星空へ店より林檎あふれをり 橋本多佳子 作者の思いと感動のポイント  

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星空へ店より林檎あふれをり 橋本多佳子 作者の思いと感動のポイント

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星空へ店より林檎あふれをり

橋本多佳子の教科書掲載の俳句の切れ字や句切れ、「金剛の」の初句の表現技法を含む意味の解説を記します。

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星空へ店より林檎あふれをり

読み:ほしぞらへ みせよりりんご あふれおり

作者と出典:

橋本多佳子 はしもとたかこ 1899-1963

現代語訳

まるで星空に向かうかのように、積み上げられた林檎が店の露台からあふれるようだ

切れ字と句切れ

切れ字なし

句切れなし

季語

季語は「林檎」  冬の季語

形式

有季定型

解説

女性の俳人橋本多佳子の食材を売る店を見て詠んだ句。

冬の夜の風景の中で屋外の店先の露台に、リンゴがたわわに積まれている様子を比喩を加えて表した。

この俳句の情景説明

林檎が売られていたのは、店の屋外か、または市場のようなところだろう。

昔、スーパーなどができる前は野菜や果物は、八百屋の店先の屋外の露台などで売られていたので、そうした果物は外気にさらされいていた。

林檎は冬の季語で、日が短くなった季節の日が暮れて、空には星が出始めており、その下に林檎が置かれていたのだろう。

昔のリンゴは箱のまま個別に包装をされずに積まれているのが常であった。

おそらくは、やや高い位置に林檎が置かれていたか、作者の位置からは視線の上の方に林檎があったと思われる。

林檎の向こう側に星空がうかがえるような配置で星の光、空の深い藍色、その手前にある赤い林檎という配置を思い浮かべることができる。

この句の鑑賞

初句は「星空に」ではなく、「へ」の助詞が用いられている。

星空にあるのではなく、「空に向かって」のの意味で林檎の方向を指し示すものだが、実際の林檎の配置だけではなく、作者の感じ方が含まれている。

句の語句の配置

また、初句に「星空」を置くことで、印象的になる他、句の詠まれた時間が明確になる。

林檎は主語なので、「林檎店よりあふれたり」でもいいのであるが、「林檎」と「あふれをり」を直結し、場所の説明である「店より」を先に置き、「林檎あふれをり」と続けている。

これによって、たっぷり重なって山をなしている林檎の様子が、より強調されている。

作者は、仕事からの帰り道か、食材を買いに店の前で林檎を見たのかもしれない。

この句には、単に構図の見事さだけではなく、生活に直結したような安寧を感じさせるものがある。

作者の思い

この句に込められた作者の思いは、やはり、夜空の手前に見える林檎の美しさだろう。

林檎の食材としての美しさではなく、別な意味からの美しさを日常の風景からつかみ取ったと作者が意識した時に、この句が生まれた。

私自身のこの俳句の感想

星空と林檎の取り合わせがとてもきれいです。林檎はふだん袋に入っていたり食卓に並んでいたりするものですが、星空の下に林檎があるという童話のような情景に心を惹かれます。

 

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橋本多佳子について

橋本 多佳子(はしもと たかこ、1899年(明治32年)1月15日 - 1963年(昭和38年)5月29日)は、日本の俳人。戦後、西東三鬼、平畑静塔、秋元不死男らと出会い、戦後俳壇の女流スターとなってゆく。女性の哀しみ、不安、自我などを女性特有の微妙な心理によって表現した。

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星空へ店より林檎あふれをり 橋本多佳子
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