テーマ別短歌

災害の短歌 時により過ぐれば民の嘆きなり八大竜王雨やめたまへ 源実朝他

投稿日:

こんにちは。まるです。

朝日歌壇の「うたをよむ」の欄に「祈りと浄化」と題して、山田富士郎さんが源実朝と藤原定家の短歌をあげていました。

 

スポンサーリンク

源実朝 降り続く雨への祈り

時により過ぐれば民の嘆きなり八大竜王雨やめたまへ

作者:源実朝(みなもとのさねとも)
出典:金槐集 

現代語訳:
時によって度が過ぎると、ありがたい雨も民の嘆きの原因となります。八大竜王よ、もうこれ以上雨を降らさないでください。

八大竜王は法華経に出てくる竜の王。雨をつかさどり、雨乞いの祈りの対象です。
その神に向かって、民の嘆きを訴え、祈りをささげるための歌です。

この歌には「建暦元年七月、洪水漫天、土民愁歎せむことを思て、一人奉向本尊、聊致祈念云」との詞書があります。

源実朝の他の短歌

もの言はぬ四方の獣すらだにもあはれなるかなや親の子を思ふ  
いとほしや見るに涙もとどまらず親もなき子の母を尋ぬる
大海の磯もとどろに寄する波われて砕けて裂けて散るかも
世の中はつねにもがもななぎさこぐあまの小舟の綱手かなしも

 

藤原定家 夏の暑さを詠う

もう一つは、夏の暑さを詠ったもの。

ゆきなやむ牛のあゆみにたつ塵の風さへあつき夏の小車

作者:藤原定家
出典:『玉葉集』
訳:のろのろと進まない牛の歩みに塵を舞いあげて風が立つ。その風さえ暑い夏の牛車よ

現代の夏の暑さもさながら、大昔から暑さには誰しもが難儀していたとみえます。

 

津波の短歌 斎藤茂吉

斎藤茂吉には、津波を詠んだものがあります。

みちのくに海嘯(つなみ)あらびてもろともに命死にせりわがこころ泣かゆ

昭和8年の三陸の津波の報を受けて。茂吉の生家は山形県にありました。

「あらびて」は「荒ぶ…暴れる・荒れる」の意味。

 

東京大震災 中村憲吉

国こぞり電話を呼べど亡びたりや大東京の静かにありぬ

中村憲吉は東京大震災の時に、大阪の新聞社に勤めていましたが、東京に地震が起こったと知り、電話をかけ続けるがいずれもつながらない。
あるいは東京は亡びてしまったのか、その焦燥と返答のない東京のコントラストを詠んでいます。

「家族皆無事」 茂吉が受け取った電文

中村憲吉は、東京の知人が無事と知るとすぐさま、東京に病院を持ち、当時海外留学中であった斎藤茂吉に、東京の家族や友人は皆無事「your family friends safe」と電報を送り、それによって不安に苛まれていた茂吉は安心したといいます。

東京の滅びたらむとおもはえば部屋に立ちつつ何をか為さむ
わが親も妻子も子らも過ぎしと心に思へ涙もいでず
ゾルフ大使の無事を報ぜるかたはらに死者五十万余と註せる
体ぢゅうが空になりしごと楽にして途中靴墨とマッチとを買ふ

まとめ

近年は災害の被害が大変多く、被災された人ばかりでなくとも報道を見るたびに悲しみに堪えません。

被災された方は何より、お体を大切に。

そして、被害に合わなかった人も、被災者の無事を祈ると同時に、何か力になれることはないかご一緒に考えていきましょう。

-テーマ別短歌

Copyright© 短歌のこと , 2018 All Rights Reserved Powered by STINGER.