教科書の短歌

風暗き都会の冬は来たりけり帰りて牛乳のつめたきを飲む 前田夕暮

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風暗き都会の冬は来たりけり帰りて牛乳のつめたきを飲む

前田夕暮の歌集『生くる日に』の代表作短歌として知られる有名な歌、教科書にも掲載されている短歌の解説と鑑賞、現代語訳と句切れ、表現技法について記します。

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風暗き都会の冬は来たりけり帰りて牛乳(ちち)のつめたきを飲む

読み:
かぜくらき とかいのふゆは きたりけり かえりてちちの つめたきをのむ

作者と出典

前田夕暮(1883〜1951) 「収穫」1910年

現代語訳と意味

木枯らしの吹きすさぶ都会の冬がやってきたのだなあ。ひとり帰って冷たい牛乳をそのまま飲もうとすると強く感じることだ

句切れ

3句切れ

語句と表現技法

  • 牛乳…「ちち」と読みがながある。
  • 風暗き…冬特有の曇り空、その風の様子を明暗で表す表現
  • 来たりけり…「たり(過去の助動詞)+けり(詠嘆の助動詞)
  • つめたきを…形容詞の基本形は「冷たし」。形容詞の連体形の名詞化。

解説と鑑賞

前田夕暮が神奈川から東京に転居、一人暮らしをしていた時の作とされている。

当時は、牛乳を家庭で飲むことはまだ珍しく、同じく歌人の伊藤左千夫は、家庭への牛乳配達の事業を始めていた。

逆に都会でしかない牛乳の宅配とも言え、都会生活の象徴ともなっているだろう。

一人暮らしの侘しさ

結婚前なので、温かいものを出してくれる妻や、家人がおらず、一人暮らしの作者にとって、冬はいっそうわびしい。

寒いというだけではなく、寒さが、作者の孤独感を強めており、その象徴が冷たい牛乳である。

そのような切り取り方で、冬の到来を心情的に表している。

前田夕暮の他の代表的な作品

木に花咲き木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな

向日葵は金の油を身にあびてゆらりと高し日のちひささよ 前田夕暮

自然がずんずん 体のなかを通過する 山、山、山 前田夕暮の代表作短歌







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