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秋の和歌 有名な作品まとめ 万葉集・古今・新古今集他

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秋の和歌、四季を詠んだ歌のうちでも秋を詠んだ歌はたくさんあります。

古来、秋は歌ごころを誘う季節ともいえますね。特に読んでおきたい有名な秋の和歌を万葉集、古今集と古今和歌集の時代から選りすぐってまとめてご紹介します。

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■秋の歌 万葉集から

まずは万葉集から秋の和歌をご紹介します。

庭草に村雨降りてこほろぎの鳴く声聞けば秋づきにけり

読み:にわくさに むらさめふりて こおろぎの なくこえきけば あきづきにけり

作者と出典

万葉集 巻10 2160 作者未詳

この和歌の意味

通り雨の村雨が降ったら、蟋蟀が鳴き始めた声が聞こえて、そうなるとすっかり秋めいてきたのだなあ

雨で涼しくなった空気を感じながら、秋の訪れを実感するという内容です。

 

秋の野に咲きたる花を指折り(およびをり)かき数ふれば七種(ななくさ)の花

作者と出典

万葉集 巻8 1537 山上憶良

この和歌の意味

秋の野原に咲いた数々の花を、指を追って数えると7種類であるよ

この一つ後の歌は、「萩の花尾花葛花(くずはな)なでしこの花おみなえしまた藤袴(ふじばかま)朝顔の花」秋の七草を並べています。

詳しい解説は個別ページに
秋の七草は万葉集の山上憶良の短歌 「秋の野の花を詠む歌」

 

君待つと我が恋ひ居れば我が宿の簾動かし秋の風吹く

作者と出典

万葉集 額田王 ぬかたのおおきみ

この和歌の意味

あなたを待って恋しく思っていたら、あなたと見まごうかのように私の家の簾を動かして秋風が吹くのです

額田王の代表作の一つです。この風は「秋風」がぴったりですね。

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黄葉の過ぎにし子らと携はり遊びし礒を見れば悲しも

読み:もみちばの すぎにしこらと たづさはり あそびしいそを みればかなしも

作者と出典

万葉集 1796 柿本人麻呂

この和歌の意味

黄葉が散り過ぎるように逝った妻とかつて手を取り合い遊んだこの黒江の磯は、ただ見るだけで悲しいことよ

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『古今集・新古今集』の秋の和歌

ここからは古今集の時代の、有名な秋の歌を紹介します。

見わたせば 花も紅葉(もみぢ)もなかりけり 浦の苫屋(とまや)の 秋の夕暮れ

作者:藤原定家
出典:
新古今和歌集

現代語訳:

見渡してみても花も紅葉も見えないことよ。この海辺の苫ぶきの粗末な小屋のあたりの秋の夕暮れの景色には

 

秋の田の かりほの庵の 苫(とま)をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ

作者:天智天皇
出典:『後撰集』

現代語訳:

秋の田のほとりの仮小屋の、屋根を葺いた苫の編み目が粗いので、私の衣の袖は露に濡れていくばかりだ。

 

木の間よりもりくるつきの影みれば心づくしの秋はきにけり

作者:読み人知らず
出典:古今集 184

意味

木の枝の間から漏れてくる月の光を見ていると、悲しい思いの限りを尽くさせるその秋が来たのだなあ

解説

「こころづくし」の意味が興味深いですね。この和歌のコンセプトは「悲秋」。悲しい秋のことはそう呼ばれます。

 

わがためにくる秋にしもあらなくに虫の音きけばまづぞかなしき

作者:読み人知らず
出典:古今集 186

意味

私一人のためにくる秋でもないのに、虫の声を聞けば、他の何よりも悲しくなることだ

解説

「秋にしもあらなくに」「…というわけでもないのに」というストレートでない主観の述べ方が特徴的で、秋の物思いにふさわしい感じがします。

 

月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど

作者:大江千里
出典:『古今集』

現代語訳:

月を見れば、様々に思いが乱れて悲しいものだ。別に私一人のために秋がやってきたというわけでもないのに

・・

奥山に紅葉ふみわけ鳴(なく)鹿のこえ聞くときぞ秋はかなしき

作者:よみ人知らず
出典:『古今集』215

現代語訳:

月を見れば、様々に思いが乱れて悲しいものだ。別に私一人のために秋がやってきたというわけでもないのに

 

秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる

作者: 藤原敏行朝臣
出典:古今集

現代語訳:

秋が来たといって目にはっきりと見えるようなものは何もないのだが、ただ風の音が秋めいていて、心が揺れるのだ

この和歌の解説は
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる/藤原敏行朝臣

 

寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ

読み: さびしさは そのいろとしも なかりけり まきたつやまの あきのゆうぐれ

作者と出典

寂蓮法師 (じゃくれんほうし)

新古今和歌集 361  「寂連法師集」

現代語訳と意味

この寂しさは特にどこからというのわけでもないことだ、真木の生い立つ山の秋の夕暮れよ。

寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ 寂蓮法師

 

心なき身にもあはれは知られけりしぎ立つ沢の秋の夕暮れ

読み: こころなき みにもあはれは しられけり しぎたつさはの あきのゆふぐれ

作者と出典

西行法師(さいぎょうほうし)

新古今和歌集 362 他に「西行法師歌集」

現代語訳と意味

あわれなど解すべくもないわが身にも、今それはよくわかることだ。鴨の飛び立つ沢辺の秋の夕暮れ

心なき身にもあはれは知られけりしぎ立つ沢の秋の夕暮れ 西行

 

夕されば野辺の秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里

読み: ゆうされば のべのあきかぜ みにしみて うずら なくなり ふかくさのさと

作者と出典

藤原俊成(ふじわらのとしなり)

千載和歌集 秋上259

現代語訳と意味

夕方になると野原を吹く秋風が身に染みて、鶉が鳴いている。この深草の里には

夕されば野辺の秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里 藤原俊成

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ちはやぶる神世も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは

読み:ちはやぶる かみよもきかず たつたがは からくれなゐに みづくくるとは

作者と出典

在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)

百人一首 17 「古今集」

現代語訳と意味

不思議なことが多かった神代にも聞いたことがない。龍田川が、水を美しい紅色にくくり初めにするなんて

ちはやぶる神世も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは 在原業平

 

終わりに

古くからある有名な秋の歌、目に入ったものや好きな短歌を挙げてみましたが、いかがでしたでしょうか。

皆さんも季節の変化に目を向けてみて、秋を感じさせる歌をぜひ詠んでみてくださいね。

 

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