新古今和歌集、新古今集は万葉・古今・新古今の三大和歌集の一つであり、もっとも和歌の盛んな時代のすぐれた歌人とその作品を収録しています。
新古今和歌集の時代と成立、新古今集の有名な歌人と各代表作品についてまとめます。
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新古今和歌集とは
新古今和歌集は、鎌倉時代に後鳥羽院の勅命を受けて編纂された勅撰歌集です。
勅撰第8歌集で、1975首を掲載、「八代集」の最後の歌集ともいわれます。
新古今の時代は、もっとも和歌の盛んな時で、歌合(うたあわせ)と呼ばれる和歌の会が催され、貴族はこぞって歌合に参加、互いに腕前を競い合い、選りすぐりの歌人と和歌作品が生まれました。
新古今和歌集の成立年
新古今和歌集は1216年ごろに成立したと考えられています。
1202年、後鳥羽院が、歌集を作るように命じ、和歌所を設置したのが初めです。
天皇が作るように命じた歌集は「勅撰集」というものですが、新古今和歌集は、勅撰第8集に当たります。
その後、撰者による選を経て、何度か清書を繰り返し、最後に完了した本が清書されたのが、1216年です。
新古今和歌集の時代
新古今集は時代でいうと、鎌倉時代に成立しています。
世紀にして13世紀です。
鎌倉時代は1185年 から 1333年なので、鎌倉時代の前期に当たります。
新古今集は八代集最後の歌集
新古今集は八代集最後の歌集です。
八代集とは 平安時代中期から鎌倉時代初期にかけて作られた勅撰和歌集の総称です。
- 『古今和歌集』(こきんわかしゅう)
- 『後撰和歌集』(ごせんわかしゅう)
- 『拾遺和歌集』(しゅういわかしゅう)
- 『後拾遺和歌集』(ごしゅういわかしゅう)
- 『金葉和歌集』(きんようわかしゅう)
- 『詞花和歌集』(しいかわかしゅう)
- 『千載和歌集』(せんざいわかしゅう)
- 『新古今和歌集』(しんこきんわかしゅう)
新古今集を作った人
新古今和歌集とは、鎌倉時代に後鳥羽院(ごとばいん)が編纂させた勅撰和歌集です。
勅撰和歌集とは天皇や上皇の命により編纂された歌集のことで、『古今和歌集』から『新続古今和歌集』までの534年間で21の勅撰和歌集もが編纂されました。
和歌集を作ることは大きな文化事業であったのです。
新古今集の「隠岐本」
後鳥羽院は自らもたいへん能力の高い歌人であり、その作品は新古今集にもたくさん収録されています。
後に自分で新古今和歌集の改訂版を作ってもいます。
また、新古今和歌集には後鳥羽院がその後自ら改定を加えて編纂し直した、「隠岐本」というものがあります。
隠岐本は4年後の1231年にに流された後鳥羽院が、島にいた18年間の終わりごろに完成したとされています。
新古今和歌集の収録歌数
収録された歌の数は 1975首。
全20巻に及び、和歌の種類は下のように分類されています。
新古今和歌集の和歌の分類
新古今和歌集 (全二十巻)
真名序
仮名序
春(上下)
夏
秋(上下)
冬
賀
哀傷
離別
羈旅
恋(一〜五)
雑(上中下)
神祇
釈教
新古今和歌集の序文について
新既婚和歌集の序文は。漢文で記した真名序と和文の仮名序があります。
文章の種類と著者は以下の通りです。
真名序 | 漢文 | 藤原親経 |
仮名序 | 和文 | 藤原良経 |
それぞれが、後鳥羽院に成り代わった立場から記されています。
新古今和歌集の撰者
新古今和歌集の撰者は次の人たちです。
新古今和歌集の編纂に選ばれた人たち、歌を選ぶ撰者(せんじゃ)は下の歌人たちでした。
- 源通具
- 藤原有家
- 藤原定家
- 藤原家隆
- 藤原雅経
- 寂連
このうちもっとも有名なのが、藤原定家(ふじわら の さだいえ/ていか)、それと、寂連(じゃくれん)です。
新古今和歌集の歌人
新古今和歌集の歌人には次のような人がいます。
- 後鳥羽院(33首)
- 藤原定家(46首)
- 寂漣 (35首)
- 西行 (95首)
- 慈円 (91首)
- 藤原良経 (79首)
