葡萄食ふ一語一語の如くにて 中村草田男 季語と意味 比喩の効果  

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葡萄食ふ一語一語の如くにて 中村草田男 季語と意味 比喩の効果

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葡萄食ふ一語一語の如くにて 作者中村草田男の教材に使われる俳句の意味の解説、鑑賞を記します。

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葡萄食ふ一語一語の如くにて 解説

現代語での読みと発音:

読み:ぶどうくう いちごいちごの ごとくにて

作者と出典:

中村草田男 『来し方行方』『銀河依然』

現代語訳

葡萄をひと粒ずつ味わってたべる。まるで言葉の一語ずつを吟味するように

 

句切れと切れ字

切れ字なし

句切れ  初句切れ

季語

季語は「葡萄」 秋の季語

形式

有季定型

その他表現技法

・比喩

「如く」は比喩の直喩に用いる言葉

意味は「…のように」と訳す

・倒置法

俳句,比喩,解説
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解説

明治生まれの歌人 中村草田男の俳句。

自ら葡萄を食べる様子と仕草に、言葉を味わうようだと比喩をもって表した句。

この句の意味

この句のポイントは、「葡萄を食べること」と「言葉を味わうこと」を並置して、その2つに「一語一語」に表される共通項を見出し、そして、その二つの事柄を比喩でクロスして述べているところにある。

 

両者に共通するのは、「ひとつひとつ」というところで、言葉なら、それは「一語一語」であり、葡萄なら「一粒一粒」となる。

俳句で使える文字数は限られているため、「葡萄…一粒一粒」とせずに、本来は「言葉」との組み合わせになるべき「一語一語」を、「葡萄…一語一語」という組み合わせにしている。

この本来ではない組み合わせを可能にするのが比喩である。

作者の感動のポイント

俳句を詠む人、職業としての俳人は、五七五 31文字の言葉を何度も反芻しては味わう。

単語の単位は名詞ばかりではなくて、「てにおは」の助詞にも及ぶ。

文を最小の単位にして細切れに味わう。

葡萄は一度に何粒をも口に入れることはなく、一粒ずつを指でつまみとって一つずつ口に運んで食べる果物でる。

時にもどかしい思いにかられるが、そうやって葡萄を食べていて、「言葉の鑑賞や吟味に似ているなあ」と思った、その思いつきが作者の発見であり、感動である。

そのままでも理解はできるが、俳人ならではの視点と発想という視点から鑑賞することも大切な句といえる。

私自身のこの俳句の感想

葡萄の「一粒」ではなく、「一語」としたのは、作者の発想の中では、「葡萄=言葉」なのだとわかりました。

俳人である作者にとっては、また俳句も「言葉の果実」にほかならないといえるでしょう。

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