紀貫之の代表作和歌一覧  

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紀貫之の代表作和歌一覧

2022年7月14日

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紀貫之の代表作和歌と古今集収録の和歌を一覧にまとめます。

紀貫之は歌人であるだけでなく日本初の勅撰和歌集である古今和歌集の撰者であると共に序文の仮名序の著者でもあります。

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古今和歌集と紀貫之

古今和歌集-905年は天皇によって紀貫之が編纂を命じられた和歌集です。

『古今和歌集』はもっとも最初の勅撰和歌集として記念すべき歌集になります。

 

勅撰和歌集とは

天皇が作るように指示した和歌集のことを勅撰和歌集と言います。

勅撰和歌集には他に『後撰和歌集』(ごせんわかしゅう)『拾遺和歌集』(しゅういわかしゅう)があり、『新続古今和歌集』(永享11年(1439年)成立)までの534年間で21の勅撰和歌集が編纂され、これらは「二十一代集」と総称されています。

 

紀貫之の序文「仮名序」

紀貫之は古今集の編纂だけではなく、序文の「仮名序」を記しました。

「仮名序」には、和歌に対する紀貫之の考え方や、これまでの時代に生まれた優れた歌人の批評文も含まれています。

解説:仮名序の意味と内容解説 古今和歌集の紀貫之の序文

そこに記された6人の歌人が六歌仙と呼ばれており、後世の手本となりました。

解説:六歌仙とは 紀貫之の六歌人の評を現代語訳付で解説

紀貫之自身はのちの三十六歌仙の一人として柿本人麻呂に続く2番めの歌人として挙げられています。

解説:三十六歌仙の歌人一覧と有名な作品

 

紀貫之の和歌の代表作品

紀貫之の和歌の代表作で、最も有名なものとしては、まず百人一首に採られた歌である下の歌があげられます。

この和歌は百人一首の35番に入集しています。

人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける

読み:ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににおいける

出典

『古今集』春・42 百人一首35

現代語訳と意味

人の心は変わりやすいので、さあ、あなたの心の内はわかりません

しかし、昔なじみのこの土地で、梅の花だけは昔通りの香りで匂っています

解説:人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける 紀貫之

 

袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ

読み:そでひちて むすびしみづの こほれるを はるたつけふの かぜやくらむ

作者と出典:

紀貫之 古今集

現代語訳と意味

夏のころ知らず知らず袖がぬれながら、すくいあげた水が、寒い水のあいだ凍っていたのを、立春の今日のあたたかい風がとかしているであろうか

解説:袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ 紀貫之

 

吹く風と谷の水としなかりせばみ山隠れの花を見ましや

現代語の読み:ふくかぜと たにのみずとし なかりせば みやまがくれの はなをみましや

作者と出典:

紀貫之 古今集 巻第二春歌下118

現代語訳と意味

吹き散らす風と流す谷川とがなかったならば、深い山に人知れず咲く桜の花をどうして見ることができるだろうか

解説:吹く風と谷の水としなかりせばみ山隠れの花を見ましや 紀貫之

 

むすぶ手のしづくに濁る山の井の飽かでも人に別れぬるかな

読み:むすぶての しづくににごる やまのいの あかでもひとに わかれぬるかな

作者と出典:

紀貫之 古今集404

現代語訳と意味

すくう手から滴り落ちるしずくで水が濁る山の井の水にまんぞくしないように、名残惜しいままに人と別れてしまうことであるよ

解説:むすぶ手のしづくに濁る山の井の飽かでも人に別れぬるかな 紀貫之

 

ゆく年の惜しくもあるかなますかがみ見る影さへに暮れぬと思へば

読み:ゆくとしのおしくもあるかな ますかがみ みるかげさえに くれぬとおもえば

作者:

紀貫之 「古今集」

現代語訳と意味:

「行く年が惜しまれることよ。鏡に映って見える自分の姿までも、暮れ老いてしまったと思えば」

 

小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋を知る人ぞなし

現代語での読み:おぐらやま みねたちならし なくしかの えにけんあきを しるひとぞなし

作者と出典:

紀貫之 古今和歌集 439

現代語訳と意味

小倉山の峰に鳴く鹿は、幾年の秋を経ただろうか。それを知る人は誰もいない

解説:小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋を知る人ぞなし 紀貫之の折句解説

 

わがせこが衣春雨ふるごとに野辺のみどりぞ色まさりける

作者:紀貫之『古今集』

現代語訳と意味:

春雨が降るごとに、少しずつ、野原の緑が濃くなっていくのだよ

「わがせこが衣」は、ここまでで春にかかる序詞ですので、内容を表すのはそれ以下です。

「ごとに」「まさる」といういい方で、時間経過を詠み込んだ歌となっています。

 

一年に一夜と思へど七夕の逢ひ見む秋のかぎりなきかな

作者と出典:

作者:紀貫之

現代語訳と意味:

