星と夜空の短歌 北山にたなびく雲の青雲の星離り行き月を離れて  

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星と夜空の短歌 北山にたなびく雲の青雲の星離り行き月を離れて

2021年6月29日

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星を詠んだ短歌は、七夕歌をはじめとして、万葉集の時代からあります。

万葉集と近代短歌、現代短歌から星と夜空の短歌をご紹介します。

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星の短歌

星や月、夜空を詠んだ短歌は、古くからもたくさんあります。

星を詠んだ短歌を時代順にご紹介します。

月を詠んだ短歌については

 

北山にたなびく雲の青雲の星離(さか)り行き月を離れて

作者:天武天皇

現代語訳と意味:

北山にたなびいている青い雲が、遠くへ離れていく。星から離れて、月からも遠く離れて

鑑賞

星や月として詠まれているものは、自分の身辺の人たちをなぞらえたものであるようです。

 

天(あま)の海に雲の波立ち月(つき)の舟星(ほし)の林に漕(こ)ぎ隠(かく)る見ゆ

出典:柿本人麻呂歌集

現代語訳と意味:

海のように広い空に雲が波立ち、月の舟が星の林に漕ぎ入り隠れてゆくのが見える

鑑賞

ファンタジックな美しい歌。月が「舟」、星の群れが「林」と表現されています。

・・・

真砂(まさご)なす数なき星の其中(そのなか)に吾に向ひて光る星あり

作者:正岡子規

現代語訳と意味:

細かい砂のような数限りのない星の中に、私に向かって光る星がある

鑑賞

正岡子規の有名な短歌

この星は、実は「母星」と重なっています。短歌連作の中の一首。

むかう空にながれて落つる星のあり悲しめる身の命のこぼれ

作者:斎藤茂吉

現代語訳と意味:

向こうの空に流れ星が落ちるのが見える。悲しでいるこの私の命のこぼれのように

なげかへばものみな暗しひんがしに出づる星さへあかからなくに

読み:なげかえば ものみなくらし ひんがしに いづるほしさえ あかからなくに

出典

斎藤茂吉『赤光』

現代語訳

嘆き続けていれば辺りのものは皆暗い。東の空に上る星さえ明るく見えないくらいに

 

冬の空針もて彫りし絵のように星きらめきて風の声する

作者:与謝野晶子

現代語訳と意味

冬の空にまるで針で彫ったかのような星がたくさんきらめていて、風の声がするかのように吹き過ぎていく

鑑賞

針の先で、たくさん穴をあけたかのような星空という表現がめずらしいです。

詳しい鑑賞
冬の空針もて彫りし絵のように星きらめきて風の声する 与謝野晶子

 

いのちよりいのち産み継ぎ海原に水惑星(みづわくせい)の搏動を聴く

読み:いのちより いのちうみつぎ うなばらに みずわくせいの はくどうをきく

作者と出典

栗木京子『水惑星』

鑑賞

身ごもった際の自らの身体の変化。宿ったものを「水惑星」と表現するスケールの大きさがすばらしい。

 

愛することが追いつめることになってゆくバスルームからが見えるよ

作者と出典

俵万智『チョコレート革命』

鑑賞

不倫を経験した作者。バスルームは孤独になれる場所です。そこで見つめる星の光。

 

ながいながい手当はじまる僕たちが眠ったあとは星が引き受ける

作者と出典

雪舟えま

鑑賞

「手当」は介護のことなのでしょう。気がかりながら眠らなければならないとこを星に託して眠りにつく作者なのです。

 

星空がとてもきれいでぼくたちの残り少ない時間のボンベ

作者と出典

杉崎恒夫

鑑賞

高齢の作者は、気象台に勤務していました。自分に残された時間を思いを馳せる歌です。

 




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