教科書の短歌

思ひつつ寝ればや​人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを 小野小町

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思ひつつ寝ればや​人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを 小野小町の有名な和歌、代表的な短歌作品の現代語訳と句切れと語句、小野小町の短歌の特徴と合わせて解説します。

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思ひつつ寝ればや​人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを

読み: おもいつつ ねればや ひとの みえつらん ゆめとしりせば さめざらましを

作者と出典

小野小町 古今集巻

現代語訳

思いながら寝ればその人に夢で逢えるだろう 夢とわかったならば、覚めないでいてほしいものを

句切れと修辞

3句切れ

係り結び

語と文法

語と文法の解説です

思ひつつ

思ひつつ「つつ」は接続助詞。

動詞や動詞型活用の助動詞の連用形に付く。その動詞の指す動作・作用が継続、または反復する意を表す。

寝ればや

寝ればや「や~らむ」が係り結び 下に解説

人の

「人」は思い人、恋人を指す。

見えつらむ

・「見え」 基本形「見ゆ」

意味は、姿を見せる、現れる

・「つ」は強意の助動詞。「つ」

・「らむ」は推量の助動詞。

「らむ(だろう)」の部分までが、前の疑問の助詞「や」を含めて疑問として訳せる

知りせばの品詞分解

知りせば  「せば…まし」までが反実仮想の構文

意味は、知ってはいないが、「もし、知っていたならば」の意味。

覚めざらましをの品詞分解

覚めざらましを

覚め基本形「覚む」の連用形
ざら打消しの助動詞
基本形「ざり」
まし反実仮想の助動詞
〔感動・詠嘆〕…なあ。…なのになあ。…よ。
文末に用いる。

解説と鑑賞

小野小町の恋愛の贈答歌の一首で恋人にこの出来事を詠んだ歌として、自ら直接詠い聞かせたとされる。

添い遂げることもなく、なかなか逢うことのかなわない相手への思慕の情を、「せめて夢の中だけでも」と述べることで、表現している。

一連の構成

小野小町の歌集では、ある時夢に人の姿が見えたので、

思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを

と詠んだのを、恋人に語ったら、「あわれなことだ」と言われたので、さらにそれに対して詠んだ返歌が

花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに

とされている。

一連の歌には、小町の歌の発想の特色がよく現れているので、続けて読んで味わってみたい。

小野小町の他の和歌

花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

秋の夜も 名のみなりけり 逢ふといへば 事ぞともなく 明けぬるものを

今はとて わが身時雨に ふりぬれば 言の葉さへに うつろひにけり

色見えで 移ろふものは 世の中の 人の心の 花にぞありける

うつつには さもこそあらめ 夢にさへ 人めをもると 見るがわびしさ

 

小野小町はどんな歌人

六歌仙に選ばれた、ただ1人の女性歌人で、歌風はその情熱的な恋愛感情が反映され、繊麗・哀婉、柔軟艶麗と評される。

『古今和歌集』を編纂した紀貫之は、序文で、『万葉集』の頃の清純さを保ちながら、なよやかな王朝浪漫性を漂わせているとして小野小町を絶賛しており、和歌の腕は随一であった。

小野小町の謎

ただ、それほどの名をはせた歌人でありながら、小野小町がどのような立場の人だったのかは、はっきりわかっていない。

遺された歌を見ると、小野小町は実際多くの相手との恋愛の贈答歌を交わしており、歌には、「かぎりなき思ひのまゝに夜も来む夢路をさへに人は咎めじ」などと、いわゆる禁じられた恋を詠ったものもあるので、思いが実らない、結婚できないうちに年を取ってしまったと解釈をすることもできる。

一方では、小野小町は、結婚ができない宮中、特に後宮の女官のような立場であったという説もあるので、あるいは和歌に恋愛へのあこがれを詠みながらも、自由な立場で実際に恋愛をできるような人ではなかったとも言われている。

あるいは、そのような立場であるからこそ、和歌のみが恋の場であり、男性と意を通わせる手段であったので、後世に名前が残るような傑作となる和歌を作り得たとも推測できる。

小野小町について

小野小町 生没年不詳 平安時代前期の女流歌人。承和~貞観中頃 (834~868頃) が活動期とされる。

六歌仙,三十六歌仙の一人。その出自や身分については,更衣や采女 (うねめ) などとする説があるが未詳。小野氏出身の宮廷女房という説もある。

『古今集』以下の勅撰集に 60首余入集,歌集に『小町集』がある。

「小町」は俗に美人の代名詞として用いられることがあり、「○○小町」との言い回しも多数使われる。







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