成人の日の短歌 20歳と元服の和歌【日めくり短歌】  

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成人の日の短歌 20歳と元服の和歌【日めくり短歌】

2021年1月11日

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成人の日は20歳を区切りとして、大人になったことをお祝いする日ですが、成人に関する短歌はどのように詠まれているでしょうか。

きょうの日めくり短歌は、成人や20歳に関する短歌、古くは元服の和歌と合わせてご紹介します。

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成人の日とは

そもそも、成人の日というのはどういう目的の日なのかというと、1948年(昭和23年)に制定。

成人の日の目的は

「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝い、励ます」

というものだそうです。

成人した本人もそうですが、成人を取り巻く回りの人たちに対しても、呼び掛けられた記念日の一つとなります。

成人の日に関する和歌・短歌を時代順にあげていきます。

 

橘の寺の長屋にわが率宿(ゐね)し童女(うなゐ)放髪(はなり)は髪あげつらむか

読み:たちばなの てらのながやに わがいねし うないははなりは かみあげつらんか

作者と出典

読み人知らず 万葉集16-3822

短歌の意味

むかし寝た垂髪の少女は、今頃はもう髪をあげて成人しただろうか

解説

万葉集の女性の成人を思う歌。

子どもの頃は垂れ髪、おそらくおかっぱのような形の髪型で、その後は、髪を結い、その時から、大人になった、成人をしたということになるようです。

しかし、それ以前から男女の契りはあったことになりますので、昔の人は今よりも大人になるのはずっと早かったと言えるかもしれませんね。

 

ゆひそむる初元結のこむらさき衣の色にうつれとぞ思ふ

読み:ゆいそむる はつもとゆいの こむらさき ころものいろに うつれとぞおもう

作者と出典

作者:大中臣能宣  (おおなかとみ の よしのぶ)『拾遺和歌集』 巻5-0272 賀歌

大中臣能宣は三十六歌仙の一人です。

和歌の意味

元服の式のためにはじめて髪を結った元結の美しい紫が、将来の衣の色に映るようにと思います

解説

古くは、成人は20歳よりももっと以前で、「元服」という呼び名でお祝いがされていました。

濃い紫色の糸で初めて髻(もとどり)を結った時に使われた元服の式の青年を詠んだ歌です。

濃紫は冬至、最高位の貴人にのみ着用を許された色であり、それに今の元結の色を合わせてあります。若者のその後の出世を願う成人、元服の日の歌となっています。

 

久方の月の桂も折るばかり家の風をも吹かせてしがな

作者と出典

菅原道真母(すがわらのみちざねのはは)
拾遺473

和歌の意味

こうして元服した上は、月に生えているという桂の木も折るばかりの風のように、大いに名を上げて、我が一族の名を高めてほしいものです

解説

菅原道真が十五歳で元服した折、母である菅原道真の母がお祝いに詠んだ歌です。

 

いときなき初元結に永き世をちぎる心は結びこめつや(左大臣)
結びつる心も深き元結ひに濃き紫の色し褪せずは(桐壺)

作者と出典

紫式部 源氏物語

和歌の意味

意味はそれぞれ

左大臣「幼い光る君の初めての髻を結う時に、そなたの娘と永い契りをかわすようにと願いをしっかり結びこんだか」

桐壺「源氏の君の濃く深いお心が、心変わりしなければよいのですが」

となります。

解説

光源氏と一人娘との結婚の契りにおいて詠われた歌、問答歌です。

あくまで物語の中の作品ですが、参考までに。

 

その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな

読み:そのこはたち くしにながるる くろかみの おごりのはるの うつくしきかな

作者と出典

与謝野晶子『みだれ髪』

現代語訳

その娘は今まさに二十歳。櫛に梳くとすべるように流れる黒髪を持つ、この誇りに満ちた青春のなんと美しいことだろう

解説

「その子」というのが主語ですが、歌集のタイトルが「みだれ髪」であるところからも、これは、与謝野晶子自身のことと考えて差し支えありません。

この頃の成人女性も髪を結うわけですが、ある程度の長さがないと髪を形作ることができません。

そのため「長い髪」はやはり、成人女性の象徴でもあったのでしょう。

 

君さらばさらば二十を石に寝て春のひかりを悲しみ給へ

こちらも与謝野晶子作。20歳になって出家する僧侶に向けて詠んだものとされています。

歌の意味

あなたさようなら。出家をされる20歳、これから石に寝るような厳しい修行をされながらも、若い時の春の光を愛しまれてください

 

わが編みし白詰草の冠(かんむり)の子はあゆみゆき二十歳となりぬ

作者

経塚朋子(きょうづかともこ)

解説

娘が子どもの頃に花冠を編んであげた思い出を詠み込みながら、子の成人の感慨を詠います。

 

化粧水の瓶にやさしき陽がさしてわれのはたちは今日にて終る

作者と出典

作者:石川不二子

解説

二十歳になった日の、これは誕生日なのでしょう。一日の過ぎる最後に眼に入った景色は、20歳ならではの独特の感慨に彩られています。

特別な日の短歌は、できるだけ詠んで残しておきたいものです。

きょうの日めくり短歌は成人の日にちなみ、元服や20歳の短歌をご紹介しました。

それではまた明日!

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