万葉集の東歌一覧 現代語訳付きで紹介  

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万葉集の東歌一覧 現代語訳付きで紹介

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万葉集の東歌、どのような作品があるのか、代表作品と有名な和歌の主要作品を現代語訳付きで一覧にまとめます。

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万葉集の東歌とは

万葉集の巻14巻は、「東歌」と言われる歌群が収録されています。

東歌の歌の数は、全部で230首ほどあります。

一般の人の詠んだ歌が多いので、それほど重要ではない歌も交じっていますので、その中から有名なものを、もっともよく知られているものを、以下に一覧で示します。

※万葉集について詳しくは
万葉集とは古代の詩歌集!いにしえの心にふれてみよう

 

なお、東歌には、防人に関する歌防人歌がありますが、それは以下の記事に。

東歌の内容と特徴については下の記事を

 

東歌のもっとも有名な和歌

東歌の有名でよく知られた歌、代表的で、既に有名な歌は以下の和歌3首があげられます。

多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだかなしき  3373

<現代語訳>:多摩川にさらす手作り布の さら ではないが、さらさらにどうして子のこのことを、こんなにも甚だしく愛しく感じるのだろうか

信濃道は今の墾り道刈りばねに足踏ましなむ沓履けわが背 3399

<現代語訳>:信濃路は今切り開いたばかりの道です。切り株で馬に足にけがをさせてはいけません。靴を履かせなさい、あなた

稲つけばかかる我が手を今夜もか殿の若子が取りて嘆かむ 3459

<現代語訳>:稲つきによって荒れた私の手を取って、今夜もお屋敷の若様が嘆くことであろうよ

 

それぞれの詳しい解説ページ→

 

東歌他の秀歌

東歌の他の優れた和歌作品は以下の通りです。

現代語訳は、斎藤茂吉の役を参考にしています。

 

夏麻引く海上潟の沖つ洲に船は留めむさ夜更けにけり 3348

<現代語訳>海上潟の沖にある洲のところに、船を泊めよう、今夜はもう更けてしまった

 

筑波嶺に雪かも降らるいなをかも愛しき子ろが布乾さるかも 3351

<現代語訳>筑波の山に雪でも降ったのだろうか、そうではないのか。愛しい娘が布を干しているのだろうか

 

信濃なる須我の荒野に霍公鳥鳴く声聞けば時過ぎにけり 3352

<現代語訳>信濃の国の須賀の荒野に、霍公鳥の鳴く声を聞くと、もう時季が過ぎて夏になった

 

天の原富士の柴山木の暗の時移りなば逢はずかもあらむ 3355

<現代語訳>夕方に逢おうと約束したから、こうして待っているがなかなか来ず、時が移って行ったら逢うことが出来ないのではないか知らん

 

足柄の彼面此表に刺すわなのかなる間しづみ児ろ我紐解く 3361

<現代語訳>いろいろとうるさい噂うわさなどが立つが、じっとこらえて、こうしてお前とおれは寝るのだよ

 

まかなしみさ寝に我は行く鎌倉の水無瀬川に潮満つなむか

<現代語訳>恋しくなってあの娘の処に寝に行くが、途中の鎌倉のみなのせ川に潮が満ちて渡りにくくなっているだろうか

 

武蔵野のをぐきが雉立ち別れ去にし宵より背ろに逢はなふよ 3375

<現代語訳>武蔵野の雉が飛び立つような別れのあの晩に別れたきり、いまだに恋しい夫にわずに居ります

 

にほ鳥の葛飾早稲を饗すとも その愛しきを外に立てめやも 3386

<現代語訳>今はたとえ葛飾で出来た早稲の新米を神様に供えてお祭をしている大切な、身を清くしていなければならない時であっても、あの恋しいお方のことですから、空しく家の外に立たせては置きませぬ

 

吾が恋はまさかもかなし草枕多胡の入野のおくもかなしも 3403

<現代語訳>自分の恋は、いま現げんにこんなにも深く強い。多胡の入野のように奥の奥まで相かわらずいつまでも深くて強い

 

上野安蘇のま麻群かきむだき寝れど飽かぬをあどか我がせむ 340

<現代語訳>真麻むらの麻の束を抱だきかかえるように可哀いお前を抱いて寝たが、飽きるということがない、どうしたらいいのか

 

伊香保ろのやさかのゐでに立つ虹の顕はろまでもさ寝をさ寝てば 3414

<現代語訳>伊香保の八坂の堰に虹があらわれた、人に知れるまではお前と一しょにこうして寝ていたいものだ

 

下野の三毳の山の小楢のす目ぐはし児ろは誰が笥か持たむ 3424

<現代語訳>下野の三鴨の山に茂っている小楢の葉の美しいように、美しく可哀らしいあの娘は、誰の妻になって、食事の器を持ち、飯の世話をするだろう

 

下野の安蘇の河原よ石踏まず空ゆと来ぬよ汝が心の告れ 3425

<現代語訳>安蘇河の河原の石も踏まず、空から飛んでお前のところにやって来たのだ、何が何だか分からず宙を飛ぶような気持でやって来たのだから、これ程おもう俺にお前の気持をいって呉れ

 

鈴が音の早馬駅家の堤井の水をたまへな妹が直手より 3439

<現代語訳>鈴の音の聞こえる、早馬のいる駅(宿場)の泉の水は、どうか美しいあなたの直接の手でむすんで飲ましてください

 

おもしろき野をばな焼きそ古草に新草まじり生ひは生ふるがに  3452

<現代語訳>こころよいこの春の野を焼くな。去年の冬枯れた古草にまじって、新しい春の草が生えて来るから

 

あしひきの山沢人の人多にまなといふ児があやに愛しさ 3462

山沢人だちおおぜいの人々が美しい可哀いと評判しているあの娘は、私にはこの上もなく恋しい

 

植竹の本さへと響み出でて去なば何方向きてか妹が嘆かむ 3474

<現代語訳>家じゅう大騒ぎして私が旅立ったら、妻はさぞ嘆き悲しむことだろう

 

麻苧らを麻笥にふすさに績まずとも明日着せさめやいざせ小床に 3484

<現代語訳>麻苧をそんなに沢山おけつむがずとも、また明日が無いのではないから、さあ小床に行こう

 

児もち山若かへるでの黄葉まで寝もと吾は思ふ汝は何どか思ふ 3494

<現代語訳>あの子持山の春のの若葉が、秋になって黄葉するまでも、お前と一しょに寝ようと思うが、お前はどうおもう

 ※この歌の解説 「児もち山」の東歌解説

 

高き嶺に雲の着く如す我さへに君に着きなな高峰と思ひて 3514

<現代語訳>高い山に雲が着くように、私までも、あなたに着きましょう、あなたを高い山だとおもって

 

我が面の忘れむしだは国溢り嶺に立つ雲を見つつ偲はせ  3515

<現代語訳>あなたが旅にあって、もしも私の顔をお忘れになるような時は、国にあふれて立つ雲の峰をごらんになって思い出してください

以上、万葉集の14巻東歌から、代表作品と他のすぐれた和歌をご紹介しました。




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