恋愛の短歌 初恋と失恋 片思いを詠む 初恋の日【日めくり短歌】  

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恋愛の短歌 初恋と失恋 片思いを詠む 初恋の日【日めくり短歌】

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きょう10月30日は「初恋の日」。

島崎藤村の『若菜集』の「初恋」の詩、「まだあげ初(そ)めし前髪の 林檎(りんご)のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛(はなぐし)の 花ある君と思ひけり」の出版の日です。

今日の日めくり短歌は、「初恋の日」にちなんで、恋愛の歌をご紹介します。

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「初恋の日」の由来

きょう10月30日は「初恋の日」。

島崎藤村の『若菜集』に

「まだあげ初(そ)めし前髪の 林檎(りんご)のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛(はなぐし)の 花ある君と思ひけり」

という「初恋」の詩があります。

この有名な「初恋」が世に出たのが、明治29年10月30日であることから、島崎藤村ゆかりの宿である長野県小諸市の老舗旅館「中棚荘」(なかだなそう)が制定したそうです。

きょうの日めくり短歌は、初恋と恋愛に関する短歌をご紹介します。

 

初恋の短歌

砂山の砂に腹這ひ初恋のいたみを遠くおもい出づる日

作者は石川啄木。

「初恋」というだけではなく、喪失の悲しみと共に詠ったのが啄木のオリジナリティーです。

 

ヒヤシンス薄紫に咲きにけりはじめて心顫(ふる)ひそめし日

作者は北原白秋

ヒヤシンスと初恋という取り合わせ。一見何の関連もないようですが、パステルカラーの花は初恋にこそふさわしいのでは。

北原白秋の恋愛の歌では下の歌が最も有名です

君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ/北原白秋 表現技法の解説

 

失恋と片思いの短歌

美しき誤算のひとつわれのみが昂ぶりて逢い重ねしことも

作者:岸上大作

岸上大作は若くして自殺しましたが、失恋が原因だったとも言われています。

思いが通じるだろうと期待しているうちは良くても、到底望みがないとわかったときの落胆は、この繊細な心を持つ歌人にとってはあまりにも胸を痛ませるものだったのでしょうか。

 

少女ゆゑたやすくわれを去りゆきし君と思ひてわれはかなしむ

作者:吉村睦人

作者は少女を教える教師の立場にあったのですが、少女が去っていった理由を、相手があまりにも幼いため、として納得しようとしながら、やはりその幼さゆえに愛しむ気持ちを抑えられないのです。

 

それとなく紅き花みな友にゆづりそむきて泣きて忘れ草つむ

作者:山川登美子

作者山川登美子は、与謝野晶子と、与謝野鉄幹を自分の方に振り向かせようと争ったわけですが、作者は紅き花である鉄幹をかなしみながらも、友人の晶子に譲ろうとする。

背中を向けて、ひとり自分は忘れ草を摘むというものです。薄幸の作者でしたが、その歌は皆胸を打つものばかりです。

 

悲恋の短歌

失恋ではなく、相思相愛ではあっても、添い遂げられない苦しみの多い恋愛もあります。

シャンプーを選ぶ横顔見ておれば さしこむように「好き」と思えり

作者:俵万智

相手の男性は妻子のある人なのですが、作者はその横顔を見ていて、「さしこむように」相手への思いが湧き上がってくることを自覚する。

このような思いは、自分の意思で起こるというものではなく、こういう体験を通して、「私はこの人のことが好きだ」と自らが知ることになる。恋とは不思議なものだと改めて思います。

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さきはひを人は復(ま)た獲(え)よさもあらばあれ我が泣く心拭ひあへなくに

作者:長塚節

長塚節は長く独身でいて、やっと出会った黒田てる子と婚約をしますが、あろうことか結核にかかっていることがわかったため結婚を断念。病気を告げて断ろうとしますが、てる子は節を見舞いに来て、なかなか結婚を諦めるとは言わないのです。

節もまた別れがたいのですが、病気ではどうしようもない。

「新しい相手を見つけて、幸せになってください。そうなれば、泣かないで居ようと思っても私の心は泣いてしまうのですが」と節は苦しい胸の内を詠みました。

 

苦しびをせめて罪代(つみしろ)と堪へて来し一年の間に妻もふけたる

作者:川田順

川田順は、人妻俊子と恋に落ち、俊子もそれに応えて家族を捨てて添い遂げようとします。順63歳、俊子は30歳後半、当時「老いらくの恋」として世間を騒がせました。

「死ぬ事を決めし心の吾が顔に見えもやすると怖れつつ逢う」「つひにわれ生き難きかもいかさまに生きむとしても生き難きかも」自殺を図りながらも、どうしても思い切れず、一緒になったのが順68歳、俊子が41歳の時。

生活が落ち着いてなお、様々なものを犠牲とした、その苦しみを罪滅ぼしと考えて堪えてきたこの一年、妻も年老いたなあ、という感慨を詠んでいます。

 

きょうの日めくり短歌は、「初恋の日」にちなむ恋愛の短歌をご紹介しました。

これまでの日めくり短歌一覧はこちらから→日めくり短歌

上のいくつかの歌は 月刊誌「NHK短歌4月号 恋を詠む」に掲載されていたものです。

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