和泉式部

物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれ出づる魂かとぞみる 和泉式部

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物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれ出づる魂かとぞみる

百人一首に採られた和泉式部の有名な和歌、現代語訳と句切れや係り結びの修辞法の解説と鑑賞を記します。

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物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれ出づる魂かとぞみる

現代語の読み:ものおもえば さわのほたるも わがみより あくがれいづる たまかとぞみる

作者と出典

作者:和泉式部(いずみしきぶ)

出典:後拾遺集 雑六

現代語訳:

物思いをしていると、沢を飛び交っている蛍の火も、自分の身から離れ、さまよい出た魂ではないかと見えたことだ。

・・

語と文法解説

  • 物おもへば…「ものを思う」は思い悩むこと。ここでは恋の悩みを指す
  • 蛍も…「も」は強意の格助詞
  • たま…魂

参考:

「魂(たま)」は、人や動植物に宿って生命活動や精神活動を営むものとされ、体内から抜け出すこともあり、また、人の死後も存続し活動すると考えられていた。そのため、「魂」が肉体から離れないようにするまじないや、死者の「魂」を招いたり祭ったりする行事も行われた。

 

「あくがれいづる」の品詞分解

  • あくがれいづる…「あくがる」と「いづ」がそれぞれ動詞の基本形
  • 「あくがれ」(あくがるの連用形)+「いづる」(「いづ」の連体形)の複合動詞

「たまかとぞみる」の品詞分解

か…疑問の係助詞
と…引用の格助詞
ぞ…強意の係助詞
見る…「見る」連体形

句切れと修辞法

  • 句切れなし
  • 係り結び…「ぞ+見る(連体形)」

係り結びの解説は以下に




解説

和泉式部の代表作としてよく知られた和歌作品。

詞書によると、

男にわすられて侍けるころ貴布祢にまいりて、みたらし河に蛍のとひ侍けるをみてよめる

「男に忘れられたころ、貴船(きぶね)神社を参詣(さんけい)し川に飛ぶ蛍を見て詠んだ」

とある。

魂の遊離と思いの強さ

当時の考え方をもってすると、ひどく思い悩むと魂が身体から遊離すると言われていた。

それを踏まえて、それほどの強い思いと恋の悩みであることを示している。

さらに、魂が体を離れてしまうと死ぬと思われていた。

まさしくその切羽詰まった状態で、自らの命を賭けて、神に訴えかけた歌といえる。

この歌への神の返歌

『後拾遺和歌集』では、この返歌として、貴船明神が男の声で詠んだという下の歌を載せている。

奥山にたぎりて落つる瀧つ瀬のたまちるばかりものな思ひそ

奥山の激しく落ちる瀧に飛び散る水玉のように、心を千々に乱して恋の藻の思いををしてはいけませんよ

 

神への呼びかけの和歌

能楽師の安田登は、この歌について、以下のように述べている

物思いに沈んでいたとき、ふと顔を見上げると沢を埋め尽くすばかり蛍の一群。それを目撃した和泉式部は、自分の身から抜け出した無数の魂と見た。

これを和歌的な文学表現だと思ってはいけない。彼女は本当に蛍を見て「あ、私の魂が」と思ったのだ。現代だったら、かなりアブナイと言われるような女性だった。だからこそモテたし、だからこそ菩薩となりえたのである。(注・「歌舞(かぶ)の菩薩」(宗教用語)と呼ばれた。)

彼女は自分の魂を体外に出すことができる脱魂系の巫女体質だったのだろう。(中略)そして、彼女の魂を体から解き放ち、彼女を神仏につなげる装置、それが和歌だったのである。

和泉式部はどんな歌人

和泉式部 (いずみしきぶ)

生没年不詳 平安時代中期の歌人。
中古三十六歌仙の一人。大江雅致(まさむね)の娘。和泉守橘道貞と結婚し小式部内侍を産む。また、為尊(ためたか)親王、敦道(あつみち)親王と恋愛し、のち藤原保昌と再婚するなど一生を恋愛に終始し、情熱的な歌をよんだ。「和泉式部集」「和泉式部日記」がある。。娘は小式部内侍だが、万寿2年(1025)に先立たれている。

。―コトバンクより

和泉式部の他の和歌

あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびの逢ふこともが

秋吹くはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ








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