詩の表現技法は、主に 倒置法、比喩法、擬人法、反復法、対句法、体言止めの6つがあります。
詩の表現技法について、実際に教科書で使われた例をあげながら解説します。
詩の表現技法の解説
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詩の表現技法は、主に 倒置法、比喩法、擬人法、反復法、対句法、体言止めの6つがあります。
この記事では教科書は教材に掲載された作品を元に、詩の表現技法を解説していきます。
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詩の表現技法
詩の表現技法の6つは以下の通りです。
- 倒置法
- 比喩法
- 擬人法
- 反復法
- 対句法
- 体言止め
一つずつ定義と用例を提示します。
倒置法
倒置法とは、文などにおいてその成分をなす語や文節を、普通の順序とは逆にする表現法のことです。
普通の文章にもみられますが、詩歌では短歌や俳句においても使われる技法です。
倒置法の目的
倒置法の目的は、語勢を強めたり語調をととのえたりするものです。
語順を逆にすることで強調される部分が違ってきます。
また、文の終わりに終止形を用いないようにすることで、逆に余韻を残したりすることも大きなこうかといえます。
倒置法の詩の例
倒置法の用いられた詩句の例です。
とんでいこう どこまでも
あしたたくさんの「こんにちは」にであうために
「どこまでもとんでいこう」が普通の語順ですが、それが逆になっています。
続く、
あしたたくさんの「こんにちは」にであうために
が普通の語順ですが、「とんでいこう どこまでも あしたたくさんの「こんにちは」にであうために」と行ごと逆になっています。
こうすることで、最初に置かれた方が強調され、さらに後に置かれた言葉の語尾を終止形にしないことで、余韻が残るようになっています。
例に用いた詩は
比喩法
比喩というのは、物事の説明や描写において、ある共通点に着目した他の物事を借りて表現することです。
比喩はたいへん多くみられる詩歌の基本的な表現技法のひとつです。
現代文の例で言うと、「りんごのような頬」とか「雲のような柔らかさ」という通り「・・・のような」と記述されるものです。
比喩は、短歌だけではなく、話し言葉や書き言葉、短歌だけではなく他の詩歌でも多く使われています。
直喩と隠喩の違い
この「ような」の部分は、省略することができます。たとえば、「りんごのような頬」を「りんごの頬」ということもできます。
前者を 直喩、後者は隠喩として分類されます。
直喩 | りんごのような頬 |
隠喩 | りんごの頬 |
違いは「ような」「ごとく」などを用いるか用いないかにあります。
詩の比喩表現の例
新川和江の「私を束ねないで」の詩では、隠喩と直喩の両方の比喩が用いられています
隠喩の部分
あらせいとうの花のように
白い葱のように
この部分は比喩です。
「ように」が付く比喩は「隠喩」というものです。
直喩の部分
わたしは稲穂
の部分は、私は稲穂のような(人)という比喩で、「ような」がないので、直喩という比喩の技法です。
「わたしは羽撃き」「私は海」わたしは風 わたしは終わりのない文章の各連の表現も同様です。
擬人法
擬人法というのは、人間以外のものを人間に見立てて表現する修辞法のことです。
「鳥が歌う」「風がささやく」など、人以外のものが主語になって、その述語の部分を比喩的に表現するものです。
擬人法は、比喩の表現の一つでもあります。
擬人法の用いられた詩の例
吉野弘の「岩が」の詩では、
- 「岩が流れに逆らう」
- 「魚が岩を憐れむ」
- 「岩が魚を卑しめる」
などの表現がみられ、いずれも擬人法です。
反復法
反復法とは、同じ言葉もしくは似た言葉を繰り返した表現をいいます。
リフレインともいい、歌謡にも多く使われます。
反復法の用いられた詩の例
再び新川和江の「私を束ねないで」を見てみましょう。
わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音
1連と2連とでは、「わたしを・・・ないで」「ください」「わたしは」と反復法が用いられています。
同じ連の中でも「ように」の繰り返しがみられ、こちらも反復法と言えます。
対句法
対句法は反復とも似ていますが、表現が同じもしくは似ている2つの句を並べ、対称・強調させる技法をいいます。
反復法の用いられた詩の例
「おれはかまきり」の各連の出だしは下のようになっています。
第1連
おう なつだぜ
おれは げんきだぜ
第2連
おう あついぜ
おれは がんばるぜ
この詩について詳しくは
体言止め
体言止めは 文章の終わりが名詞で終わるものです。
体言は名詞を指します。対する「用言」は動詞です。
体言止めの詩の例
吉野弘の「岩が」には名詞で終わる連があります。
逆らうにしても
それぞれに特有な
そして精いっぱいな
仕方があるもの。
この部分が体言止めです。
もう一つ、新川和江の『私を束ねないで』にも
- わたしは稲穂
- わたしは羽撃はばたき
- わたしは海
- わたしは風
- わたしは終わりのない文章
というところは、行の終わりが名詞になっており、この部分が体言止めです。
この詩は、他にも体言止めの詩句が多く含まれています。
詳しくは
省略法
省略は、主語や述語、修飾語など文章の一部を省略して文を書く技法です。
以上、詩の表現技法より、主要な6つである倒置法、比喩法、擬人法、反復法、対句法、体言止めについて用例をあげて解説しました。