短歌

「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」日本初の和歌の意味

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こんにちは、まるです。
皆さんは日本で最初の短歌がどの歌でどういうものだか知っていますか。それはタイトルの「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」というものなのですが、何だかとても意外な歌だとは思いませんか。

大体なぜ、「八重垣」が三度も繰り返されるのでしょう。その秘密を解き明かしてみましょう。

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日本初の最古の和歌・短歌

日本の和歌の作りはじめのものと考えられているのが、この歌です。

八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を

読み方:

「やくもたついづもやえがきつまごみにやえがきつくるそのやえがきを」

作者:

須佐之男命(すさのおのみこと)

意味:

八雲立つ出雲の国を幾重にもとりまわしている雲ではないが、かわいい妻を籠らせるために、家の周りに幾重にも囲いを作るよ、その八重の囲いよ。

解説

この歌は興味深いことに、日本最古の「古事記」の中に出てくる歌なのです。どんな物語だったのでしょうか。

古事記の物語

「古事記」の中では、須佐之男命が出雲の「ひめ川」とのほとりで、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治して、奇稲田姫(くしなだひめ)の危機を救ったという物語があります。

その時ふたりで籠る宮殿のための土地を求めて、須我(すが)というところに来て、「吾ここにきて、我が御心すがすがし」と言われて、そこに宮を作られた。その時、そこから雲が立ち上ったので、この歌を作った、といういわれがついています。

祝婚歌の一つ

この歌は、雲が幾重もの垣のように、国原を取り囲んでいることを讃嘆し、それを自分たちへの結婚の祝福のしるしとして受け取っているというものです。昔は結婚に先立って、新居の家を作り、その家が出来上がった祝いの席上で、新室寿(にいむろことほぎ)の歌が新婚者たちの幸福を祈る意味をこめながら歌われました。

「八重垣」の繰り返しの理由

この歌は、そのような場合の宴会の歌として、新婚の儀礼にしばしば詠われたものとされています。

調べが滑らかで、快いリズムを作るために、「八重垣」が三度繰り返されているのも、「八雲」「出雲」「八重垣」の韻も、実際に謡いとして歌うために、そのように作られたのです。

歌の内容

「八雲立つ」は枕詞で、出雲という言葉を修飾するほめ言葉です。内容の大切なところは新妻と籠るための、4句の「八重垣を作る」というところだけで、それがすなわち結婚を表すことです。上句の「八雲立つ」「出雲八重垣」というのは、4句を言うための美しい雰囲気を作る言葉、その調子を取るための箇所となっています。

「垣」というのは、この場合家の内外に幾重にも取りまわしている、垣根や壁や扉のことですが、それらが幾重にも重なったさまを言って、建物の荘厳さをたたえています。その垣の内に男女がこもる寝所が、神聖な場所であるからです。ここでは、参集した人たちが、この歌を歌うことによって、その寝所に練る新婚者たちを祝福する意味合いがあったのでしょう。

「やえがき」が繰り返されて、幾重にも幾重にもという終りのなさが「八重垣を」という余韻を持つ結句にも湿されているようです。

「歌」としての音楽的な要素

現代の短歌のように文字として読むのではなく、この頃の和歌は、実際にも「歌」として声に出して歌うためのものであったので、音楽的な要素がまさっています。

当時は今とは違って、ひとつひとつの言葉や句をもっと時間をかけて、発生しましたので、声を長く引いたゆったりとした調子で歌われていたと思われます。

単純ながら華麗なイメージ、また歓喜を表すリズム――日本最初の和歌は、長い年月の結婚という儀式の旅に何度も繰り返されて詠われてきた歌謡として、今のこの時まで伝えられてきて、今も私たちが目にすることができるものとして残っているのです。

まとめ

現代の短歌に慣れてしまうと、あまりにもシンプルで、しかも繰り返しばかりで内容がないように思われてしまいますが、そうではなくて、これはつまり、歌の歌詞であったわけですね。

昔と今とでは、和歌や短歌の目的や用途が違っており、皆で唱和した謡いの歌というのは、万葉集の中にもみられます。この歌もぜひ一度は口に出して歌いながら味わってみてくださいね。

 

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