新元号が「令和」に決まりました。出典は万葉集の第5巻「梅花の歌」だそうです。
万葉集の「梅花の歌三十二首」を、現代語訳付きでご紹介します。
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新元号「令和」の由来は万葉集の序文
新元号「令和」は万葉集巻五、梅花の歌三十二首の序文、
「初春の令月にして気淑(よ)く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香を薫らす」
から取られたものです。
「令月にして気淑く風和ぎ」
その最初の
「令月にして気淑く風和ぎ」
のところを、一文字ずつ取って「令和」としたわけですが、その部分の意味は、
「初春正月の良い月で、風は穏やかである」
ということになります。
序文の「梅」の部分
次の
梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香を薫らす
の意味は、
ということになります。訳は本によって多少の違いがあります。
「令和」は文学的な元号
万葉集というのは、古代の歌の本、「詩の本」ですので、今回の元号の「令和」は、文学的でもあり、美しい言葉と言えるでしょう。
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梅花の歌32首 代表的な作品
上の「令和」を含む部分は、ここから先の梅の花を詠んだ短歌32首の序文の部分です。
続く梅の短歌32首は次のようなものです。
32首全部というのは、かなり数多いので、その中で代表的なものを一つ選ぶとすると
「0839: 春の野に霧立ちわたり降る雪と人の見るまで梅の花散る
(春の野に一面に霧が立って、雪が降るのかと、人が見るほどに梅の花が散る)
他には、序文の作者とも言われる、大伴旅人の
「822:我が園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも 」
(私の園に梅の花が散る。天から雪が流れてくるのだろうか)
をあげておきます。
この歌の詳しい解説はこちらです。
梅花の歌32首全作品
梅の短歌32首の全作品は下の通りです。
0815: 正月立ち春の来らばかくしこそ梅を招きつつ楽しき終へめ
0816: 梅の花今咲けるごと散り過ぎず我が家の園にありこせぬかも
0817: 梅の花咲きたる園の青柳は蘰にすべくなりにけらずや
0818: 春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつや春日暮らさむ
0819: 世の中は恋繁しゑやかくしあらば梅の花にもならましものを
0820: 梅の花今盛りなり思ふどちかざしにしてな今盛りなり
0821: 青柳梅との花を折りかざし飲みての後は散りぬともよし
0822: 我が園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも
0823: 梅の花散らくはいづくしかすがにこの城の山に雪は降りつつ
0824: 梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも
0825: 梅の花咲きたる園の青柳を蘰にしつつ遊び暮らさな
0826: うち靡く春の柳と我がやどの梅の花とをいかにか分かむ
0827: 春されば木末隠りて鴬ぞ鳴きて去ぬなる梅が下枝に
0828: 人ごとに折りかざしつつ遊べどもいやめづらしき梅の花かも
0829: 梅の花咲きて散りなば桜花継ぎて咲くべくなりにてあらずや
0830: 万代に年は来経とも梅の花絶ゆることなく咲きわたるべし
0831: 春なればうべも咲きたる梅の花君を思ふと夜寐も寝なくに
0832: 梅の花折りてかざせる諸人は今日の間は楽しくあるべし
0833: 年のはに春の来らばかくしこそ梅をかざして楽しく飲まめ
0834: 梅の花今盛りなり百鳥の声の恋しき春来るらし
0835: 春さらば逢はむと思ひし梅の花今日の遊びに相見つるかも
0836: 梅の花手折りかざして遊べども飽き足らぬ日は今日にしありけり
0837: 春の野に鳴くや鴬なつけむと我が家の園に梅が花咲く
0838: 梅の花散り乱ひたる岡びには鴬鳴くも春かたまけて
0839: 春の野に霧立ちわたり降る雪と人の見るまで梅の花散る
0840: 春柳かづらに折りし梅の花誰れか浮かべし酒坏の上に
0841: 鴬の音聞くなへに梅の花我家の園に咲きて散る見ゆ
0842: 我がやどの梅の下枝に遊びつつ鴬鳴くも散らまく惜しみ
0843: 梅の花折りかざしつつ諸人の遊ぶを見れば都しぞ思ふ
0844: 妹が家に雪かも降ると見るまでにここだもまがふ梅の花かも
0845: 鴬の待ちかてにせし梅が花散らずありこそ思ふ子がため
0846: 霞立つ長き春日をかざせれどいやなつかしき梅の花かも
梅花の歌32首の作者と現代語訳は、次の記事に記しましたのでご覧ください。
万葉集「梅花の歌32首」現代語訳と解説 大伴旅人序文「令和」の出典
終りに
「令和」の出典となった大伴旅人作の序文と「梅花の歌32首」をご紹介しました。
新しい元号の「令和」、梅の花のように豊かで、平和な良き時代が長く続きますように。
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万葉集「梅花の歌32首」現代語訳と解説 大伴旅人序文「令和」の出典
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