朝日歌壇賞、朝日新聞の投稿短歌の入選した短歌が新聞に掲載されました。
入選作品4首を1月16日の朝日新聞朝刊よりご紹介します。
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朝日歌壇賞2022年第38回
朝日新聞の短歌投稿欄が「朝日歌壇」。前年の入選作から、選者が1首ずつ選んだものが、朝日歌壇賞です。
今年発表となった朝日歌壇賞をご紹介します。
朝日歌壇の選者は4人ですので、今年の受賞作も、以下の4首となります。
永田和宏選
意味ありて病むとその意味探しいきまだまだ病浅かりし頃
作者
作者:和歌山県 長尾幹也さん
作者は、他の3人の方々と共に、入選の常連と言われる投稿者さんです。
毎回優れた歌が入選しておられますので、名前を覚えられている方も多いと思います。
受賞作短歌の感想
ご病気をされた当初は、病気の「意味」など、様々な思いめぐらしをなさったということでしょう。
今から思うと、「病気は浅い」のだけれども、気分的にはつらい時期でもあります。
今は、下のコメントのように受容の気持ちになっているところから、そのような時期を回顧して詠まれた歌だと思います。
受賞のコメント
受賞のコメントには、
「病身ですが、家族に、皆さまによくしてもらい、何より短歌もあり、不幸とは思いません」
と語られています。
どうぞこれからもお体を大事に、投稿を続けていただきたいと思います。
馬場あき子選
あす死ぬと知りし特攻あす死ぬと知らざりし父原爆前夜
作者:
作者:大竹幾久子さん アメリカ
受賞作短歌の感想
戦争を振り返って平和を願います。戦争は必ず、人の死を伴うものです。予期も予感もなしに死ぬということの重みにはっとさせられます。
受賞のコメント
作者のコメントは、
「特攻死は悲惨、原爆死は無惨」
というもので、「平和よあれ」と結んでおられます。
馬場あき子の短歌代表作品 さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり
佐佐木幸綱選
原爆に父母を失い米兵の妻とし生きて今日逝きし友
作者:
作者:ソーラー泰子さん
受賞作短歌の感想
戦争が背景にありますが、ご友人の数奇な生涯を詠う挽歌です。
戦争で敵対した国がすべて悪いわけではありませんが、その国に嫁ぐことになったご友人の心境はいかばかりであったでしょう。
お幸せであったことを祈らずにはおれません。
受賞のコメントから
作者のソーラーさんは、アメリカでの生活が半世紀にも及ぶそうで、「初めにお友達になった人が久美さんです」とコメントしています。
外国での生活であるからかもしれませんが、長い親交を保たれた友人がいるとはうらやましい話です。
高野公彦選
襁褓(むつき)してコロナ重症患者らを看護するとう夜勤看護師
作者:
作者:篠原俊則 観音寺市
受賞作短歌の感想
医療従事者の苦労は様々に歌われてきましたが、あらためてこの歌を読むと、ほんとうにたいへんなことが伝わります。
当事者の方々が大声でいうことではないので、歌に詠まれて皆が知るということに大きな意味があるでしょう。
受賞のコメントから
作者のコメント「医療従事者の尊い姿に打たれました」というその後に「コロナ下で本当に大切なことが見えてきました」とあります。
歌を詠む方の目に見えるものだからこそ、歌に表されていくのですね。
以上、1月16日の朝日新聞朝刊から、第38回朝日歌壇賞の受賞作をお知らせしました。