寒の入りの短歌・小寒の和歌【日めくり短歌】  

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寒の入りの短歌・小寒の和歌【日めくり短歌】

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寒の入り、今日は毎年1月5日、または6日の「小寒」に当たる日です。

寒の入りと寒い冬の日の短歌をご紹介します。

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寒の入りとは

寒の入りは「小寒」に同じで、24季節の一つ。

この日は年によって違いますが、毎年1月5日または6日に当たります。

冬至と大寒の間、その期間が「小寒」となります。

今日の日めくり短歌は「寒の入り」にちなみ、寒い冬の短歌をご紹介します。

 

竹おほき山べの村の冬しづみ雪降らなくに寒に入りけり

作者と出典:

斎藤茂吉 『赤光』

現代語訳と意味

竹林に囲まれた山村は、冬景色の中にしずまりかえって、雪は降らないままで寒に入った

ワンポイント解説

山村の素朴な冬の風景を詠んでいます。

「冬しづみ」は「しづまる」の意味でしょうか。

関連記事:
斎藤茂吉の冬の短歌

 

みづうみの氷は解けてなほ寒し三日月の影波にうつろふ

読み:みずうみの こおりはとけて なおさむし みかづきのかげ なみにうつろう

作者と出典

島木赤彦 『太虚集』(1926年)

現代語訳と意味

諏訪湖の張り詰めた氷は解けているが、まだ寒さは厳しい。三日月が湖面の波に冴え渡る影を映している

詳しい解説は

関連記事:
みづうみの氷は解けてなほ寒し三日月の影波にうつろふ 島木赤彦

 

寒くなりしガードのしたに臥す犬に近寄りてゆく犬ありにけり

作者と出典

斎藤茂吉 『暁紅』

現代語訳と意味

冬寒くなったガードの下に寝ている犬に近寄っていく犬がいる

ワンポイント解説

上を電車が行き交うガード下において、寒さを避けるようにうずくまっている犬をいたわるように近づいていく犬の姿を詠んでいます。

作者は、永井ふさ子との恋愛の時期で、このような風景にも心を引かれたとみえます。

関連記事:
永井ふさ子と斎藤茂吉との恋愛 相聞の短歌と結婚できなかった理由

 

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

作者:

俵万智 『サラダ記念日』

ワンポイント解説

体も心も冷え切ってしまうようなとき、何気なく「寒いね」と話しかけると「寒いね」とそのまま答えを返してくれる人が身近にいることの幸せを詠います。

あたたかい歌ですが、現代人の孤独が背景にあるともいえます。

関連記事:
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ 俵万智 

 

風暗き都会の冬は来たりけり帰りて牛乳(ちち)のつめたきを飲む

読み:
かぜくらき とかいのふゆは きたりけり かえりてちちの つめたきをのむ

作者と出典

前田夕暮 「収穫」1910年

現代語訳と意味

木枯らしの吹きすさぶ都会の冬がやってきたのだなあ。ひとり帰って冷たい牛乳をそのまま飲もうとすると、季節を強く感じることだ

ワンポイント解説

都会生活の冬の到来をこのような時に感じるという一コマです。

解説記事:
風暗き都会の冬は来たりけり帰りて牛乳のつめたきを飲む 前田夕暮

 

万葉集の冬の短歌

以下は日本最古の歌集、万葉集の冬の歌です。

わが背子と二人見ませば幾許(いくばく)かこの降る雪の嬉しからまし

読み:わがせこと ふたりみませば いくばくか このふるゆきの うれしからまし

作者:光明皇后

現代語訳:

夫と共にこの雪を見たら、どんなにか雪も喜ばしくうれしいことであろうに

詳しい解説記事はこちら
わが背子と二人見ませば幾許かこの降る雪の嬉しからまし『万葉集』光明皇后

 

新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事

読み:あらたしき としのはじめの はつはるの きょうふるゆきの いやしけよごと

作者

大伴家持 1-48

現代語訳

新しい年の初めの初春の今日降る雪のように、積もれよ、良いことよ

 

 

 

わが里に大雪降れり大原の古りにし里に降らまくは後

読み:わがさとに おおゆきふれり おおはらの ふりにしさとに ふらまくはのち

作者

天武天皇 2-103

現代語訳

私の里には大雪が降り積もったよ あなたの居る大原の古びた里に雪が降るのはまだこの後だろう

 

小竹が葉のさやぐ霜夜に七重へ着る衣にませる子ろが肌はも

読み:ささがはの さやぐしもよに ななえかる ころもにませる ころがはだは(わ)も

作者

防人 20-4431

現代語訳

笹の葉に冬の風が吹きわたって音するような、寒い霜夜に、七重もかさねて着る衣の暖かさよりも、恋しい女の肌の方が温かい

 

旅人の宿りせむ野に霜降らば吾が子羽ぐくめ天の鶴群

読み:たびびとの やどりせんのに しもふらば わがこはぐくめ あめのたづむら

作者と出典

遣唐使随員の母 9-1791

現代語訳

旅をする人が野宿する野に霜がふるほど寒くなったら、空飛ぶ鶴の群れよ天から降りて私の子を包んで守ってやってください

 

今日は、寒の入りにちなみ、冬を詠んだ短歌をご紹介しました。

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