現代短歌の名作、有名な作品や、秀歌として知られている作品にはどのようなものがあるかをご紹介します。
短歌を詠む人なら一度は耳にしたり、読んだことのある作品やこれから必読の50首をまとめます。
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現代短歌に至る流れ
短歌は、時代の幅がかなりありながら、古代や中世の古典、そこから現代まで途切れなく鑑賞が続いている文学の一つと言えます。
和歌と呼ばれる古い時代のものは、万葉集から古今和歌集へ、そして、短歌がもっとも盛んであったと思われる近代短歌の時代があります。
さらに、近代から意識的に新しい短歌べ、そこから少し前のライドヴァースと呼ばれる口語の短歌が始まった頃の現代短歌、さらにその後の携帯短歌ブームというのが、大まかな短歌の流れと考えられます。
この記事では、戦後から平成までの”現代短歌”の範疇に入る作品で、ひじょうによく知られている有名な短歌、他にこれまで高い評価を受けていると思われる短歌をまとめてご紹介します。
※短歌全般については
※近代短歌についてはこちらの記事をお読みください
現代短歌の代表作
ここでは歌人一人に月一首ずつ、古い順に紹介しますので、新しいものほど下になります。
戦前の現代短歌
以下のは、篠弘著「現代の短歌」の冒頭に含まれている歌人の代表作品をあげます。
作者:窪田空穂
作者:斎藤茂吉
作者:前田夕暮
作者:土岐善麿
作者:釈迢空
戦後の現代短歌
作者:土屋文明
春がすみいよよ濃くなる真昼間のなにも見えねば大和と思へ
作者:前川佐美雄
罪びとのごとくに坐して妻とふたり秋夜の骨を守らむとする
作者:木俣修
われの一生(ひとよ)に殺(せつ)なく盗なくありしこと憤怒のごとしこの悔恨は
作者:坪野哲久
うすらなる空気の中に実りゐる葡萄の重さはかりがたしも
作者:葛原妙子
ちかぢかと夜空の雲にこもりたる巷(ちまた)のひびき春ならむとす
作者:窪田章一郎
作者:佐藤佐太郎
作者:斎藤史
一本の蝋(ろう)燃(もや)しつつ妻も吾(あ)も暗き泉を聴くごとくゐる
作者:宮柊二
ただ浄き娘(こ)のピアノ曲情熱のこもり来ん日を微かにおそる
作者:高安国世
裾ひろくクローバーの上に坐り居る汝を白じらと残して昏るる
作者:近藤芳美
兵たりしものさまよへる風の市(いち)白きマフラーをまきゐたり哀し
作者:大野誠夫
一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております
作者:山崎方代
作者:清水房雄
拒みがたきわが少年の愛のしぐさ頤に手触り来その父のごと
作者:森岡貞香
偶然(わくらば)に子が採り来しとふ望の夜のすすきに添へて吾亦紅もあり
作者:田谷鋭
作者:武川忠一
作者:竹山広
作者:塚本邦雄
作者:中城ふみ子
作者:上田三四二
作者:岩田正
かたはらに置くまぼろしの椅子ひとつあくがれて待つ夜もなし今は
作者:大西民子
すさまじくひと木の桜ふぶくゆえ身は冷え冷えとなりて立ちたり
作者:岡野弘彦
作者:山中智恵子
作者:前登志夫
作者:岡井隆
作者:馬場あき子
母山羊と仔山羊がながく呼びかはす合歓の葉すでに眠るゆふべを
作者:石川不二子
作者:寺山修司
作者:小野茂樹
螢田てふ駅に降りたち一分の間にみたざる虹とあひたり
作者:小中英之
豚の交尾終わるまで見て戻り来し我に成人通知来ている
作者:浜田康敬
ジャージーの汗滲むボール横抱きに吾駆けぬけよ吾の男よ
作者:佐佐木幸綱
大空の斬首ののちの静もりか没(お)ちし日輪がのこすむらさき
作者:春日井建
作者:岸上大作
馬を洗ひ終へて青年みづからも晩夏の河に身をひたすなり
作者:高野公彦
たとへば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか
作者:河野裕子
指をもて選(すぐ)りたる種子十万粒芽ばえれば声をあげて妻呼ぶ
作者:時田則雄
きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり
作者:永田和宏
サフランのむらさきちかく蜜蜂の典雅なる死ありき朝のひかりに
作者:小池光
ガス弾の匂い残れる黒髪を洗い梳かして君に逢いゆく
作者:道浦母都子
君の髪に十指差しこみ引きよせる時雨の音の束のごときを
作者:松平盟子
作者:栗木京子
桃の蜜手のひらの見えぬ傷に沁む若き日はいついかに終わらむ
作者:米川千嘉子
ライトヴァースと口語の現代短歌へ
マガジンをまるめて歩くいい日だぜ ときおりぽんと股(もも)で鳴らして
作者:加藤治郎
指からめあふとき風の谿(たに)は見ゆ ひざのちからを抜いてごらんよ
作者:大辻隆弘
作者:俵万智
作者:穂村弘
みつばちが君の肉体を飛ぶような半音階を上がるくちづけ
作者:梅内美華子
当ブログに取り上げた現代短歌
以下は、当ブログで取り上げた現代短歌です。
作者:大口玲子
作者:萩原慎一郎
作者:小坂井大輔
作者:雪舟えま
作者:鈴木美紀子
作者:酒井祐子
作者:木下龍也
ねむらないただ一本の樹(き)となってあなたのワンピースに実を落とす
作者:笹井宏之
作者:杉崎恒夫
作者:高山邦男
作者:藤島秀憲
作者:佐藤モニカ
作者:柏原千恵子
雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁
作者: 斉藤斎藤
この後に続く現代短歌は、これからも追加していきます。