現代短歌

観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生 栗木京子代表作鑑賞

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こんにちは。まるです。

今日は現代を代表する歌人、栗木京子さんの苦しいまでに切ない恋愛の短歌として有名な「観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生」の短歌をあらためて味わってみようと思います。

 

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観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生

今では知らない人はいないだろうと思うくらい、栗木京子さんの代表作としても、そして恋愛の短歌の代表的なものとしても上げられるこの一首を再度味わってみましょう。

現代語訳:

観覧車よ、どうぞとまることなく回り続けてほしい。あなたにはたった一日の思い出でしょうが、私には一生の思い出となるこのひと時を

表現技法

「回れよまわれ」の繰り返しが、めくるめく恋の思いを伝えています。

「想ひ出」の「ひ」は旧かなづかいというもので、音は「想い出」と同じく、「おもいで」と読みます。

「一日」は「ひとひ」と読んで、いちにちの意味。
最後の「一生」は「ひとよ」と詠み、一生(いっしょう)、生涯という意味です。

「回れよまわれ」は命令形による終止形のため、2句切れ。

そして最後は、「一生」(ひとよ)という名詞で終わるので、体言止めという技法となります。

効果的なリフレイン

また、表現技法のひとつとして揚げられるのが、「回れよまわれ」の繰り返しです。

そして「君には一日我には一生」の「君」と「我」の並置と対比。

音の面では「には…には」の繰り返し。

また、「ひとひ-ひとよ」の対比と、「ひと」のこれも繰り返しがあります。

そして、それらに挟まれて、上の句と下の句をつなぐ言葉となっているのが「想ひ出は」となっているため、この言葉は目立って重いものとなっています。

これらの表現、リフレインのリズムと構成は、この歌をくっきりと形作っている特徴の一つで、大きな効果を与えるものとなっています。

短歌は、歌の意味以上にこういう面がたいへんに大切であり、意味以上にこのような表現そのものが、この歌の本質であるとも言えます。

 

鑑賞とポイント

この歌は、恋愛の歌ですが、楽しい歌ではありません。

普通ならデートは楽しいはずなのです。しかしこの歌は「想ひ出は」となっており、この恋愛の週末が最初から見えています。

それを、作者「一生」という言葉で、そのひたむきさを伝えています。

束の間の相手との楽しい時間を心から惜しむ気持ちが見えてきます。

恋愛の切なさという以上の悲劇的なまでの繊細で感じやすい作者の性向もうかがえる一首です。

栗木京子経歴

栗木京子さんは1954年名古屋市生まれ。京都大学理学部卒。
1981年に「塔」入会、現選者。「読売新聞歌壇」選者。。夫は医師。

1984年に最初の歌集『水惑星』を出版。他に『中庭』『綺羅』 『万葉の月』などの歌集があり、2003年に出された歌集『夏のうしろ』は、第8回若山牧水賞(2003年)、平成14年短歌研究賞。歌集「夏のうしろ」で15年若山牧水賞,16年読売文学賞。19年「けむり水晶」で芸術選奨文部科学大臣賞,迢空(ちょうくう)賞。26年「水仙の章」で斎藤茂吉短歌文学賞。知的で独特の叙情で知られる。歌誌「塔」,「読売歌壇」の選者。愛知県出身。京大卒。歌集はほかに「水惑星」「中庭」「万葉の月」など。

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