づ
「身をば矢として」の情熱的な表現が、いかにも与謝野晶子らしいですね。
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今日の日めくり短歌は、桜島の日にちなみ、桜島を詠んだ短歌をご紹介しました。
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