この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日 俵万智 意味と表現技法,句切れ,体言止め解説  

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この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日 俵万智 意味と表現技法,句切れ,体言止め解説

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この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日

中学校の教科書に掲載されている歌人、俵万智さんの有名な短歌代表作品の現代語訳と句切れ,表現技法などについて解説します。

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作者:

俵万智 『サラダ記念日』

俵万智の短歌代表作まとめ

現代語訳

この歌は、そもそも、日本語の古い言葉である「文語」ではなく、今の言葉の「口語」で詠まれています

なので、現代語訳の必要はなくそのままです。

歌の意味

私の作ったサラダの味を「この味がいいね」とあなたがほめてくれたので、今日7月6日を「サラダ記念日」としよう

語の意味と文法解説

意味も特に難しい言葉はありませんが、一か所ポイントとなるのは、

・「言ったから」の「から」は格助詞で、理由・原因・動機・根拠を表す。「…のために。…によって。」の意味

のところです。

表現技法と句切れ

・句切れはありませんので、「句切れなし」

・「サラダ記念日」の名詞で終わっており、それは「体言止め」

 

・教科書掲載の短歌一覧は↓
教科書の短歌 中学校教材に収録の近代・現代歌人の作品 正岡子規若山牧水石川啄木与謝野晶子他

解説と鑑賞

俵万智第一歌集の『サラダ記念日』のタイトルともなった短歌で、俵万智さんの代表作としても以前からよく知られて、親しまれているものになります。

普段私たちが使う、平易な口語で詠まれており、難しい言葉は何もないので、一見工夫も何もないように見えるが、「省略」の技法が使われています。

「サラダ記念日」の命名を読み取る

結句は「サラダ記念日」で終わっているのだが、これは、「サラダ記念日」と作者が自ら命名をしたということ。

この「命名をした」という部分は省略されて、ただ、名詞だけが体言止めで投げ出されているので、読み手が補うことが求められている。

そこに、若干の余韻に似たものがあり、まずは、そこに伝わるものがあるかないかが、歌に共感できるかどうかということになる。

「サラダ記念日」命名の理由は?

「から」は理由・原因・動機・根拠を表す格助詞だが、「この味がいいねと君が言ったから」と「七月六日はサラダ記念日」との間には、直接の因果関係がない。

また、「サラダ記念日」と命名する明確な理由、なぜ命名するに至ったかも示されていない。

「君が言ったから サラダ記念日」というのは、作者の心情を知らないとつながりがなく飛躍したものとなってしまうため、読み手は、そこを補って読む必要がありこの歌の理解のポイントとなっている。

作者の心情は?

「サラダ記念日」と命名するには、作者の”ある心情”があるのだが、そこはどうだったのか、読み手が作者の心情に同化をする必要がある。

すなわち「この味がいいね」と君が言ったことに対して、作者の心の反応が「サラダ記念日」に置き換えられて表現をされているだけなのだが、そこに至るまでの間に、「ほめられてうれしい」という気持ちが隠されている。

作者は「サラダ記念日」を伝えたか?

君に「この味がいいね」と褒められた作者は、言ってみれば飛び上がるほどうれしかったわけなのだが、それを相手に伝えたのだろうか。

「君が言ったから…サラダ記念日」のつながりには、「うれしい」に当たる言葉がなく、作者は君に褒められた時も、内心うれしさにドキドキしながら、その気持ちを大々的には表さなかったような気がする。

しかし、作者の隠したものはほめられてうれしい、その気持ちだけだったのだろうか。

「サラダ記念日」の隠すものは?

歌の中には「ほめられて飛び上がるほどうれしい」作者の気持ちは現れていない。

なぜかというと、ほめられて飛び上がるほどうれしくなるのは、作者がこの相手の「君」に好意を抱いているからと思われる。

作者はその気持ちを相手にはまだ伝えてはおらず、料理を作るということで、相手への好意を表している段階なのかもしれない。

作者はその気持ちをまだ秘めており、歌の中にも「うれしい」とはならず、それを一人の喜びとして「サラダ記念日」とすることで置き換えているのかもしれない。

「サラダ記念日」は決して大々的な宣言ではなく、作者一人の心が作った記念日なのである。

そのことから、自らの恋心を保っている若い女性の心情が伝わってくる。

そのさわやかで淡い恋心と青春時代の恋の初々しさが、この歌が広く愛唱されるゆえんなのだろう。

また同時に明るくさわやかな歌でありながら、それだけではなくどこか内面的な歌であるとはいえないだろうか。

軽やかに見えながらもそれだけではないところ、それは俵万智の短歌の特徴の一つのように思われる。




初稿はサラダでなくて「唐揚げ」だった

この歌の成立のおもしろいエピソードがあって、この歌は最初作られた時は、サラダではなくて「鶏のから揚げ」だったと作者が話している。

唐揚げの方がサラダよりも、料理としては難しいので、ほめられたことは、年頃の料理を始めたばかりの女性にとっては、よりうれしいことだったに違いない。

ただし、作品の印象としては、「唐揚げ」よりも「サラダ」の方が、すがすがしい若いイメージとなっているだろう。

この部分が「唐揚げ」だったとしたら、歌集の名前が「唐揚げ記念日」になったかというと、そうは思えない。

事実が唐揚げだったとしても、作品の中では、適切な言葉に置き換える必要があることも、この歌によってもおもしろく教えられるところがあるだろう。

俵万智プロフィール

俵万智(たわらまち)1962年大阪府門真市生まれ。

早稲田大学在学中より短歌を始める。佐佐木幸綱に師事。「心の花」所属。1987年、第一歌集『サラダ記念日』(河出書房新社)を出版、260万部を越えるベストセラーになり、第32回現代歌人協会賞受賞。歌集のほか、小説『トリアングル』、エッセイ『あなたと読む恋の歌百首』『百人一酒』など著書多数。

俵万智の他の短歌

俵万智の他の短歌の代表作です。

リンク先に解説が読めます。

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