七夕の短歌の歴史は古く、万葉集にも七夕の巻は収められています。
万葉集の七夕の短歌を集めてみました。
今年は、彦星こと牽牛星と織姫、織女の一年に一度の逢いは遂げられるでしょうか。
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万葉集にある七夕の歌
七夕伝説というのは中国から伝わったもので、ひじょうに古く、万葉集の時代から七夕の歌が詠まれています。
この記事においては、斎藤茂吉が柿本人麻呂作の七夕歌としたものだけを抽出してご紹介します。
この後の近代短歌と現代短歌の七夕の歌は下の記事に
七夕の短歌 近代から現代短歌 正岡子規 与謝野晶子 宮柊二 岡野弘彦 米川千嘉子他
万葉集にある七夕歌全文はここから。
→ 万葉集の七夕歌
万葉集の七夕歌 柿本人麻呂作
万葉集の七夕歌のうち、そのうち前半は柿本人麻呂歌集にあるものです。
この歌集には、人麻呂作とそうでないものが混在して収められていますが、その中から、人麻呂作の七夕歌として確定できるものを挙げておきます。
人麻呂作との確定は斎藤茂吉の説に基づきますが、茂吉がこれらを人麻呂作と考えたのは、他の歌に比べてすぐれた点があるためだと思います。
その指摘は茂吉のメモに拠るものです。
意味:
頬の赤い寝良げな織女星を幾度も見ると、人妻なのに私は恋をしそうだ
意味:
天の川の安の渡し場に船を浮かべて秋が来るのを待っていると妻に告げてほしい
意味:
天の川の水影草が秋風になびくのを見ると、その時は来たのだ
意味:
私が待っていた秋萩が咲いた。今すぐにでも色に染まりに行きたい。向こう岸の人に
意味:
千万年も照るはずの月も雲に隠れるように会えずに苦しいものだ 会いたく思うのに
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山上憶良の七夕歌
ここからは、万葉集の代表的歌人の一人、山上憶良の七夕歌について記します。
現代語訳と意味:
天の川を隔てて互いに向き合って立っている。私が恋しく思っていたあのお方がいらっしゃる。紐をほどいて準備しよう
現代語訳と意味:
袖を振ったら見交わせそうなほど近いのに、渡るすべがない 秋ではないので
現代語訳と意味:
わずにかに逢っただけで別れてしまったら、やたらに恋しく思うことだろうか。また逢う日まで
初句は「玉蜻(かぎろひ)の」となっている版もあります。
織女の今夜逢ひなば常のごと明日を隔てて年は長けむ
こちらは、七夕の夜が明けてからのことを詠んだ 作者不詳 2080の歌。
意味は
織姫が今夜あったとしたら、いつものように明日から牽牛を恋い始める一年は長いだろう
というもので、作者も織姫の気持ちに強く同化して詠んでいます。
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