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冬の短歌まとめ 近代~現代短歌 寺山修司,高野公彦,佐々木幸綱,俵万智,穂村弘,窪田空穂,前田夕暮

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町はもうすっかりクリスマス気分。夜にはイルミネーションも見かけるようになりました。
今日は、冬の事物が詠み込まれた短歌、様々な歌人の詠んだ冬の短歌を、近代、現代の短歌からまとめてみました。

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冬の短歌まとめ

東京へ帰るとわれは冬木原つらぬく路の深き霜踏む

 

作者:窪田空穂

戦時中疎開で東京を離れていた作者は、冬になって東京に戻ろうとしたようです。「死ぬべくは東京にてと恋ひにけるわが東京に帰り来たりぬ」「寒風の高行く空の澄みひかりわが東京に家のあらずも」

しづけさは斯くのごときか冬の夜のわれをめぐれる空気の音す

作者:斎藤茂吉

冬の夜の寒気が張り詰めたような静けさ。それを「空気の音」と表現しています。

ゐろりべにまろねをすれがおのづから冬の明るき夜空ほのみゆ

作者:前田夕暮

火の回りに丸くなって寝ていると、仰向いて窓の高くに冬の月星の明るい空が見えるというのです。他に「雪の上に焚火をすればものみなはかげを喪ううすあかりして」

 

霜しろき庭に入り来て 土深く くづるゝものゝ音を聞きたり

作者:釈迢空

崩れるものは霜なのでしょうか。あるいは、それより深いところにある何かなのかもしれません。

穏やかなる年の夕日の沈むとき銭湯のゆず湯より吾がかへるなり

作者:土屋文明

ゆず湯というのは、普通は冬至に入るもの。体に残るゆず湯の香に一年を振り返りながら、夕べに風呂から帰るときの情景です。

百の燭をかかげよ雪の香をまとひ夜空かへり来んひとりのために

作者:木俣修

だれかの命日なのか、冬の空を帰ってくるだろうその人のために、ろうそくの火を100点そうという、幻想的な歌です。

夜をこめてわれは識るなりはろばろし光厳しき冬のシリウス

作者:坪野哲久

まだ夜が明けないうちに、遙かに遠いシリウスの光の厳しさを知った。他に「手をかざし心をかざすふるさとのしちりん赤く立つ焔あり」も冬の歌です。

うつしみの人皆さむき冬の夜の霧うごかして吾があゆみ居る

作者:佐藤佐太郎

生きて居る人は皆寒いだろうと言って、生きている人と同列ではない意識、そして「霧うごかして」も、人というよりももっとかすかな動きを差す表現です。皆に交わらず、夜の霧の中を行く作者。

 

音絶えし或る世のごとく雪は降りおりふしの空に日のかたちあり

作者:高安國世

音がなくなってしまった、どこかの世界のように雪が降り続いていて、日は勿論照らないのだが、時折、太陽が雲の向うに輪郭を伝えている。そのような雪の日の描写です。

クリスマス・ツリーを飾る灯の窓を旅びとのごとく見てとほるなり

作者:大野誠夫(のぶお)

戦後まもなくの町のショーウインドウに飾られたクリスマスツリー。そのきらびやかなさまは、まだ作者の心にそぐわないものであったのでしょう。

 

冬の日が遠く落ちゆく橋の上ひとり方代は瞳(め)をしばだたく

作者:山崎方代(ほうだい)

橋の上から見る冬の遠い沈む日。方代は目が悪かったのですが、この光は見えたということでしょう。

 

雪やみし山の夜空に含羞の星よみがべる静けさにゐつ

作者:前登志夫

雪が止んで晴れた夜空に星が光りはじめるとともに、ふと思い出される記憶の中の「含羞」。あまりに静かだと人は内面にあるものを探り当てることがあるのでしょうか。

 

売られたる夜の冬田へ一人来て埋めゆく母の真っ赤な櫛を

作者:寺山修司

作者と母親の関係は複雑なものであり、歌の中では生きているはずの母が死んでいると詠まれているものもあります。「真っ赤な櫛」を埋めるとはそのような感情のメタファーです。

 

泣くおまえ抱けば髪に降る雪のこんこんとわが腕(かいな)に眠れ

作者:佐々木幸綱

泣いている恋人に寄り添っていると、雪が降ってくる。「こんこん」の擬音が美しいです。「はじめての雪にたかぶるわが子犬跳ねつつ白き木霊を待つも」。

 

ふるさとは霜月の夜のしづけさのみなもと暗く石の臼冷ゆ

作者:高野公彦

霜月は1月。もっとも寒い季節の夜の、故郷の静かなことの源は、どこにあるかというと、冷たくなった石の臼であることを探し当てた作者。台所の暗がりは、田舎の家の中では最も寒い場所に当たります。

 

冬空にうまれたちまち褪せてゆく虹さびしくて手袋脱がず

作者:栗木京子

冬空の虹はすぐ消えて行ってしまう。それを寂しく感じた作者は、脱ぐべき手袋を手放せない。脱いだら、消えていった虹のように、手のぬくもりも失せてしまうだろうから。感覚的な要素を含みます。

 

ハロー 夜。ハロー 静かな霜柱。ハロー カップヌードルの海老たち

作者:穂村弘

「霜柱」が入っているので、これは冬の歌なのでしょう。時間が移り変わって夜がくる。そして、次第に凍って現れるだろう外の霜柱に思いが行く。3分間待って、会えるのは海老たち。歌に出てくるものは、皆、時間の移り変わりとともに姿を現す者たちです。冬の夜にひとりならば、挨拶をするのはそういうものたちなのでしょう。擬人化された夜と霜柱とエビですが、それらを擬人化する作者の状態が推しはかれます。

シンジケート

 

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と応える人のいるあたたかさ

作者:俵万智 サラダ記念日

作者の歌でもっとも有名な歌の一つです。寒いとき、冬の短歌として、思い出す人も多いのではないでしょうか。

 

まとめ

冬の短歌、いかがでしたか。下の記事で「雪の短歌」をまとめてありますので、併せてご覧ください。





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