旋頭歌は和歌の一つの形式、字数に大きな違いと特徴があります。
旋頭歌の由来と特徴、万葉集の代表的な旋頭歌をご紹介します。
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万葉集の旋頭歌とは
旋頭歌の読みは「せどうか」です。和歌の一つの形式、ジャンルを表す言葉です。
※万葉集について詳しくは
万葉集とは古代の詩歌集!いにしえの心にふれてみよう
万葉集の旋頭歌の数
『万葉集』には62首の旋頭歌がおさめられています。
このうち、35首は「柿本人麻呂歌集」から万葉集に採録されたものです。
万葉集全般については、
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旋頭歌の形式と特徴
旋頭歌は、字数が、5・7・7・5・7・7の6句形式の歌であるというところに、特徴があります。
さらに、旋頭歌は、577の部分を誰かが詠むと、77の部分はそれとは違う作者が作ったものが多くみられます。
この頭の句を、2回目に繰り返して、二人またはそれ以上で唱和、声に出してうたったというのが旋頭歌の本来の形です。
旋頭歌の名称の意味
前の三句(前句)と後の三句(後句)を同じ旋律に乗せて、頭(こうべ)を旋(めぐら)すように繰り返すところからの命名とする説がありますが、定まった説ではありません。
起源は古事記の片歌
旋頭歌の起源は、古事記の片歌とその問答にあるといわれています。
片歌は577音からなる三句体の歌謡で、一人の作者がそこまでを詠み、次の作者が、77の部分を続けるというものです。
つまり、いずれにしても、元々の旋頭歌は文字に書くものではなくて、二人以上で声に出して謡う目的のための「歌」だったといえます。
万葉集の旋頭歌は、歌が目的ではなく、作者も一人で詠う、または文字で書き記すことのできるような内容となっています。
万葉集の旋頭歌
万様子湯の旋頭歌、まずは、有名な歌人の歌った作品をあげます。
大伴坂上郎女の旋頭歌
作者と出典:
大伴坂上郎女 万4-529
歌の意味
佐保川の小高い崖に生えている雑草を刈らないでください。そのまま春になったなら、その陰に隠れて恋人に逢うように
作者と出典:
高橋虫麻呂 9-1744
歌の意味
埼玉の小埼の沼で鴨が羽ばたいてしぶきを飛ばす。自分の尾にふった霜を掃いのけようとするらしい
作者と出典:
山上憶良 8-1538
歌の意味
萩、尾花、葛、なでしこ おみなえし、ふじばかま、朝顔 これが春の七草であるよ
柿本人麻呂歌集の代表的な旋頭歌
柿本人麻呂歌集から万葉集は35首がありますが、その代表的な作品
作者と出典:
作者不詳 7-1285
歌の意味
こののどかな春の日ですら、お前は田に働いて疲れる、妻のいない一人ぽっちの、お前は田に働いて疲れる
民謡と思われるくりかえしを含む旋頭歌の特徴を含む歌です。
斎藤茂吉は『万葉秀歌』で人麻呂作の可能性が高い、またこの歌の技量を評価しています。
以上、万葉集の旋頭歌の由来と形式の特徴、旋頭歌の代表作品をご紹介しました。