一年に一度だけの夜だけれども、七夕の逢瀬の秋は限りがなく、永遠に続くのだなあ

 

紀貫之の他の古今集収録歌

以下は、古今集収録の和歌一覧です。

霞たちこのめもはるの雪ふれば花なき里も花ぞ散りける(古今9)
春日野の若菜つみにや白妙の袖ふりはへて人のゆくらむ(古今22)
わがせこが衣はるさめふるごとに野辺のみどりぞ色まさりける(古今25)
青柳の糸よりかくる春しもぞみだれて花のほころびにける(古今26)
暮ると明くと目かれぬものを梅の花いつの人まにうつろひぬらむ(古今45)
桜花咲きにけらしもあしひきの山のかひより見ゆる白雲(古今59)
山たかみ見つつわが来し桜花風は心にまかすべらなり(古今87)
さくら花ちりぬる風のなごりには水なき空に波ぞたちける(古今89)
三輪山をしかも隠すか春がすみ人にしられぬ花や咲くらむ(古今94)
花の香にころもはふかくなりにけり木この下かげの風のまにまに(新古111)
あづさゆみ春の山べをこえくれば道もさりあへず花ぞ散りける(古今115)
春の野に若菜つまむと来こしものを散りかふ花に道はまどひぬ(古今116)
やどりして春の山べに寝たる夜は夢のうちにも花ぞ散りける(古今117)
吉野川岸のやまぶき吹く風にそこの影さへうつろひにけり(古今124)
夏の夜のふすかとすれば時鳥ほととぎす鳴く一声に明くるしののめ(古今156)
五月雨の空もとどろに時鳥ほととぎすなにを憂しとか夜ただ啼くらむ(古今160)
ほととぎす人まつ山になくなれば我うちつけに恋ひまさりけり(古今162)
川風の涼しくもあるかうち寄する波とともにや秋は立つらむ(古今170)
誰が秋にあらぬものゆゑ女郎花をみなへしなぞ色にいでてまだきうつろふ(古今232)
やどりせし人のかたみか藤袴わすられがたき香ににほひつつ(古今240)
秋風の吹きにし日より音羽山峰のこずゑも色づきにけり(古今256)
白露も時雨もいたくもる山は下葉のこらず色づきにけり(古今260)
ちはやぶる神の斎垣にはふ葛くずも秋にはあへずうつろひにけり(古今262)
秋の菊にほふかぎりはかざしてむ花より先としらぬわが身を(古今276)
見る人もなくて散りぬる奧山の紅葉は夜の錦なりけり(古今297)
年ごとにもみぢ葉ながす龍田川みなとや秋のとまりなるらむ(古今311)
夕づく夜をぐらの山に鳴く鹿の声のうちにや秋は暮るらむ(古今312)
雪ふれば冬ごもりせる草も木も春にしられぬ花ぞ咲きける(古今323)
冬ごもり思ひかけぬを木の間より花とみるまで雪ぞふりける(古今331)
白雪のふりしく時はみ吉野の山下風に花ぞちりける(古今363)
春くれば宿にまづ咲く梅の花きみが千年ちとせのかざしとぞみる(古今352)
白雲の八重にかさなる遠をちにても思はむ人に心へだつな(古今380)
別れてふことは色にもあらなくに心にしみてわびしかるらむ(古今381)
秋萩の花をば雨にぬらせども君をばまして惜しとこそ思へ(古今397)
かつ越えてわかれもゆくか逢坂あふさかは人だのめなる名にこそありけれ
吉野川いはなみたかく行く水のはやくぞ人を思ひそめてし(古今471)
世の中はかくこそありけれ吹く風の目に見ぬ人も恋しかりけり(古今475)
山ざくら霞のまよりほのかにも見てし人こそ恋しかりけれ(古今479)
山ざくら霞のまよりほのかにも見てし人こそ恋しかりけれ(古今479)
逢ふことは雲ゐはるかになる神の音に聞きつつ恋ひ渡るかな(古今482)
君恋ふる涙しなくは唐ころも胸のあたりは色もえなまし(古今572)
しきしまや大和にはあらぬ唐衣ころもへずして逢ふよしもがな(古今697)
色もなき心を人にそめしよりうつろはむとは思ほえなくに(古今729)
いにしへになほ立ちかへる心かな恋しきことに物忘れせで(古今734)
明日知らぬ我が身と思へど暮れぬまの今日は人こそかなしかりけれ(古今838)
朝露のおくての山田かりそめにうき世の中を思ひぬるかな(古今842)
ほととぎす今朝鳴く声におどろけば君に別れし時にぞありける(古今849)
君まさで煙たえにし塩釜のうらさびしくも見え渡るかな(古今852)
思ひやる越の白山しらねどもひと夜も夢にこえぬ夜ぞなき(古今980)

以上、紀貫之の代表作の和歌と古今集に収録された和歌をご紹介しました。




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