万葉集の春の和歌10首 有名な代表作一覧 持統天皇,山部赤人,大伴家持他  

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万葉集の春の和歌10首 有名な代表作一覧 持統天皇,山部赤人,大伴家持他

2022年3月24日

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春の和歌で有名な作品を、万葉集から現代語訳をつけて一覧にまとめます。

持統天皇や山部赤人の代表作、大伴家持の春愁三首はとくに有名な歌なので、どうぞ鑑賞してみてください。

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万葉集の春の和歌

春という季節はいつの時代にも、人々の心に明るい感興を呼び起こします。

万葉集から春の和歌の最も有名で代表的な作品10首を現代語訳をつけてご紹介します。

 

まずは、百人一首にも収録される、もっとも有名な作品から。

春過ぎて夏きたるらし白妙の衣干したり天の香具山

読み:はるすぎて なつきたるらし しろたえの ころもほしたり あめのかぐやま

作者

持統天皇 1-28

現代語訳

春が過ぎて夏が到来したようだ 天の香具山に白い夏衣が干してあるのを見るとそれが実感できる

解説

万葉集の他、百人一首にも選ばれている、持統天皇の大変有名な作品です。

持統天皇は女性の天皇で、女性らしい細やかな視点も感じられます。

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石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも

読み:いわばしる たるみのうへの さわらびの もえいづるはるに なりにけるかも

作者と出典

志貴皇子(しきのみこ) 万葉集 巻8・1418

現代語訳

岩をほとばりし流れる垂水のほとりのさわらびが、芽を出す春になったことだ

解説

万葉集の春を表す志貴皇子の有名な和歌。

すがすがしく爽やかな歌調で、春の到来の喜びを詠います。

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春の野にすみれ摘みにと来しわれそ野をなつかしみ一夜寝にけり

読み:はるののに すみれつみに とこしわれそ のをなつかしみ ひとよねにける

作者

山部赤人 万葉集

現代語訳

春の野に菫を積みに来た私は、野に心惹かれ、ひと晩そこに泊ったのだなあ

解説

万葉集の大歌人の一人、山部赤人の代表作です。

春の野のへの思いは郷愁を呼び起こします。

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新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事

読み:あらたしき としのはじめの はつはるの きょうふるゆきの いやしけよごと

作者

大伴家持 20-4516 万葉集 最後の歌として、作者が自ら収録

現代語訳

新しい年の初めの初春の今日降る雪のように、積もれよ、良いことが

解説

万葉集の最後の歌。

春とは言っても、新春の到来を喜び祝う歌の内容です。

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春の野に霞たなびきうら悲しこの夕かげに鶯鳴くも

読み:はるののに かすみたなびき うらがなし このゆうかげに うぐいすなくも

作者

大伴家持 万葉集19巻・4290

現代語訳

春の野に霞がたなびいてもの悲しい。この夕方の光の中で鶯が鳴いている

解説

作者大伴家持は、万葉集を編纂した人物であり、すぐれた歌人です。

この歌は、「春愁三首」と呼ばれる大伴家持の代表作の中の一首です。

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うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しもひとりし思へば

読み:うらうらに てれるはるひに ひばりあがり こころかなしも ひとりしおもえば

作者

大伴家持 万葉集19巻・4292

現代語訳

うららかに照っている春日の中、ひばりが空に上がり、心は悲しい。一人もの思いをしていれば

解説

同じく、大伴家持「春愁三首」の一首。

春の喜びではなくて、「悲しも」の憂いの表現が万葉の時代においては、たいへん独創的な思い付きでした。

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春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出立つをとめ

読み:はるのその くれないにおう もものはな したでるみちに いでたつおとめ

作者と出典

大伴家持  万葉集4139

現代語訳と意味

春の園が紅に輝いている桃の花の下まで輝く道にたたずむ乙女よ

解説

春の花、桃と乙女を取り合わせた、美しい絵のような歌。

ほんのりと恋心も感じられるます。

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み吉野の象山の際の木末にはここだも騒ぐ鳥の声かも

読み:みよしのの きさやまのまの こぬれには ここだもさわく とりのこゑかも

作者

山部赤人 万葉集 6-924

現代語訳

み吉野の象山の山あいの木々の梢には、こんなにも多く鳴き騒ぐ鳥の声であるよ

解説

上にもあげた 山部赤人の、こちらも代表作の一首。

春とは書いていませんが、春の到来と、そして都の反映を詠う内容です。

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あしひきの山谷越えて野づかさに今は鳴くらむ鶯の声

読み:あしひきの やまたにこえて のづかさに いまはなくらん うぐいすのこえ

作者と出典

山部赤人(やまべのあかひと)

万葉集 3914

現代語訳

山や谷を越えてやってきて野原の真ん中で今は羽ばたいているだろう鶯の声よ

解説

鶯は春を告げる鳥として代表的な鳥です。

その鶯が、春となった今は、野において元気に鳴き始めるだろうとの季節の到来を予期した歌です。

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心ぐきものにぞありける春霞たなびく時に恋の繁きは

読み:こころぐき ものにぞありける はるがすみ たなびくときに こいのしげきは

作者

大伴坂上郎女 (おおとものかさかのうえのいらつめ)

万葉集 1450

現代語訳

こころが痛んでならないのです。春霞のたなびくときに、焦がれる心がいっぱいなのは

解説

春と恋心を重ねた、坂上郎女の相聞の歌。

万物が動き始める季節である春に、作者の心も弾み相手への思いがいっぱいになることを詠んでいます。

「春霞たなびくときに」の描写が、繊細で女性らしいところです。

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以上、万葉集の有名な春の和歌10首をご紹介しました。




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