- 藤原俊成 (72首)
- 藤原俊成女 29首
- 式子内親王 (49首)
このうち、最多入選を果たしているのは、西行の95首です。
以下慈円、藤原良経、藤原俊成、式子内親王、藤原定家、家隆、寂蓮、後鳥羽院と続きます。
藤原俊成は藤原定家の父で、藤原俊成女は実母が藤原俊成の娘なので孫にあたりますが、俊成の養子となりました。
また、藤原俊成は後鳥羽院、式子内親王、藤原良経、俊成女らの和歌の指導に当たり、歌人を育てています。
それぞれの和歌一覧は下の記事でお読みください。
歌人の特徴を一度に読むには下の記事で
新古今集の歌風
新古今集の歌風の特徴は、内容がそれまでの和歌と違った趣向が凝らされているというところです。
- 新古今調
- 和歌の技巧の駆使
- 幽玄の提唱
新古今調とは
新古今集の特徴は、しばしば「新古今調」という言葉で表されます
「新古今調」を一言でいうと「幽玄・妖艶・象徴的」ということがあげられます。
新古今時代の和歌には古今集の傾向が一層強まり、繊細で優雅な内容、及び調べを醸し出す和歌が良いとされました。
また、和歌を詠み終えた後にも余韻が残るような、内容よりも主に雰囲気である余情が重視されました。
内容は、耽美的でロマンチックなものが多く、心持ちや気分を表すことに工夫が凝らされて行きました。
幽玄の提唱
これらの総称を表す言葉の一つが「幽玄」というもので、藤原俊成が主に提唱したものです。
新古今集の内容の特徴は、それまでになかった感覚的で象徴的な美の追求が行われたというところにあります。
和歌の技巧
もう一つの特徴が、和歌に凝らされた技巧です。
和歌の表現技法を修辞と言いますが、下のようにまとめられます。
新古今集の特徴的な修辞法
- 体言止
- 奇数句切れ
- 本歌取りの技法
- 掛詞、縁語の技法
短い31文字の中で、考え付く限りの技巧が凝らされ、それが評価されたというところが新古今時代の和歌の特徴です。
また、万葉集の時代の集団的な和歌の類似とは違って、意識的な本歌取りが良しとされました。
類似の表現をベースに新しい工夫のアイディアやより深い情緒を競って凝らすことで、和歌の技術が格段に上がっていったのです。
本歌取りの和歌として最も優れているといわれるのが藤原家隆の下の作品です。
志賀の浦や遠ざかりゆく波間より凍りて出づる有明の月 藤原家隆
新古今和歌集の代表作品和歌
他にも新古今集の歌人の代表的な作品のこれまでの記事の一覧です。
歌人別に新古今集以外の歌集の作品を含めて記します。
詳しい解説はリンク先の各ページにてご覧ください。
藤原俊成
藤原俊成の和歌まとめ
藤原定家
梅の花にほひをうつす袖の上に軒もる月の影ぞあらそふ 藤原定家
藤原定家代表作まとめ
三夕の歌解釈
「見わたせば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ」の解釈の違い 藤原定家三夕の歌
式子内親王
式子内親王について
「式子内親王」「藤原定家」の読み方 名前が2つになる有職読み
式子内親王の代表作まとめ
藤原俊成女
寂連
西行法師
願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ/西行法師
道の辺に清水流るる柳陰しばしとてこそ立ちどまりつれ 西行法師
西行の桜の和歌
青葉さへ見れば心のとまるかな散りにし花の名残と思えば 西行の葉桜の短歌
西行法師の百人一首の和歌
後鳥羽院
ほのぼのと春こそ空に来にけらし天の香具山霞たなびく 後鳥羽院
人もをし人も恨めしあじきなく世を思ふゆえに物思ふ身は 後鳥羽院
後鳥羽院代表作まとめ
新古今集総論
新古今和歌集の代表的な歌人 藤原定家,寂連,西行,式子内親王ほか
新古今集のその他の歌人の作品
なごの海の霞の間よりながむれば入日をあらふ沖つ白波 後徳大寺左大臣
陸奥のいはでしのぶはえぞしらぬふみつくしてよ壺の石ぶみ 源頼朝の新古今集の和歌
秋風にたなびく雲のたえ間よりもれいづる月の影のさやけさ 左京大夫顕輔