水を詠んだ短歌にはどんな歌があるでしょうか。
きょうはみずの日、「し(4)み(3)ず」(清水)と読む語呂合わせから全国にある清水寺でつくる「全国清水寺ネットワーク会議」が制定した記念日です。
きょうの日めくり短歌は水を詠んだ短歌や和歌をご紹介します。
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みずの日とは
今日は水の日、正確に言うと、清水寺・みずの日というものです。
4月3日が、「し(4)み(3)ず」(清水)と読む語呂合わせから、京都の清水寺と全国にある清水寺などが制定。
水の日は他にも「水の日」という漢字の水の日が、8月1日が記念日となっています。
みずの日と、水の日のそれぞれが一年に計2回あるわけですね。
水の短歌
水の短歌で印象に残るものはたくさんありますが、まずは清水寺の「清水」という字を使った短歌というと西行法師の
道の辺に清水流るる柳陰しばしとてこそ立ちどまりつれ
「清水」の読みは「しみず。その清水の流れる柳かげ、旅の途中の休憩でつい長居をしてしまったという歌です。
「しばしとてこそ」の「とてこそ」ここの音がとつとつとしていて、いかにも「立ち止まった」風のところがおもしろいですね。
石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも
万葉集の志貴皇子の有名な歌。「垂水」というのは、この場合岩の上を流れる川水を言うのです。
水を入れたことで躍動感のある春を表す歌となっています。
この歌の解説は
わが妻はいたく恋ひらし飲む水に影さへ見えて世に忘られず
こちらも万葉集から、防人の歌。詳しい作者名はわかりませんが、妻のある人で、その妻が飲む水の上に移るからには、別れた後、自分を慕っている嘆いているのだろうというのです。
美しくも悲しい歌です。
この歌の解説は
ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは
こちらは川の水と紅葉を取り合わせて詠った在原業平の名歌。
龍田川を赤く染めるこの美しさは、神代にもなかったとして、時の流れを含めて壮大に歌います。
この歌の解説は
袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ
紀貫之の有名な歌。「むすぶ」は飲むための水を手ですくうことで、水の温度が体感的に歌われています。
その水の氷が、春の暖かい風に溶けるだろうというのですが、「風」を主語にする能動的な表現となっています。
この歌の解説は
髪五尺ときなば水にやはらかき少女ごころは秘めて放たじ
作者は与謝野晶子。この水は、髪を洗うためのたらいの水です。
その水に浮かぶ長い黒髪。特に春の歌というのではありませんが、なんとなく春を感じさせる歌でもあります。
この歌の解説は
さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり
現代短歌からは、馬場あき子の短歌の代表作品といっていい、よく知られた歌です。
桜と水の取り合わせ、それに桜の木をめぐる時の流れと自らの年齢を重ねています。
この歌の解説は
きょうの日めくり短歌は、みずの日にちなみ水を詠んだ短歌をご紹介しました。
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