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明石海人の短歌 歌集「白描」より
2023/1/23
霧らひつつ入る日の涯はありわかぬ家並(やなみ)を罩(こ)めて灯りそめたり 陸橋を揺り過ぐる夜の汽車幾つ死したくもなく我の佇む 咳くは父が声なりかかるさへ限りなる夜のわが家にふかむ 駅のまへえのきの梢( ...
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津田治子の生涯と短歌
2024/2/15
少し前にこの本「歌人津田治子」に出会ってからしばらく、津田治子の歌とその周辺の本を当たっていた。津田の歌の魅力は、当初の「歌人津田治子」の中に余さず述べられている。 他にも当時の土屋文明のハンセン病施 ...
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古泉千樫の短歌の特色「歌を恋うる歌」岡野弘彦から
2020/12/28 古泉千樫
原阿佐緒の伝記本を読んでいたら、古泉千樫についての次の個所が目にとまった。 岡野弘彦は「歌を恋うる歌」に、千樫の天性の抒情の細やかな美しさは短歌の理想の形を見せていると評し、釈迢空は「日本の短歌は本質 ...
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島木赤彦「寂寥相」発見の過程 万葉集の「古典の永遠性」
2021/5/2 島木赤彦
島木赤彦のいう「寂寥相」というのは、「写生」と並ぶ短歌のコンセプトですが、それはどのようなものでしょうか。 島木赤彦が万葉集との関わりを探る中で、「古典の永遠性」について書かれた部分を紹介します。 ま ...
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山上憶良の万葉集の七夕歌 品田悦一『万葉の歌人と作品』
山上憶良の万葉集の七夕の和歌について調べたことをまとめます。 和泉書店刊品田悦一著「万葉の歌人と作品」「憶良の七夕歌」から参考になるところをご紹介します。
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わが背子を大和へ遣るとさ夜更けて「万葉の歌人と作品」大津皇子・大伯皇女の歌
2022/11/7
大津皇子(おほつのみこ)と大伯皇女(おほくのひめみこ)の万葉集の歌の解説です。 万葉集に関する論文を集めた本。和泉書店刊「万葉の歌人と作品」より。 品田悦一の項。 大津皇子(おほつのみこ)、竊かに伊勢 ...
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蒲生野問答歌「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」の解説
2022/8/14
額田王の有名な蒲生野問答歌「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」に関する詳しい解説、額田王の専門歌人性や、宴席での問答歌という性格について「セミナー万葉の歌人と作品」からまとめます。
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短歌における生の一回性の原理とは「短歌の友人」穂村弘
2018/5/26
穂村弘の本を読むのは「短歌という爆弾」に次いで二冊目になる。 以前新アララギ誌において、穂村氏の「人生物語の否定」に対する反論が出たことがあったためである。
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もみち葉の過ぎにし児らと 万葉の時間性「万葉の歌人と作品―紀伊国作歌」西沢一光
2022/8/14
万葉集に関する各論文を集めた本。和泉書店刊「万葉の歌人と作品」より。 紀伊国にして作る歌四首。著者西沢一光。
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万葉集における「われ」とは「万葉の歌人と作品-人麻呂歌集の七夕歌」
2022/8/14 七夕
和泉書店刊第二巻「万葉の歌人と作品」「柿本人麻呂」から、「人麻呂歌集の七夕歌」の章、著者品田悦一。 この項はおもしろい。特に、4「主体の性格」。
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長塚節の歩み 結核に罹患後の病中雑詠
2021/5/14 長塚節
小説「土」の作者でもある家人長塚節の作品を年代順に追います。 このシリーズを最初から読む。 ■長塚節の短歌と生涯 第1回目 根岸庵 ゆく春~長塚節初期の短歌
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写生の悟りと青草集 初秋の歌 濃霧の歌~長塚節の歩み
2022/8/18 長塚節
小説「土」の作者でもある歌人長塚節の作品を年代順に追います。 このシリーズを最初から読むなら下の記事から。 ■長塚節の短歌と生涯 第1回目 根岸庵 ゆく春~長塚節初期の短歌
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根岸庵 ゆく春~長塚節初期の短歌
2022/8/18 長塚節
小説「土」の作者でもある家人長塚節の作品を年代順に追います。 これはその初回。
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『吹雪く尾根』~吉村睦人と小谷稔「吉村睦人論」より
2022/11/7
豌豆の花早咲くといふ手紙無ければ昨日自殺してゐた 遠く鳴るサイレンの音に目をさまし再び君を激しく思ふ 吹雪く尾根をつぶての如く越えてゆきし二羽の小鳥は幻影だったかも知れぬ 先日の歌会の折、吉村先生は「 ...
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杉原千畝 命のビザの短歌 夫人杉原幸子の歌集『白夜』より
2022/7/31 日めくり短歌
杉原千畝氏の夫人杉原幸子さんが、ビザ交付事件の当時の状況を短歌にして残していたものがあります。 杉原幸子さんはビザ交付にも協力、歌誌「アララギ」の同人として短歌を投稿されていました。 きょう杉原千畝氏 ...
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土屋文明歌集『往還集』『山谷集』鶴見臨港鉄道他『六月風』より
2020/12/20
土屋文明の歌集『往還集』『山谷集』『六月風』より、短歌の代表作品を取り上げます。