古今・新古今集

寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ 寂蓮法師 

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寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ

寂蓮法師 (じゃくれんほうし)の代表作、また新古今集の「三夕の歌」の一つとして知られる、有名な短歌の現代語訳、品詞分解と修辞法の解説、鑑賞を記します。

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寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ

読み: さびしさは そのいろとしも なかりけり まきたつやまの あきのゆうぐれ

作者と出典

寂蓮法師 (じゃくれんほうし)

新古今和歌集 361  「寂連法師集」

現代語訳と意味

この寂しさは特にどこからというのわけでもないことだ、真木の生い立つ山の秋の夕暮れよ。

修辞法と句切れ

3句切れ

体言止め

語句と文法

「その色」…仏教の「色」(しき)、物事の意の意味

真木…スギやヒノキを指す

「としもなかりけり」の品詞分解

格助詞
強意の副詞
係助詞
なかりク活用の形容詞「なし」の連用形
けり詠嘆の助動詞「けり」の終止形




解説と鑑賞

寂連法師の代表的な和歌の一つ、「三夕(さんせき)の歌」の一つとしても知られています。

三夕の歌

三夕の歌

三夕の歌とは「秋の夕暮れ」で終わる、3つの和歌作品で、寂連の他、

心なき身にもあはれは知られけりしぎたつ沢の秋の夕暮れ(西行法師)

見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋(とまや)の秋の夕暮れ(藤原定家)

をいう

他の三夕の歌の解説は

「真木たつ」

この歌の理解のポイントは、「寂しさ」を思い起こすような景色がどのようなものだったのかの理解にかかっています。

「真木たつ」の真木は、杉や檜のような木で、良材になる木の美称とされています。

参考:山里の峰のあま雲とだえして夕べすぎしき真木の下露 太上天皇

杉や檜のうっそうと茂る山の景色が、秋になると一層暗く、黒ずんで見える情景です。

特に理由なく、と前置きをしながらも、最も最初、初句に「寂しさは」とおいて、その情景が寂しさを誘うものであることを示しています。

心に寂しくなる理由があるわけでもなく、「山の秋の夕暮れ」それ自体がどうというものでもないのだが、やはりその景色を見ると、寂しさが拭い難い。

そのように秋の山の風情を、「色としもなかりけり」(特に意味もないのだが)と、前お聞きして、逆に強調して伝えています。

つまり、理としてはわかっていても、情の面、おのずから湧いてくる寂しさの方が強いというのです。

寂連法師には、他に百人一首にも、夕暮れ止めの歌

村雨の露もまだひぬ槇の葉に 霧立ちのぼる秋の夕暮れ

があります。

寂蓮法師について

寂蓮法師 生年未詳-1202年

俗名、藤原定長。伯父の俊成の養子となり、のち出家。 新古今集撰者の一人となったが、撰進前に没した。

歌集に「寂蓮法師集」がある。

新古今和歌集とは

新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)は、鎌倉時代初期に編纂された勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)。

天皇や上皇の命令により編集された、代表的な和歌集の一つ。

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