現代短歌の有名な作品まとめ  必ず読みたい50首  

広告 現代短歌

現代短歌の有名な作品まとめ  必ず読みたい50首

2022年1月10日

※当サイトは広告を含む場合があります

現代短歌の名作、有名な作品や、秀歌として知られている作品にはどのようなものがあるかをご紹介します。

短歌を詠む人なら一度は耳にしたり、読んだことのある作品やこれから必読の50首をまとめます。

スポンサーリンク




現代短歌に至る流れ

短歌は、時代の幅がかなりありながら、古代や中世の古典、そこから現代まで途切れなく鑑賞が続いている文学の一つと言えます。

和歌と呼ばれる古い時代のものは、万葉集から古今和歌集へ、そして、短歌がもっとも盛んであったと思われる近代短歌の時代があります。

さらに、近代から意識的に新しい短歌べ、そこから少し前のライドヴァースと呼ばれる口語の短歌が始まった頃の現代短歌、さらにその後の携帯短歌ブームというのが、大まかな短歌の流れと考えられます。

この記事では、戦後から平成までの”現代短歌”の範疇に入る作品で、ひじょうによく知られている有名な短歌、他にこれまで高い評価を受けていると思われる短歌をまとめてご紹介します。

※短歌全般については

短歌とは ルールと基礎知識を知って役立てよう

※近代短歌についてはこちらの記事をお読みください

近代短歌とは 特徴と成立をわかりやすく解説

 

