古今集

さくら花ちりぬる風のなごりには水なきそらに浪ぞたちける 紀貫之

さくら花ちりぬる風のなごりには水なきそらに浪ぞたちける

紀貫之の古今和歌集に収録されている和歌の現代語訳と修辞法、詠まれた季節などの解説、鑑賞を記します。

古今和歌集の選者であり、古今和歌集の序文「仮名序」の作者である紀貫之の和歌を読んでいきましょう。

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さくら花ちりぬる風のなごりには水なきそらに浪ぞたちける

読み:さくらばな ちりぬるかぜの なごりには みずなきそらに なみぞたちける

作者と出典:

紀貫之 古今集404

現代語訳と意味

風で桜の花が散ってしまった名残には 水のない空に波が立っているようだ

 

句切れと修辞法

・句切れなし

・係り結び

語句と文法

・散りぬる・・・散る(連用形)+ぬる(完了の助動詞・連体形)

・名残・・・物事が過ぎ去ったあとに、その影響がなおも残っていること

・波ぞたちける・・・「ぞ…ける」は係り結び

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解説

紀貫之の古今集の有名な歌。

見立ての技法を駆使して、実景と想像上の景色の2つの情景を二重にして表現する。

見立ての歌の効果

桜の花びらが風に散ってしまい、たくさんの花びらが空に舞っている。

その様子を、空を海に、花を浪に置き換えて空間に広がりを与えるという見立ての効果を用いている。

全く違うところにあるものが、見立てとその想像によって引き寄せられ、歌を詠む人はそこにはない両方の情景を一度に「見る」ことで無限の広がりを感じることができる。

紀貫之の歌人解説

紀貫之,画像

静神社三十六歌仙より

868年ごろ~945年 早くから漢学や和歌の教養を身につけた。

古今集の撰者で三十六歌仙の一人。

古今和歌集の仮名の序文、仮名序で歌論を残した。「土佐日記」の著者でもある。

紀貫之の他の和歌

むすぶ手のしづくに濁る山の井の飽かでも人に別れぬるかな

小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋を知る人ぞなし

袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ

人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける

霞たちこのめも春の雪ふれば 花なきさとも花ぞちりける

郭公人まつ山になくなれば 我うちつけに恋ひまさりけり

しら露も時雨もいたくもる山は 下葉のこらずいろづきにけり

ちはやぶる神の斎垣にはふ葛も 秋にはあへずうつろひにけり

霞たちこのめも春の雪ふれば花なきさとも花ぞちりける

吉野川いはなみたかく行く水のはやくぞ人を思ひそめてし




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