夏休みは短歌を詠む宿題が出ている学校が多くあります。
中学生向けに短歌の作り方と、参考になる短歌の実例をお知らせします。
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夏の短歌の作り方
宿題で短歌を作るように言われたのだけれども、どのように詠んだらいいのかな。 作り方のコツを知りたい。 |
短歌は作り方のルールを知ると、簡単に作ることができます。
夏休みの宿題に短歌を作るヒントと作り方、実際の中学生の夏の短歌の例をお知らせします。
※短歌のルールについては下の記事に説明しています。
関連記事:
夏の有名な短歌一覧まとめ
短歌の形式とルールを知る
短歌の基本は文字の数を57577の順番に並べるだけでできます。
基本の形は上のような形です。
上の「の」は助詞ですが、もちろん、他の言葉でもいいですよ。
まずは、57577の形にことばを並べてみるために、下のような練習をしてみましょう。
参考になる記事は
短歌の初句5文字を考える
まずは最初の短歌の書き出しを5文字で考えてください。
たとえば「夏休み なつやすみ」は5文字ですので、書き出しに使うことができます。
この書き出しの部分は、「初句(しょく)」といいます。
他に考えられるものをあげてみましょう。
「朝寝坊」
「流れ星」
上の二つは、いずれも5文字の名詞です。
5文字でなくても、4文字の言葉は「は」「が」「の」などをつけて5文字にすることができます。
「朝顔の」
「ひまわりは」
4文字の言葉は次の言葉につながりやすく、一つの文としての句を成しやすいですね。
もちろん、一つの言葉が4文字でなくても、たとえば「2+1+1+1」でもトータルで5文字になればいいですよ
「母の手を」
「弟と」
ここまでを考えたら、次は575の「7」になりますので、7文字の言葉か、または、「3+4」「4+3」「5+2」など7文字になる言葉の組み合わせを考えながら、最初につなげてきます。
上にあげた言葉の次の7文字を考えてみましょう。
たとえば
「夏休み 最初の朝は…」
「朝寝坊 しようと思い」
「朝顔の 開いた数を」
「ひまわりは 空の近くに」
「母の手が トントントンと」
「弟と クワガタ採りに」
上は、初句の5文字の後の7文字までを作ったところです。
このように順々に考えていき、最後の7までがまとまったら短歌一首の完成となります。
短歌の字余りについて
5文字で入りきらない時は、6文字になっても、7文字になっても、逆に、4文字でもかまいません。
これは他の部分においても同様で、「字余り」または「字足らず」といいます。
ただし、あまりにも、字余りや字足らずが続いてしまうと短歌らしさがなくなってしまいます。
短歌が短歌であるところの大きな区別は、この57577のリズムにあります。
最初はできるだけ字数を575に合わせて詠んでみましょう。
難しい場合は最後だけを「77」とすると、それまでが字余り、字足らずでも、歌らしくびしっと決まります。
参考になる記事は
短歌に季語はいらない
よく勘違いされていることですが、短歌には季語はいりません。
俳句には基本的に季語は必要ですが、短歌では気にする必要はないのです。
ただし、季語はいらなくても季節感のある歌を読みたいという場合には、夏らしい言葉を入れることがいいですね。
そのためには季語ではなくても季節を表す言葉を意識するのは、短歌にとって良いことといえます。
なぜかというと季節感というのは誰にとっても共通する思いを呼び起こすので、理解や共感が得られやすい話題であるからです。
短歌に自分の思いを盛り込む
短歌の形式に慣れたと思ったら、自分の気になっていることや、感動したこと、心を動かされたことを焦点に詠んでみましょう。
今度は初句が何かから始めるのではなくて、自分の読みたいことをまず心に浮かべてから、そこから思いつく語群の中から初句や主要な句を選んで改めて作り始めていきます。
