大寒の短歌 中村憲吉【日めくり短歌】  

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大寒の短歌 中村憲吉【日めくり短歌】

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大寒の日の今日の日めくり短歌は、大寒を詠んだ短歌として、中村憲吉の歌をご紹介します。

中村憲吉は広島県出身のアララギ派の歌人です。

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大寒とは

「大寒(だいかん)」は、「二十四節気」の一つで第24番目。

「大寒」の日付は、年によって異なり、近年では1月20日または1月21日、今年2022年はきょう1月20日がそれに当たります。

期間としては、「小寒」(1月5日頃)、一つ後の節気は「立春」(2月4日頃)を指します。

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きょうの大寒の日めくり短歌は、以下の歌をご紹介します。

 

大寒の夜さり凍みたる土間の瓶今朝汲む酒に薄氷うかぶ

読み:だいかんの よさりしみたる どまのかめ けさくむさけに うすらいうかぶ

作者と出典:

中村憲吉 「しがらみ」
 

解説

中村憲吉は酒造業を営んでおり、酒造りの歌が多く詠まれていますが、これもその一首。

「大寒の夜さり凍みたる」は、「大寒の/夜さり/凍みたる」でしょう。

大寒から一夜が明けてみると、たる酒の表面に氷が張っている。

酒の状態を毎日見ているのでしょうが、厳しい季節の到来を日々の暮らしとともにある酒造の場面からとらえています。

アララギ歌人の冬の代表作短歌

他にアララギ派の歌人の詠んだ、寒い冬の短歌をあげておきます。

冬涸るる華厳の滝の滝壺に百千の氷柱天垂らしたり

作者:伊藤左千夫

 

夕焼け空焦げきはまれる下にして氷らんとする湖のしずけさ

作者:島木赤彦 「切火」

 

ものの行とどまらめやも山峡の杉のたいぼくの寒さのひびき

作者:斎藤茂吉『あらたま』

 

中村憲吉について

中村憲吉は、広島県の酒造の家に生まれました。

東京大学に入学し、都会で生活することを望んでいたようですが、家業を継ぐため帰郷。

「しがらみ」という歌集のタイトルは、その微妙な心境を反映しているようです。

同じ一連の歌より、酒造の場面

朝門(あさど)より風凍て吹きぬ土間のうへに埃照らしてくらき電燈(ひ)のこる

洒買ひに朝はやくより来る子あり徳利を抱きて震へたるあはれ

朝さむし母屋のうちへ洒藏戸(くらど)より蒸米(むしまい)のいきれ漏れつつにほふ

 

そして、広島県の山間部布野市での生活の様子です。

雪の日は店にくつろぎ物書きぬ障子あかりのとどく炬燵に

居竦縮(いすく)めて朝あさ妻が拭きてやる幼児(おさなご)ふたり頬霜やけぬ

憲吉は日がな店に座って、村人の応対をしながらも、いつも寂しそうであったといいます。

しかし、酒造と村の長として生活を支えながら、慣れ親しんだ都会から遠く離れた雪に閉ざされた郷里において、憲吉の短歌は完成度を強めていったのです。

中村憲吉の短歌代表作品50首 馬鈴薯の花・林泉集・しがらみ・軽雷集・軽雷集以後より




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