小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋を知る人ぞなし 紀貫之の折句解説  

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小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋を知る人ぞなし 紀貫之の折句解説

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小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋を知る人ぞなし

紀貫之の古今和歌集に収録されている和歌の現代語訳と修辞法、折句の解説、鑑賞を記します。

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小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋を知る人ぞなし

現代語での読み:おぐらやま みねたちならし なくしかの えにけんあきを しるひとぞなし

作者と出典:

紀貫之 古今和歌集 439

現代語訳と意味

小倉山の峰に鳴く鹿は、幾年の秋を経ただろうか。それを知る人は誰もいない

語句と文法

・小倉山…京都市にある山で鹿の名所

・峰…山頂のこと。他に「嶺」の字あり

・たちならし…「たち」は接頭語。「ならす」の漢字は「慣らす」で、意味は「なじませる。慣れ親しむ」こと。

・に…完了の助動詞「ぬ」の連用形。

・けむ…過去推量の助動詞「けむ」の連体形

・ぞ…強意の係助詞

句切れと修辞

句切れなし

解説

紀貫之の古今集の収録歌で、折句の使われた歌として知られている。

詞書に、朱雀院女郎花合-すざくいんおみなえしあわせ-という宮中の催しの際に、「をみなへし」という語文字を句の頭に置いて紀貫之が詠んだ和歌だという但し書きがある。

折句は「をみなへし」

すなわち

ぐらやま
ねたちならし
くしかの
にけむあきを
るひとぞなき

とある。

折句とは

折句は和歌の上での技巧の一つ。

同様のものに、各句の首尾によみこむ沓冠折句(くつかぶりおりく)があるが、これは通常の折句よりも難しい。

他にも、「結び字」や「お題」といったものがある。

それぞれ、一つの条件の下で、和歌を作るという、歌人にとっては、技巧が問われる詞遊びの一種である。

有名な折句の和歌

他に、在原業平の「かきつばた」の折句を使った 「から衣きつつなれにしつましあればはるばる来ぬるたびをしぞ思ふ」が有名

紀貫之の歌人解説

868年ごろ~945年 早くから漢学や和歌の教養を身につけた。

古今集の撰者で三十六歌仙の一人。

古今和歌集の仮名の序文、仮名序で歌論を残した。「土佐日記」の著者でもある。

紀貫之の他の和歌

霞たちこのめも春の雪ふれば 花なきさとも花ぞちりける

郭公人まつ山になくなれば 我うちつけに恋ひまさりけり

しら露も時雨もいたくもる山は 下葉のこらずいろづきにけり

ちはやぶる神の斎垣にはふ葛も 秋にはあへずうつろひにけり

霞たちこのめも春の雪ふれば花なきさとも花ぞちりける

人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける

吉野川いはなみたかく行く水のはやくぞ人を思ひそめてし

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