菊の和歌 重陽の節句に読みたい  

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菊の和歌 重陽の節句に読みたい

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菊は秋を代表する植物であり、その花は野生の菊も含め、栽培された菊と合わせて古くから人々に愛でられてきました。

きょう9月9日の日めくり短歌は、重陽の節句・菊の節句にちなみ、菊を詠んだ和歌をお知らせします。

重陽の節句・菊の節句の意味

重陽の節句は長寿を祈願する行事です。

五節句のひとつであり、菊をもちいて行事をするので別名「菊の節句」とも呼ばれます。

菊酒や菊ご飯など、菊を取り入れる料理をいただくのも風習の一つです。

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菊の和歌

菊の和歌は万葉集にはなく、菊の代わりの呼び名「百代草」の歌があるだけです。

父母が殿(との)の後方(しりへ)の百代草百代いでませ我(わ)が来(きた)るまで

その後の時代、古今集以降になると菊はしばしば詠まれており、有名な和歌もたくさんあります。

菊の花の和歌をお伝えしましょう。

心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花

読み:こころあてに おらばやおらん はつしもの おきまどわせる しらぎくのはな

作者と出典

作者:凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

出典:古今集 秋下・277 百人一首 29番

現代語訳と意味

もし折るのなら、当て推量で折ろうか。初霜が置いて、その白さで霜か菊かと、人を困惑させれている白菊の花よ

解説

百人一首の29番に選ばれた躬恒の有名な歌です。

霜か菊かということは、かなり気温が下がってからのことで、晩秋に詠まれたものであることがわかります。

「折らばや折らむ」に迷っている気持ちが表れています。

霜を待つ籬(まがき)の菊の宵の間におきまよふ色は山の端の月

読み:しもをまつ まがきのきくの よいのまに おきまよういろは やまのはのつき

作者と出典

作者:宮内卿

出典:新古今和歌集 巻第四 秋歌下 507

現代語訳と意味

霜の来るのを待っている籬の白菊が、宵の間に、もう霜が置いたかと見まちがうばかり見せている色は山の端に出た月が映るのである

解説

女流歌人の宮内卿の仙洞句題五十首の和歌。

まがきは竹木で粗く編編んだ垣根のことで、そこに霜かと思う輝きを見せて、月光に照らされる白菊が咲いている情景を読んだものです。

「霜をまつ」は 霜にあって色変りしようと待ちうけている咲き残った菊のこと。

「まつ」「よひの間」は縁語で、「菊」は「霜」ではなく宵の間に思う人を待つ女性の比喩であることがわかります。

スポットライトで焦点化されたような効果と繊細な景色のとらえ方に特徴があります。

その前の躬恒の歌との類似がみられます。

 

秋の菊にほふかぎりはかざしてむ花より先としらぬわが身を

読み:あきのきく におうかぎりは かざしてん はなよりさきと しらぬわがみを

作者と出典

紀貫之 古今和歌集276

現代語訳と意味

秋の菊が美しく咲いている間は頭に飾って見よう。花より先にこの世から消えるかもしれない我が身であるから

解説

「におふ」は花が「咲く」という動詞。

菊の花の命の限りと、自分の命を並べています。

紀貫之の代表作和歌一覧

ひともとと思ひしきくを大沢の池のそこにもたれかうゑけむ

読み:ひともとと おもいしきくを おおさわの いけのそこにも たれかうえけん

作者と出典

紀友則 古今和歌集巻5 秋歌下 275

現代語訳と意味

一本だけが咲いていると思っていた菊の花が大沢池の底にも咲いているのは誰が植えたのだろう

解説

菊合(きくあわせ)の席で実景ではなく、大沢池を模した箱庭にを詠んだ歌。

大沢の池をかたどった箱庭の州浜に菊が植えてある、その菊を指して詠んだと思れます。

 

重陽の節句の菊の和歌

9月9日の重陽の節句は菊の節句でもあり、不老長寿を願うことから、その意味の和歌も詠まれています。

我が宿の菊の白露今日ごとに幾世積もりて淵となるらん

読み:わがやどの きくのしらつゆ きょうごとに いくよつもりて ふちとなるらん

作者と出典

作者:清原元輔 きよはらのもとすけ

出典 :拾遺和歌集

現代語訳

我が家の菊の白露は、これから毎年の九月九日ごとにいったい幾代積もり溜まって、淵となるのだろうか。

解説

詞書に「三条の后宮の裳着はべりける屏風に九月九日の所」とあります。

冷泉天皇の中宮となる昌子(しょうし)内親王の、成人式である裳着(もぎ)に、祝いの屛風に描かれていた重陽の菊、その傍らに添えられた和歌。

内親王がいつまでも長生きするというお祝いの意味が込められています。

 

長月の九日ごとに摘む菊の花もかひなく老にけるかな

読み:ながつきの ここのかごとに つむきくの はなもかひなく おいにけるかな

作者と出典

作者:凡河内躬恒 おおしこうちのみつね

出典 :拾遺和歌集 185

現代語訳

毎年の九月九日ごとに摘む菊の花の甲斐もなく、年老いてしまったことだ

解説

こちらも9月9日の重陽の節句の和歌。

長寿を願って毎年菊を摘んでいたとのことですが、それでも防げなかった老いを嘆く歌です。

重陽の日には、宮中で観菊の宴がもよおされ、菊の酒がふるまわれるという行事でもありました。

現代の今頃は菊の咲くにはやや早い時期ですが菊を見かけたら長寿をお祈りしてみましょう。

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