短歌・和歌

倭は国のまほろばたたなづく青垣山籠れる倭しうるわし 倭健命【日めくり短歌】 

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「倭は国のまほろばたたなづく青垣山籠れる倭しうるわし」、日本と大和である奈良の美しさを歌った倭健命 ヤマトタケルノミコト-の古事記の中にある和歌です。

建国記念日のきょうの日めくり短歌は、日本古代の皇族の一人、倭健命の和歌をご紹介します。

建国記念日とは

建国記念日は、日本という国が作られた日ですが、実は、日本では建国の日が明確ではないため、この記念日は、話に基づいたものです。

2月11日は、日本神話の登場人物であり、古事記や日本書紀で初代天皇とされる神武天皇の即位日が、日本書紀に紀元前のこの日に当たる事から、今日が建国記念日となりました。

換算する前の旧暦では、建国の日は紀元前660年1月1日であったとされています。

建国記念日にふさわしい歌として、日本と故郷の美しさを読んだ歌には、同じく神話の登場人物である倭健命の詠んだ、下の歌がよく知られています。

 

倭は国のまほろばたたなづく青垣山籠れる倭しうるわし

読み:やまとは くにのまほろば たたなづく あおかき やまごもれる やまとしうるわし

作者と出典

倭健命 (やまとたけるのみこと) 「古事記」

歌の意味

大和は国の中でも最もよいところだ。重なり合った青い垣根の山、その中にこもっている大和は美しい

 

 

解説と鑑賞

そもそも、日本が、「倭=大和」と呼ばれるのは、山がちな国土、日本が山国であることに由来します。

山と日本は、歌の想念においても深く結びついたものなのですね

山の重なり「たたなづく」

「たたなづく」というのは、漢字は「畳(たたな)づく」

幾重にも重なっているとの意味で、山の重なりを示しています。

日本最古の歌として知られる八重垣の歌「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」もこの「垣」という、家の取り巻くものを何度も繰り返し、文字通り「垣」を張り巡らして、その中にいる妻がいかにも大切なものであるかのように歌ったものです。

解説記事:
八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を 日本初の和歌の意味

「青垣」、山に囲まれた大和

「青垣」もまた、緑の山々に囲まれたということで、それをもっと拡大して、そのように山に守られるかのような国土、奈良である大和は、山々に囲まれた大切な郷土であり、国であったのです。

「まほろば」と「まほら」

その日本の国が秀麗であるという、その美しい国を表すのが、「まほろば」、それと同じ「まほら」という言葉です。

「まほろば」は音も美しい大和言葉、日本古来の和語で、日本の土地の美しさを称える歌に独特の印象を与えています。

関連記事:
よき人のよしとよく見てよしと言ひし吉野よく見よよき人よく見つ 天武天皇

 

大和言葉を継ぐ短歌

このような古い大和言葉は、短歌の中では、そのままに受け継がれてきています。

たたなづく稚柔乳(わかやはちち)のほのぬくみかなしきかもよみごもりぬらし

作者は古泉千樫(こいずみちかし)。

身ごもった女性、妻の乳房が豊かに変化をしてくる様子を詠んだ歌です。

「たたなづく」は幾重にもなっている意味の枕詞。

「青垣」や「柔膚 (にきはだ) 」にかかるものを「稚柔乳(わかやはちち)」としたものですが、やはり、「垣」のイメージは、そこに守るべき新しい命とその母である妻に共通するものです。

古泉千樫は、「青垣」というタイトルの歌誌も発行しています。古事記の和歌の言葉が、単なる言葉ではなく、イメージとして、歌人とその歌の中に生きているのですね。

関連記事:
乳房の短歌 近代から現代短歌まで 与謝野晶子 中城ふみ子 道浦母都子 篠弘 高野公彦

 

うつせみの吾が居たりけり雪つもるあがたのまほら冬のはての日

斎藤茂吉の短歌。

「まほら」は「まほろば」と同じものです。

この歌は、大和は国のまほろば」と同じく、故郷である山形の雪による白一色の景色の美しさを歌ったものです。

そこに「私が生きて今ここにある」ことの感慨が、「まほら」との言葉によって強められています。

この古い言葉が、古い言葉であるゆえに、長い長い時間の堆積を思わせるからでしょう。

この歌の解説記事:
うつせみの吾が居たりけり雪つもるあがたのまほら冬のはての日 斎藤茂吉

 

生まれた国、生まれた故郷を美しいと思えるところを、わたしたちもいつでも見つけていきたいものですね。

きょうの日めくり短歌は、建国の日にちなんだ短歌をご紹介しました。

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