男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす 俵万智  

広告 現代短歌

男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす 俵万智

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男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす

俵万智の歌集『チョコレート革命』より有名な短歌代表作品の意味と情景、表現技法を解説、感想と合わせて記します。

男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす 解説

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読み:おとこでは なくておとなのへんじする きみにちょこれーと かくめいおこす

作者と出典

俵万智 『チョコレート革命』

現代語訳

一人の男としてではなくて、大人の返事をする君にチョコレート革命を起こす

句切れ

句切れなし

表現技法

  • 句またがり
  • 字余り

鑑賞

現代の歌人、俵万智の歌集『チョコレート革命』より、歌集の題名になった歌。

『チョコレート革命』という歌集は、妻子ある男性との婚外恋愛を詠った歌を多く収録をしており、題名の通りその相聞の歌が、カス湯のテーマともなっている。

作者の実体験

歌が作者の実際の体験かどうかは、すべての短歌に置いて言えることだがそう単純ではない。

おそらく、体験に即したものもあるが、そうではないフィクションもかなり含まれていると思われる。

作者自身はその後、結婚をせずに子供を出産、その体験を短歌に詠んだ続く歌集を出版していることから考えても、大筋に関しては、作者の実体験の反映はあるだろう。

ただし、すべての作者に言えることだが、作者の体験かどうかは各作品の鑑賞において主要な部分ではない。

男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす の意味

一首の意味は、二人の関係に関しての会話の時に、女性である作者が相手に投げかけた問いに、「男としての返事」ではなく、「大人の返事」をした。

それに対して女性である作者が「チョコレート革命」を起こそうという意志を示す内容となっている。

「大人の返事」とは

二人の関係とその他の短歌の内容からして、「大人の返事」というのは、イエスかノーのような返答ではなくて、あいまいな返答であったと思われる。

作者の俵万智は同じく婚外関係をテーマに扱った『トリアングル』という小説を書いているが、主人公と関係がある主要な登場人物である関係は、いずれも「大人の人物」として描かれていた。

たとえばパーティーで作者が好みのプレゼントが当たって喜んでいると、男性の方がそれに対して、「他の人に○○できれはよかったのにね」というような場面があったと記憶する。

おそらくそれと同じようなことで、相手を傷つけない言い方で返事を返したと思われる。

「チョコレ―ト革命」の造語

上記の「大人の返事」に対するものが、作者が主語となる「チョコレート革命」というものである。

チョコレート革命は作者の造語と思われる。

この「チョコレート革命」とは何かなのだが、これは読者の類推に任されていると考えられる。

おそらく、作者は男性の返答に対して賛意を示せなかったのだろう。

その内容と共に、「大人の返事」をする男性そのものに強い反発を感じたということが、この歌の作歌の動機になっていると思われる。

男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こすの句またがりの箇所

俵万智には句またがりの修辞が多いことが特徴である。

この歌のと句またがりの箇所は上の通り。

上句の5-7文字の初句と2句に句またがりで、8文字2音節の言葉が組み込まれている。

下句は「7-7-」である定型の部分に「チョコレート」の8文字の字余りがある。

さらに、下句の「7-7」に「8-4」の「チョコレート革命」という言葉が句またがりによって配置されている

句またがりの効果

上句と下句の句またがりに挟まれる、3句の「返事する」の5文字は定型そのものであるため、「する」のあとに小さな小休止がおかれる。

すると造語の「チョコレート革命」が一層強調されることになる。

句またがりのリズム

上句と下句にそれぞれ、次の句まではみ出して続く言葉を続けることで、一首は複雑な韻律とリズムを醸し出している。

そのリズムの複雑さと二重性は、あたかも作者と作者の思いとかみ合わない相手との、錯綜する心境と相違をそのまま物語るものとなっているようだ。

対話は成り立ってはいても、作者の気持ちとはかみ合わない。

その状況そのものが「チョコレート革命」の原因なのである。

私自身のこの歌の感想

俵万智さんの『チョコレート革命』の状況には大変驚かされました。

しかし、それからそのあとの出産、子育て、子どもの成長と読み進めるにしたがって、作者が出産をしたことはたいへん幸せなことだったろうと思います。

私自身も年を経て相手の状況に関わらず恋愛に陥るということを理解できるようにもなりました。

また、作者の他の歌

さみどりの葉をはがしゆくはつなつのキャベツのしんのしんまでひとり

を思い出すと、結婚を経ずとも子どもがいるということは、やはり作者の場合は幸せであろうとも思えます。

長い一生のその時点ではこうだと思えることも、年月が過ぎてみると変わってくることがあります。

すべてを包括的に考えるべき時は、必ずしも今ではなく、待ってみなければわからない。

俵万智さんの歌の歴史はそれを証しするものでもあるでしょう。

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俵万智プロフィール

俵万智(たわらまち)1962年大阪府門真市生まれ。

早稲田大学在学中より短歌を始める。佐佐木幸綱に師事。「心の花」所属。1987年、第一歌集『サラダ記念日』(河出書房新社)を出版、260万部を越えるベストセラーになり、第32回現代歌人協会賞受賞。歌集のほか、小説『トリアングル』、エッセイ『あなたと読む恋の歌百首』『百人一酒』など著書多数。

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