現代短歌の代表作

ここでは歌人一人に月一首ずつ、古い順に紹介しますので、新しいものほど下になります。

戦前の現代短歌

以下のは、篠弘著「現代の短歌」の冒頭に含まれている歌人の代表作品をあげます。

鉦鳴らし信濃の国を行き行かばありしながらの母見るらむか

作者:窪田空穂

死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる

作者:斎藤茂吉

木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな

作者:前田夕暮

春の夜のともしび消してねむるときひとりの名をば母に告げたり

作者:土岐善麿

葛の花踏みしだかれて色あたらしこの山道を行きし人あり

作者:釈迢空

戦後の現代短歌

にんじんは明日蒔けばよし帰らむよ東一華の花も閉ざしぬ

作者:土屋文明

春がすみいよよ濃くなる真昼間のなにも見えねば大和と思へ

作者:前川佐美雄

罪びとのごとくに坐して妻とふたり秋夜の骨を守らむとする

作者:木俣修

われの一生(ひとよ)に殺(せつ)なく盗なくありしこと憤怒のごとしこの悔恨は

作者:坪野哲久

うすらなる空気の中に実りゐる葡萄の重さはかりがたしも

作者:葛原妙子

ちかぢかと夜空の雲にこもりたる巷(ちまた)のひびき春ならむとす

作者:窪田章一郎

秋分の日の電車にて床にさす光とともに運ばれて行く

作者:佐藤佐太郎

岡に来て両腕に白い帆を張れば風は盛んな海賊の歌

作者:斎藤史

一本の蝋(ろう)燃(もや)しつつ妻も吾(あ)も暗き泉を聴くごとくゐる

作者:宮柊二

ただ浄き娘(こ)のピアノ曲情熱のこもり来ん日を微かにおそる

作者:高安国世

裾ひろくクローバーの上に坐り居る汝を白じらと残して昏るる

作者:近藤芳美

兵たりしものさまよへる風の市(いち)白きマフラーをまきゐたり哀し

作者:大野誠夫

一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております

作者:山崎方代

小さくなりし一つ乳房に触れにけり命終りてなほあたたかし

作者:清水房雄

拒みがたきわが少年の愛のしぐさ頤に手触り来その父のごと

作者:森岡貞香

偶然(わくらば)に子が採り来しとふ望の夜のすすきに添へて吾亦紅もあり

作者:田谷鋭

子のわれに誰ぞと問いて幻の波寄る湖(うみ)に佇む母か

作者:武川忠一

くろぐろと水満ち水にうち合へる死者満ちてわがとこしへの川

作者:竹山広

革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ

作者:塚本邦雄

冬の皺寄せゐる海よ今少し生きて 己の無残を見むか

作者:中城ふみ子

ちる花は数限りなしことごとく光をひきて谷にゆくかも

作者:上田三四二

イヴ・モンタンの枯葉愛して三十年妻を愛して三十五年

作者:岩田正

かたはらに置くまぼろしの椅子ひとつあくがれて待つ夜もなし今は

作者:大西民子

すさまじくひと木の桜ふぶくゆえ身は冷え冷えとなりて立ちたり

作者:岡野弘彦

行きて負ふかなしみぞここ鳥髪とりかみに雪降る

作者:山中智恵子

かなしみは明るさゆゑにきたりけり一本の樹の翳らひにけり

作者:前登志夫

肺尖にひとつ昼顔の花燃ゆと告げんとしつつたわむ言葉は

作者:岡井隆

さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり

作者:馬場あき子

母山羊と仔山羊がながく呼びかはす合歓の葉すでに眠るゆふべを

作者:石川不二子

マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや

作者:寺山修司

あの夏のかぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ

作者:小野茂樹

螢田てふ駅に降りたち一分の間にみたざる虹とあひたり

作者:小中英之

豚の交尾終わるまで見て戻り来し我に成人通知来ている

作者:浜田康敬

ジャージーの汗滲むボール横抱きに吾駆けぬけよ吾の男よ

作者:佐佐木幸綱

大空の斬首ののちの静もりか没(お)ちし日輪がのこすむらさき

作者:春日井建

美しき誤算のひとつわれのみが昂りて逢い重ねしことも

作者:岸上大作

馬を洗ひ終へて青年みづからも晩夏の河に身をひたすなり

作者:高野公彦

たとへば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか

作者:河野裕子

指をもて選(すぐ)りたる種子十万粒芽ばえれば声をあげて妻呼ぶ

作者:時田則雄

きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり

作者:永田和宏

サフランのむらさきちかく蜜蜂の典雅なる死ありき朝のひかりに

作者:小池光

ガス弾の匂い残れる黒髪を洗い梳かして君に逢いゆく

作者:道浦母都子

君の髪に十指差しこみ引きよせる時雨の音の束のごときを

作者:松平盟子

観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生

作者:栗木京子

桃の蜜手のひらの見えぬ傷に沁む若き日はいついかに終わらむ

作者:米川千嘉子

ライトヴァースと口語の現代短歌へ

マガジンをまるめて歩くいい日だぜ ときおりぽんと股(もも)で鳴らして

作者:加藤治郎

指からめあふとき風の谿(たに)は見ゆ ひざのちからを抜いてごらんよ

作者:大辻隆弘

この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日

作者:俵万智

ハロー夜。ハロー静かな霜柱。ハローカップヌードルの海老たち

作者:穂村弘

みつばちが君の肉体を飛ぶような半音階を上がるくちづけ

作者:梅内美華子

当ブログに取り上げた現代短歌

以下は、当ブログで取り上げた現代短歌です。

人生に付箋をはさむやうに逢ひまた次に逢ふまでの草の葉

作者:大口玲子

ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる

作者:萩原慎一郎

退会のボタンが見当たらない通販サイトのような僕の人生

作者:小坂井大輔

変人と思われながら生きてゆく自転車ギヤは一番軽く

作者:雪舟えま

蜩のこえは水色 うっとりと米びつのなかに指を忘れて

作者:鈴木美紀子

抱き合ふばかり矩形の空と寝てひきあけ深き青潭に落つ

作者:酒井祐子

つむじ風、ここにあります 菓子パンの袋がそっと教えてくれる

作者:木下龍也

ねむらないただ一本の樹(き)となってあなたのワンピースに実を落とす

作者:笹井宏之

バゲットの長いふくろに描かれしエッフェル塔を真っ直ぐに抱く

作者:杉崎恒夫

縁ありて品川駅まで客とゆく第一京浜の夜景となりて

作者:高山邦男

置時計よりも静かに父がいる春のみぞれのふるゆうまぐれ

作者:藤島秀憲

さやさやと風通しよき身体なり産みたるのちのわれうすみどり

作者:佐藤モニカ

とぶ鳥を視をれば不意に交じりあひわれらひとつの空のたそがれ

作者:柏原千恵子

雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁

作者: 斉藤斎藤

この後に続く現代短歌は、これからも追加していきます。




-現代短歌

error: Content is protected !!