蓮葉のにごりに染まぬ心もてなにかは露を玉とあざむく 遍照  

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蓮葉のにごりに染まぬ心もてなにかは露を玉とあざむく 遍照

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蓮葉のにごりに染まぬ心もてなにかは露を玉とあざむく

遍照の古今集の有名な和歌の現代語訳、品詞分解と修辞法の解説、鑑賞を記します。

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蓮葉のにごりに染まぬ心もてなにかは露を玉とあざむく

現代語での読み:はちすはの にごりにしまぬ 心もて なにかはつゆを たまとあざむく

作者と出典:

作者:遍照

出典:古今集第三夏歌165

※遍照の代表作の解説
天つ風雲の通ひ路吹きとぢよをとめの姿しばしとどめむ 僧正遍昭

現代語訳と意味

蓮の葉は泥水の濁りに染まらない清らかん心を持っておるのに、どうして葉の上に置いた露を玉と見せかけて人を欺くのか

句切と修辞法

  • 句切れなし
  • 擬人法

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語句と文法

  • 濁りに染まぬの品詞分解
    ・・・動詞4段活用基本形「染む」の未然形 濁りに染まらないの意味。「ぬ」は打消しの助動詞
  • なにかは・・・「なぜ」「どうして」の意味
  • 露を玉と欺く・・・「玉」は美しく貴重なものを指す。露は単なる水の粒のこと




解説

遍照の古今集収録歌。

「蓮の露を見て詠める」(ハスの露を見て詠んだ歌)との前書きがある。

植物の蓮が「を玉と見せかけて人の目をだます」という擬人法を用いた機知的な趣向の歌となっている。

蓮の葉の上の水の玉は露というのだが、それがいかにも宝玉のように美しい。

蓮には意図があるわけではなく、人が自然の美しさに心を惹かれるということを、蓮を主語の擬人法として意図的に行っているという創意がある。

「なにかは」がポイント

音調と意味においては、意味のない言葉である「なにかは」の4字に強勢がある。

ことさらに「なにかは」ということで蓮の意図の想定が導かれる。

「何かは」は副詞で「あざむく」にかかる。

濁音の効果

結句の「あざむく」は濁音を含み、ここも印象に強いものとなっている。

主語は初句の「蓮葉は」で、この初句と結句のみが濁音を含んでいることにも注意しよう。

主語と述語の本動詞は「蓮葉の-あざむく」である。

歌の意味

ちなみに、「濁りに染まぬ」も蓮葉の述語だが、これも作者の考えに過ぎない。

つまり、人間が勝手に「心が清らかである」「だます悪いもの」という対極の形容の両方を蓮葉に盛り込んでいるところに面白みがある。

僧正遍昭について

僧正遍照(そうじょうへんじょう)

814~890。遍照とも記す。平安初期の歌人。六歌仙・三十六歌仙の一人。俗名良岑宗貞。桓武天皇の孫。

寵遇を受けた仁明天皇の崩御により出家、天台宗僧正の職を務めた、歌僧の先駆の一人。

遍照の他の和歌

天つ風雲の通ひ路吹きとぢよをとめの姿しばしとどめむ 僧正遍昭

たらちねはかかれとてしもむばたまのわが黒髪を撫でずやありけむ 遍照

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