5w1Hを思い浮かべるのもよい
思いの他に歌にまつわるものとして、5W1Hも併せて考えてみましょう。
5W1Hとは、Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、How(どのように)ということで、これらのことを手掛かりに想起を進めていくと、短歌の輪郭がはっきりします。
印象的な短歌にするには
印象的な短歌にするには、短歌の表現技法のひとつである比喩を用いてみましょう。
他にも、話し言葉をかぎ括弧で取り入れたり、数字を取り入れるなども効果があります。
また、表記の点でも漢字で書けるところをあえてひらがなにするなども工夫してみましょう。
参考になる記事:
短歌の表現技法7つ 比喩, 擬人法, 体言止め, 反復法, 倒置法, 対句, 省略法
夏の短歌の題材となる言葉一覧
夏の短歌の題材となりそうなものを、参考に挙げておきます。
夏の植物
ひまわり あさがお さるすべり スイレン ポピー ラベンダー
夏の生き物
蝉 クワガタ カブトムシ とんぼ アゲハ蝶
夏のイベント
七夕 夏休み 林間学校 キャンプ 盆踊り 夏祭り 水族館 お盆 墓参り
夏の風物
浴衣 花火 海 プール 風鈴 川 入道雲 夕立 夕焼け 鮎
それぞれのテーマ別の短歌は以下のページで読めます。
夏の短歌のテーマ一覧
夏の短歌のテーマ一覧です。
夏の短歌実例
若山牧水青春短歌大賞入選作品から、中学生が実際に読んだ短歌を例にあげてみます。
敬称は略します。
よっしゃーどこかできこえる叫び声ふりかえると夏休みの始まりだ 深田 竜也
字余りと字足らずが含まれますが、初句の話し言葉をそのまま入れた部分が、印象的です。
鮎の群れ夏風吹いて泳ぎゆく魚のうずがすごくきれいだ 新田 涼介
鮎は夏の風物。川の中を泳いでいるのを見た感動を詠んでいます。
かげろうの奥にきこえる君の声われは君の声へと走る 井上 桃花
恋愛の歌。「かげろう」は夏の虫ですが、はかないものの象徴です。
夕焼けの空を見上げる子どもたち帰ることなどすべて忘れて 稗田 一恵
夕焼けがあまりにも美しいので、それを見上げる子どもに託して思いを詠ったのです。
朝ご飯しばらくしたら昼ご飯こんな生活で良いのだろうか 田島 みさき
夏休みに起こりがちな疑問ですね。率直な歌です。
ありがとう俺らの夏の最後まで俺のミットを信じてくれて 山下 大輝
野球のキャッチャーの作者。チームワークのすばらしさを詠んでいます。
花が咲き実がなるまでを待つ母の期待を背負う庭のオクラ 鎌迫 望
家庭菜園のオクラは背の高い植物。印象的な花が咲くものです。
虫さされ赤くなってはれあがるぼくが抱える気持ちのように 西村 郁哉
これも夏に特徴的な虫害なのですが、これが歌になるのはすごいですね。
草原で君の髪がなびいてる緑につつまれ風がふいてる 大野 葉月
淡い恋愛の歌です。「君」というのは、女性にも男性にも使えます。
夏の午後照りつける日に汗感じ髪どめくわえ垂れ髪を結う 有村 綾乃
4句の「髪どめくわえ」の自分の仕草に気が付いて詠み込んだところがすばらしい。
風鈴を取ってはずしたその場所はただ静けさがあふれてるだけ 大栄 美天
夏の終わりの風景の静けさ。風鈴の不在の空間です。
夏の夜みんな食欲なくなってパッとひらめく「八月三十一日(やさいのひ)」かな 深川 実咲
語呂合わせのアイディア。数字を入れると歌は印象的になります。
迎え火のすぐそばにいてあつくなる今は亡き母想いつづけて 田中 洋稀
迎え火はお盆に死者のために焚く火のこと。切ない美しい歌です。
以上、夏休みの宿題の短歌のために参考になる作り方と用例をお知らせしました。
ぜひ、自分でも頑張って作ってみてくださいね。
この続きは以下の記事で。
短歌の作り方 簡単にどんどん作れるコツを解説