「目守る」の古語の意味と短歌の用例  

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「目守る」の古語の意味と短歌の用例

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「目守る」と書いて「まもる」と読む古語があります。

「目守る」の意味とこの語が使われた古文、及び短歌の用例を示します。

「目守る」の意味

文語を用いた短歌や和歌に「目守る」という言葉がよく出てきます。

辞書を引いても出てこないことが多いのですが、この言葉の意味は

目を放さず見続ける。見つめる。見守る

というものです。

目守るの広辞苑の定義

広辞苑での定義は

「目(マ)守(モ)る」が元の意味。変化が起きたときすぐ対処できるよう「見続ける」「見まもる」。それが、見るだけでなく、体を使って「守る」ことへと意味の幅が広がっていって、「警戒する」意にまで及ぶようになった。

「目守る」の意味解説

ツイッターには以下の解説がありました。

 

「目守る」は「目+守る」

目守るの言葉は、発音は「まもる」ですが、現代語の「守る」と同じではありません。

「目守る」は字を見ると「目」と「守る」に分けられます。

この場合のそれぞれの読み方は

目・・・「ま」

であり

守る・・・「もる」

ということになります。

それぞれの意味を古語辞典で見てみると以下のようになります。

「目」の意味

目の辞書の定義

  1. 会うこと。見ること。
  2. 視線。まなざし。
  3. (見る対象である)顔。姿。
  4. (出会う)事態。
  5. すきま。合わせ目。継ぎ目。編み目。
  6. 点。穴。目。

 

「目守る」の「目」は2番目の「視線。まなざし。」の意味で用いられています。

「守る」の意味

守る(もる)辞書の定義

  1. 目を放さず見続ける。見つめる。見守る。
  2. 見張る。警戒する。気をつける。守る。

―出典:「学研全訳古語辞典」

 

「守る(もる)」は、今の「守る(まもる)」の意味とは違って、それ自体に「目を放さず見続ける。見つめる。見守る」の意味があることがわかります。

また「守る」と書いてそのままで「目(ま)守(も)る」の意味で用いることもできます。

 

守るの用例

古文で使われる「まもる」「守る」の用例をあげていきます。

守るの例1

見知らぬ里人心地には、かかる人こそは世におはしましけれと、おどろかるるまでぞ、まもり参らする。―出典:「枕草子」

現代語訳:まだ(相手)を知らない私ににとっては、このような人がこの世にいらっしゃるのだと驚いて、じっと見つめ申し上げております

守るの例2

花の本(ほん)には、ねぢ寄り立ち寄り、あからめもせずまもりて、酒飲み連歌して、はては、大きなる枝、心なく折り取りぬ。―出典:「徒然草」137

現代語訳:花の元にねぢり寄り立ち寄って、わき目もふらず見守り、酒を飲み連歌して、果ては、大きな枝を、考えもなく折り取る。

 

「目守る」の用例

短歌の「目守る」の用例を斎藤茂吉の短歌からあげていきます。

 

はるばると薬をもちて来しわれを目守りたまへりわれは子なれば―「死にたまふ母」より

読み:はるばると  くすりをもちて こしわれを まもりたまへり われはこなれば

現代語訳:はるばると薬を持ってやって来た私をじっと見てくださる母よ。私は子であるからに

重い病で死に瀕している母が、息子である斎藤茂吉に会ってその顔をじっと見るという場面です。

解説記事:はるばると薬をもちて来しわれを目守りたまへりわれは子なれば

 

ほのかなる茗荷の花を目守る時わが思ふ子ははるかなるかも『赤光』

読み:ほのかなる みょうがのはなを まもるとき わがおもうこは はるかなるかも

現代語訳:ほのかな茗荷の花を見守っているこの時も、私の思う子ははるか遠くにいるのだなあ

淡い恋心を持っている少女を茗荷の花をじっと見ていると思い出すという内容です。

解説記事:ほのかなる茗荷の花を目守る時わが思ふ子ははるかなるかも 斎藤茂吉『赤光』




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