教科書の俳句

跳び箱の突き手一瞬冬が来る 大意と切れ字・句切れを解説 友岡子郷の俳句鑑賞

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跳び箱の突き手一瞬冬が来る

友岡子郷の教科書掲載の俳句の切れ字や句切れ、意味の解説を記します。

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跳び箱の突き手一瞬冬が来る

読み:とびばこの つきていっしゅん ふゆがくる

作者と出典:

友岡子郷  「日の径」

現代語訳

跳び箱を跳ぼうと手をついたその瞬間、冬がやってきた

切れ字と句切れ

切れ字なし

句切れなし

※「突き手」の意味

「突き手」は辞書にはない言葉で作者の造語と思われる。

この句では跳び箱を跳ぶ際に上につける手を「突き手」としている。

他にスポーツでは、泳ぎ方の「抜き手」や、剣道の「貫手」があるので、それに倣ったものであろう。

季語

季語は「冬」 冬がそのまま季語

形式

有季定型

 

解説

冬という季節の到来を、跳び箱の場面で作者が感じ取ったことを詠んでいる。

この俳句の情景説明

晩秋から初冬にかけて、おそらく学生である作者が、跳び箱の練習をしているところ。

この俳句のいいところ

「跳び箱」という事物に加え、動きのある跳び箱の運動に伴い、作者の心の動きをダイナミックに表現されている。

この俳句の主題は、動的な運動を以て、作者の心の動きを表すことに主題がある。

季節というものを感じる人の心の不思議さに主題がある。

作者の思いと心情

微細な感覚から季節の到来を感じる自らの心の不思議を、自ら見つめている。

この句の鑑賞

風を切って走りながら飛ぶ跳び箱の上部に手をつくと、空気の冷たさと共に、跳び箱の上部の布地を一瞬冷たいと感じた作者が、冬という季節を感じ取ると同時に、そのまま走りながら、冬という季節に入っていくかのような心の移り変わりを表している。

冬は静かな季節であるが、跳び箱とその助走のイメージは、まるで映像が早送りされるかのような、時間的な季節の動きを表す。

また、跳び箱を飛んで着地をするということは、視点の高低の変化をもって、秋から冬の新しい季節へダイブ、飛び込むようなイメージがあるだろう。それが即ち、季節の変化を比喩的に表している。

季節の変化を表すのに跳び箱という場面が選ばれたのには、上記のような大きな効果がある。

通常は、このようなダイナミズムは、春や夏が想定されるが、それを予想外の冬としたところもよい。

この俳句の感想

季節の移り変わりは、気温や風景の変化が主なものだが、それを感じることで具現化する。すなわち「冬」だと思った時が、その人にとっての冬の到来となる。季節の変化を「人の意識」に強く焦点を当てて表現した優れた句だと思います。

 

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