初雁のはつかに声を聞きしよりなかぞらにのみ物を思ふかな 凡河内躬恒  

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初雁のはつかに声を聞きしよりなかぞらにのみ物を思ふかな 凡河内躬恒

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初雁のはつかに声を聞きしよりなかぞらにのみ物を思ふかな 作者凡河内躬恒(おほしかふちのみつね) の古今和歌集所収の有名な和歌、現代語訳と係り結びを含む修辞法の解説、鑑賞を記します。

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初雁のはつかに声を聞きしよりなかぞらにのみ物を思ふかなの解説

現代語の読み:はつかりの はつかにこえを ききしより なかぞらにのみ ものをもうかな

作者と出典

作者:凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

出典:古今集 481

現代語訳と意味

初雁の声を耳にするように、声をほのかに聞いてからというもの、うわの空で物思いをしてばかりいることだ

句切れと修辞法

  • 句切れなし
  • 掛詞

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掛詞の和歌一覧

語と文法

  • 初雁・・・「初雁」とは、秋になって最初に北の方から渡ってきた雁のことで、初めて聞いた声との含みがある。
  • はつかに・・・「かすかに」の意味の副詞 「初雁」との掛詞となっている
  • より・・・時間の経過を表す 「それから」
  • なかぞら・・・漢字は「中空」。空の中ほどを指すが、他に「精神の不安定なさま。落ち着かないさま。うわのそら」の気持ちを指す
  • かな・・・詠嘆の終助詞 「だなあ」「ことよ」などと訳す




解説と鑑賞

凡河内躬恒の古今集収録の恋の歌。

詞書はなく「題しらず」となっている。

歌の意味

秋に遠くから空を渡ってくる雁は、姿が見えずともその声だけが聞こえる。

そのように、遠くから声だけを聴いて慕う気持ちを詠んだ歌。

そもそも昔の女性は人前にあまり姿を見せなかったとされている。

中空の意味

中空は空の真ん中、天地の中央を差し、空間には何もないところから、うつろな気持ちを指す。

「初雁」の掛詞

「はつかりの/はつかに」は、掛詞であると同時に、音の反復であり、印象に強いものとなっている。

音韻の工夫

また、「はつかりの はつかにこえを ききしより なかぞらにのみ ものを(お)もうかな」のカの音とカ行の「き」の音は全部の句に入っている。

下句は、「な」「の」「も」の音を繰り返し用いて、やわらかな音調に統一されている。

物思いのぼんやりした雰囲気が意識されている。

凡河内躬恒の他の歌

春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やは隠るる(古今41)

心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花

住の江の松を秋風吹くからに声うちそふる沖つ白波(古今360)

雪とのみ降るだにあるを桜花いかに散れとか風の吹くらむ(古今86)

花見れば心さへにぞうつりける色には出でじ人もこそ知れ(古今104)

凡河内躬恒はどんな歌人

凡河内躬恒 (読み:おおしこうちのみつね )  生没年不詳

平安時代中期の歌人。三十六歌仙の一人、『古今和歌集』の撰者。紀貫之(つらゆき)につぐ60首の歌がとられている。

感覚の鋭い清新な歌風で叙景歌にすぐれ、即興的な歌才に優れていたことをうかがわせる。

四季歌を得意とし、問答歌などでは機知に富み、事象を主観的に把握して、平明なことばで表現するところに躬恒の特長がある。


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