おにぎりの短歌 「おむすびの日」に読みたい  

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おにぎりの短歌 「おむすびの日」に読みたい

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おむすびの日は1月17日、阪神大震災の日におむすびを配ったことから制定されました。

きょうの日めくり短歌はおむすびの日にちなみ、おにぎりとおむすびの短歌をご紹介します。

おむすびの日

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1月17日は、阪神淡路大震災の起こった日です。

1月の寒い時期に被災をされて、食べ物にも困っている時、被災者の方々の手に渡ったのが「おむすび」でした。

そこから、お米の大切さと、ボランティアの方々の善意を各地に広めようと「おむすびの日」が制定されたということです。

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おむすびの日の由来

おむすびの別名には「おにぎり」もあり、「おにぎりの日」(6月18日)というのもあります。

けれども、阪神大震災の場合は、人と人との結びつきが連想される「おむすび」のことばの方が選ばれました。

おむすびと歴史

おむすびはいわば日本のファストフードで、古くは「屯食」(とんじき)と呼ばれて、携行食や兵士の食事にも用いられていたようです。

屯食(とんじき)は、平安時代、宮中、貴族の邸宅で饗宴で庭上に並べて下級職員、時に身分ある人に賜った物である。一説に、強飯を握り固めて鶏卵形にしたものである 出典-フリー百科事典wikipediaより

おもしろいことに古代の地理誌である「常陸国風土記」には、筑波山が「握飯筑波」として記されています。

意味はよくわからないのですが、筑波山でごちそうを食べた歌会に由来するのか、あるいは常陸は米が豊富であったり、筑波山の山の形に由来するものであったかもしれませんね。

いずれにしても「握飯」がつくと、山に豊かな印象が加味されてきます。

山の呼び名というよりも、枕詞的に使われた「握飯」であるようです。

なお、この場合の読みは「にぎりいひ」です。

 

おむすびの短歌

おむすびの短歌として思い出すものは下のような歌があります。

よる更けてふと握飯(にぎりめし)くひたくなり握飯くひぬ寒がりにつつ

作者は斎藤茂吉。第一歌集の『赤光』に掲載されるものです。

意味は夜遅くなって仕事をしていた作者が、空腹を覚えて、自ら寒い台所に行っておにぎりをこしらえて食べた、という場面です。

この歌の詳しい解説

にぎり飯を持てこし見ればほほの葉に包まれながらにほふひととき

作者は同じ斎藤茂吉。

朴の葉に包まれたおにぎりを山頂で食べた場面でしょう。

ほんのりと朴の葉の香りがご飯に移っているというのです。

万葉集の、

家にあれば笥(け)に盛る飯(いひ)を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(万142)

も思い出されます。

こちらは悲しい歌ですが、茂吉の歌は安らぎに満ちています。

家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る 有間皇子

 

小松菜の花ながめつつ手握りの飯食しをれば老いは愉しも

作者は、同時代の前田夕暮。

庭の花かピクニックの場面のようです。

「手握りの飯(いひ)」がおにぎりですね。

「食し」を「をし」と読むすれば、「食し」は本来は敬語として使われる言葉です。

 

こころざし定まりて人いふことなしほがらかに食ふやその握り飯

作者は窪田空穂。

考えがまとまって気持ちも定まったところで、おにぎりを美味しく朗らかにいただくという内容の歌です。

このようなときに、おにぎりはぴったりの食べ物ではないでしょうか。

タイミングよく登場するおにぎりのおかげで、より愉快に心が晴れていくようです。

 

ここまでは近代の短歌ですが、現代の歌もご紹介しましょう。

 

鮭の死を米で包んでまたさらに海苔で包んだあれが食べたい

最近のおにぎりの有名な歌。作者は木下龍也さん。

歌の中には「おにぎり」の名称は出てきていません。

しかし、誰もがこれはおにぎりなのかがわかるでしょう。

「鮭」そして「海苔」の取り合わせのためですね。

木下龍也短歌作品集『つむじ風ここにあります』

 

死んでいないひととわけあうおむすびの塩味きつい午後三時です

作者は笹井宏之さん。

場面はわかりませんが、お葬式の日の食事かもしれません。

このような時の食事はおいしいはずはなく、しかも時計は午後3時という半端な時間を示しています。

笹井宏之の短歌 早世の歌人 没後10年を機に笹井宏之賞

 

空腹を訴える子と手をつなぐ百円あれどおにぎりあらず

作者は俵万智。

その頃の住まいは仙台でその後作者は九州に移住されます。

上記の通りの厳しい状況を経験されていたのですね。

俵万智短歌代表作まとめ

 

きょうの日めくり短歌は「おむすびの日」にちなんだ歌をご紹介しました。

・日めくり短歌一覧はこちらから→日めくり短歌




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