奥田亡羊さんの短歌が、朝日新聞の「ひと」欄で紹介されました。
奥田さんは元NHKディレクターで、今は歌人として数々の賞を受賞しています。
奥田亡羊さんの短歌をご紹介します。
奥田亡羊さんの短歌
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歌人の奥田亡羊さんの短歌が朝日新聞の「ひと」欄で紹介されました。
「過去を引きずる中年男」を主題にした短歌が、一部の年配ファンに熱烈に支持される
というのが奥田さんの短歌のコンセプトです。
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奥田亡羊さんの経歴
奥田さんは、なんと元NHKディレクターというお仕事でしたが、佐佐木幸綱さんのラジオ番組制作をきっかけに「心の花」の会員となり、短歌を詠んできました。
「心の花」は、俵万智さんや、タクシードライバー歌人の も所属する有名な短歌結社の一つです。
きっかけもびっくりですが、なんと短歌を本業にするため、NHKを辞職、今はフリーとして番組制作を手伝いながら、歌を詠んでおられるそうです。
奥田亡羊さんの受賞歴
先に奥田亡羊さんの歌集の受賞歴について言うと
第1歌集「亡羊」・・・現代歌人協会賞 2008年
第2歌集「男歌男」・・・前川佐美雄賞 2018年
第3歌集「花」・・・若山牧水賞
と華々しい受賞歴が並びます。
奥田亡羊さんの短歌
「ひと」欄に取り上げられたのは、
脱ぎ捨てた服のかたちに疲れても俺が求めるお前にはなるな
現代語なのですが内容はやや難しい歌です。
この頃のテーマが「過去を引きずる中年男」ということで、同じ世代の男性サラリーマンや年配者に師事されたというところのようです。
アルバイトの経験をとえば俯きて鹿の腑分けの熱さを語る
弟の学費を払いおとうとの下級生となる姉の篠田さん
これらの作品は、自立相談支援員として定時制高校の就職相談の経験を取り入れた歌です。
奥田亡羊さんの短歌
新聞に取り上げられている短歌は、元々の歌とはちょっと違います。
宛先も差出人もわからない叫びをひとつ預かっている
今日こそは言わねばならぬ一行のような電車が駅を出てゆく
逆さまにビルから人が落ちてゆく顔まで見えて人はひとりだ
最初の歌集「亡羊」に収められた歌です。
男歌の系譜ここにて断たれたり人呼んでわれは男歌男
牛頭馬頭と人と遊んでいるごとし娘の開く『地獄絵巻』に
なにもない大地に風が吹いていた いつかぼくらがよろこびますように
「男歌」というのは、奥田さんが支持する佐佐木幸綱さんの歌に対して言われる言葉で、その系譜であることを逆説的に示唆しています。
最新の歌集では、短歌を二行などに分ける「分かち書き」を採用。
若山牧水賞の受賞で短歌の伝統に連なることを意識されているようです。
同欄では
人と会い、読者に語り掛け、読者が受け取って歌ができる。ひとりでも「明日も生きよう」と思ってくれる歌が作れれば本望だ。
とあります。
今日のために生きん今日あり
丈ひくき躑躅の奥に蟻みだる見ゆ
奥田さんの処女歌集はこの本。
最新歌集はこちら。