歌会始の儀が、2か月遅れて3月26日、皇居で開かれました。
いつもなら1月ですが、今年は新型コロナウイルスの影響で3月の開催となったものです。
天皇皇后両陛下の和歌と、他の皇族の方々の短歌をお知らせします。
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天皇、皇后両陛下の短歌
天皇陛下と皇后両陛下の御製、短歌の作品です。
今年のお題「実」に沿った、希望に満ちたお歌となっています。
2022年の御歌一覧はこちらの記事にあります
<天皇陛下>
人々の願ひと努力が実を結び平らけき世の到るを祈る
<皇后さま>
感染の収まりゆくをひた願ひ出で立つ園に梅の実あをし
天皇陛下の歌会始の歌
人々の願ひと努力が実を結び平らけき世の到るを祈る
朝日新聞の解説では
宮内庁によると、天皇陛下は、人々の願いと、人々が試練を乗り越えようとする努力が実を結び、感染症が収束するよう願う気持ちを歌に込めた。 -朝日新聞解説
皇后陛下の歌
感染の収まりゆくをひた願ひ出で立つ園に梅の実あをし
皇后さまの御製は、コロナ禍を前提に、梅の実りに希望を託す御歌となっています。
梅の青さがすがすがしい雰囲気を醸し出しています。
朝日新聞の解説では
皇后雅子さまは昨年5月、お住まいのある赤坂御用地内を散歩中、梅の青々とした実を目にした際の気持ちを詠んだ。感染症の拡大で日常が大きく変わっても、変わらない自然の営みの力を感慨深く思ったという。-朝日新聞解説
雅子様のこれまでの歌会始の短歌は以下の記事に
新皇后雅子様の歌会始の短歌 平成から令和へ 被災地,吾子を詠む
お題や御製など、歌会始の歴史や解説
・・・
皇族の方々の短歌作品
他の皇族の方々の短歌は以下の通りです。いずれもお題の「実」の字を含むものです。
秋篠宮家ご夫妻の作品
<秋篠宮さま>
夏の日に咲き広ごれる稲の花実りの秋へと明るみてくる
<秋篠宮妃紀子さま>
竹籠に熟るる黄色の花梨(くわりん)の実あまき香りは身に沁みとほる
秋篠宮さまは、夏の暑い日に控えめに咲く稲の花を見て、秋に黄金色の稲穂が豊かに実ることを願う気持ちを歌にした。紀子さまは、竹籠の中の熟れたカリンの実の香りに安らぎを感じ、身近な自然をありがたく思った気持ちを詠んだ。
眞子さまの作品
<秋篠宮家長女眞子さま>
烏瓜(からすうり)その実は冴ゆる朱の色に染まりてゆけり深まる秋に
眞子さまの前年の作品は「月」を詠んだもので話題になりましたが、今回もご身辺の「実」を詠んだものと思ってもよい美しい御歌です。
<秋篠宮家次女佳子さま>
鈴懸(すずかけ)の木から落ちにし実を割りてふはふは綿毛を空へと飛ばす
※鈴懸…プラタナス よく街路樹として見られる木です。
可愛らしい情景です。
他の皇族の方々
<常陸宮妃華子さま>
野鳥くる実のなる木々に植ゑかへて君は若かる庭師と語る
<寛仁親王妃信子さま>
実りある日のくるためにながさるる汗は力となるを信ずる
信子さまは、医療現場や保健所など、コロナ禍の最前線で働く人たちへの尊敬と感謝の念を込め、コロナ禍の終息を祈って詠んだ。―朝日新聞解説
<寛仁親王長女彬子さま>
地図帳にあの日見つけし茶畑の不思議な点は茶の実のかたち
<高円宮妃久子さま>
戸隠の森にはびこる蔓柾(つるまさき)赤き実を食(は)むは眉茶鶫(まみちやじない)か
※マミチャジナイは、白い眉斑のある茶色い鶫(ツグミ)のことです
<高円宮家長女承子さま>
自室より画面越しにて繫がりて旅せぬ集ひも実現したる
承子さまは、感染症による日々の不便はたくさんあるものの、オンラインへの移行が進み、国際会議への出席や遠方の友人らとの交流など、時間的、距離的な制約なく集える実りもあったことを歌にした。-朝日新聞解説
歌会始め来年のお題は「窓」
来年のお題は「窓」です。
「窓」の文字が詠み込まれていればよく、「窓辺」「車窓」「同窓」のような熟語にしてもよいそうです。
終わりに
2月遅れで開催された、2021年歌会始の天皇・皇后両陛下と皇族の方々の歌会始の短歌をご紹介しました。
歌会始めは、他にも選者と召人(めしうど)と呼ばれる歌人の作品と、一般から公募された作品が読み上げられます。
召人(めしうど)とは、一般から招待されて、歌を詠む役割の人のことです。
2021年の歌会始の他の作品については、また明日ご紹介します。